モラハラあるある ー「あ、お箸がなかったのね」

こちらの続きです。

さて、そのようにしてフジテレビでの「こたえてちょーだい」再現ビデオは回を重ねていきました。私が関わったのは最初の3回だけで、後は視聴者の方が続々と送ってくる体験談を元にして番組は作り続けられました。

フジテレビ側はその後「モラハラの番組を放送しますよ」と連絡をして来なくなりましたので全部の回を見ていないのですが、たまたま録画することができた回で「おおー」と思った回がありました。

パートで働くたぶん40代の方だと思いますが、まさにモラハラの典型で、そのエピソードのひとつがこれでした。

結婚した直後、妻は朝食を作ります。「今お味噌汁をよそうから先に食べててね」と夫に背を向けて味噌汁をよそう妻。夫は「お、美味しそうだな」とテーブルにつきますが、食べ始めようとしません。

気配に気づいてふと振り返る妻。

夫は目をテーブルに向けたまま無表情でみじろぎもしません。

あーーー、わかるーーー。この俳優さん、うまいーーー。

うちもこうでした。テーブルに突っ立ったままずーーとおかずを見つめている。おんなじーー。

「どうしたの?」と妻は聞くけれど何も言わない。何も言わず、ずーーっと無表情でテーブルに目を落としている。

「あ、」と妻が「お箸がなかったのね」とあわてて箸を置くと無言で箸を取り食べだす夫。

わかるーーー。そーなのよーーー。これがモラハラなのよーーー。

怒鳴るわけでも殴るわけでもなく、無表情で無言で「お前の落ち度を気づけよ」と全身で表現する。

箸がなかったらないと言えばいいし、箸ぐらい自分で取りに行けばいいのに、このじーっと身じろぎもせずに黙ってテーブルを見ているというのが嫌がらせ。これがモラハラ生活の最初だったそうです。

以後、このような嫌がらせ生活が始まったのですが、この家の最大の不幸は最初は母と一緒に父の嫌がらせに怯えていたふたりの息子たちがそろって父親と同じになったことです。

母をバカにする、命令口調で話すといったモラ度満開の大人に成長していきました。妻は家でひとりぼっちです。

「今は子どもの方が怖いです」と語る方は「この先が真っ暗で何も見えません」とご自身の声で語っておられました。

これは2007年頃のものなので、当時18歳、20歳くらいだった息子たちはそれぞれ36歳、34歳になっていて、どこかでモラハラ家庭を作っているか家にいて、妻は3人のモラハラ男たちからの嫌がらせにあっているかもしれません。

この回は「こたえてちょーだい」の神回だと思っています。