共同親権ーどっちが決める?

共同親権になった場合、両親の意見が違った時にはどうするのだ?ということは国会で散々論議されていました。

修学旅行でパスポートが必要な時は?歯列矯正の場合は?学校を決めるときは?手術が必要な時は?となんだかんだとやっていましたが答弁では「その時はこう」と、答えてはいたのですが、実際はどうなのか

他人と話をしていて「普通はこうだろう」と思う人はいるかもしれませんが、その「普通」が両親で異なったらどうなるか。

そして離婚とはそれぞれの「普通」が違うから離婚しているのです。私は電話相談を受けていて「普通は〇〇ですよね」と言われる方が多いのですが、モラ夫の普通はだいたい違うので(だからモラ夫なわけで)、「普通は、普通は」と言ってもなんの解決にもなりません。

では共同親権になって「高校は私学に」「いや公立でいい」となったらどうするか。

どうやらこういう時は裁判所にお伺いをたてるようです。

「えーー、いちいち裁判所に行かなければいけないの?」と私も思います。ただ、どうやらそうなっているようなので、これは「めんどくさい!」けれど、裁判所が判定を下してくれて相手との軋轢が無くなると思った方が心の健康にいいかもしれません。

ただ、「この場合は?」という場合については今裁判所がガイドラインを作成しているようです。もしかしたら「この場合は?」に回答するAIでも導入するのだろうか。

共同親権ー申し立ての取り下げはできません

こちらの続きです。

ここに書いた通り、離婚届を役所に持っていくときに、まだ共同親権なのか単独親権なのか決まっていない時には裁判所に申し立てをしたという裁判所が発行した書類を持っていくことになると思います(たぶん)。その書類がなければ離婚届は役所で受け取ってくれません。

だから離婚届を出す前にまずは裁判所に共同親権にするか単独親権にするかの申し立てをしなければなりません(たぶん)

重要なのは離婚にしろ婚姻費用にしろ、裁判所に申し立てをした場合、これを取り下げる(やめた)と言えますが、この共同親権か単独親権かの申し立ては取り下げができないことになっています。

つまり、調停を申し立てて書類をもらい、離婚届を出してから調停を取り下げるということはできません。そして裁判所はその調停を行っている時に「ちゃんと離婚届は出しました」という文書を裁判所に提出しなさいという権限を持ちます。

では相手が勝手に共同親権に〇をして離婚届を出してしまったらどうなるか。それは今も離婚届けを出すと役所に来なかった相手の住所地に「離婚届けが出されました」という通知がくることになっているので、普通はわかるはずです。

どうしても心配な方は今と同じ「離婚届不受理」を出しておきましょう。役所がいったん受け付けたものは、たとえ不正なものであっても、簡単に取り消しできないのです。なので不安な時は出しておきましょう。

どうなる共同親権ー発信していきます

子どもを持つ方の心配は、夫や元夫が共同親権を主張してくるのではないかということと思います。施行は2年後ですので、どうなるかはわからないのですが、その時々、私が入手した情報をお伝えしたいと思います。

情報につきましては正確なものをと思いますが、なにせ私は特に何があるというわけでもない一般人ですので、いち早くとか、現場ではといったものを入手はできないのですが、とりあえずわかったことだけをお伝えしたいと思っています。

施行予定は遅くとも令和8年の5月までです。つまり再来年の5月までには始まります。

まずはこれから離婚される方向けです。日本の離婚の9割を占める協議離婚をする方は、未成年の子がいる場合はどちらかを親権者として定めてから離婚届を出していましたが、共同親権になると「単独親権」か「共同親権」かを選ぶことになります。お互いの意見が一致すればよいのですが(そもそもそういう話し合いができないから離婚するのであって、と私はいつも思う)一致しない場合でも離婚をすることはできます。

ただし、裁判所に親権について申し立てをしていることが条件です。申し立てをしていなければ離婚することができないということになります。

ここで家庭裁判所のパンクが予想されます。離婚とは冷静に行われるものもありますが、話し合いができないほどヒートアップしているものの方がモラハラに限らず普通です。

相当の「離婚したいけれど親権をどうするかが決まらないので宙ぶらりん」という方が出ると私は予想してます。

家裁に申し立てと簡単に言いますが、家庭裁判所が遠い、調停は平日にしかないので時間が取れない、そもそもめんどくさいから行かないという人たちが山ほどでるのではないかと思います。

離婚が決まらなければ児童扶養手当がもらえない、ひとり親制度が使えない方が出てきます。今も「養育費で争っているくらいなら、さっさと離婚して手当をもらう」という人が大勢います。

どうなるんでしょうね。

共同親権 先をいくオーストラリアの様子

5月17日(金)に共同親権を導入する民法が改正されました。このことについて先を行くオーストラリアは2023年にそれまでの方針を転換し、“共同での養育にこだわらない”とする法改正を行ったとのことです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8017290a83673e5abc08a6aa1cdfb6c165d8ae63?page=3

この理由が「養育をめぐる裁判の乱用や長期化」だと言うのです。今までの共同親権をめぐる論争の中で「養育をめぐる裁判の乱用や長期化」が起こるだろうから慎重にとずっと言い続けていたのに、他の国が改めたのにこれからやろうとするという愚政。

思えば平成24年4月1日に民法766条が改正され、面会交流を積極的に行うよう裁判所が命じるようになったところ、これが子どもたちに悪影響を及ぼしたとして令和2年に問題が生じるようなケースは面会交流を実施しないという方向に転換されました。

やらなくてもわかることをやって、あちこちに様々な悪影響が出てから初めて「やめる」となった面会交流。共同親権も同じような道を辿るのではと思っています。

生煮えのまま法律を作るつもりか

ずっと法務委員会やら衆議院やら参議院やらを見てきましたが、はっきりとわかったのは「とりあえず法律を作ってしまえ。何かあったら変えればいい」という姿勢です。

なぜ「とりあえず作ってしまえ」なのか。多勢の自民党がうるさいからです。自民党を突っつく声がしつこくて、ねちこくて、めんどくさいからです。

何を聞かれても「それは裁判所で」と言いますが、そもそも日本の場合調停前置主義のため裁判の前に調停を経なければならない仕組みになっていますが、それは裁判官の数が足りないからです。

足りない部分を昨日まで普通の会社で営業していた、あるいは主婦だった人を集めて「調停委員」という名前をつけてその人たちに裁判官の代わりをさせているのです。なぜこんな大事なことを裁判官がしないのか。

今でも足りない裁判官が共同親権ができたらこれから一気に増えるのでしょうか?

#まさかでしょ

どうやら本当に「とりあえず作ってしまえ」と思っているようだという方向が見えてきたとたん、メディアからも弁護士会などからも「反対、反対」の声が怒涛のように巻き起こっています。

今から悲劇や騒動が予想されるのにそれでも作らなければならないのはなぜ?

もっと慎重に、きちんとそれが適応できる制度や仕組みを作ってからでは遅いのでしょうか。

「共同親権の賛成派の私ですら怖いと感じています」

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80730

JBpressに掲載されたこの記事は、面会交流支援を行っていて、衆議院法務委員会の参考人として意見を述べられたしばはし聡子さんがインタビューに答えたものです。

このしばはしさんの意見の中で私が同感に感じる部分がふたつありました。ひとつは共同親権を進めるにあたって、「共同親権に向いている方」と「共同親権が難しい方」の二通りがあると言う部分です。

今共同親権を推し進めようと先頭集団(今変換しようとして戦闘と出たのですが、これも当たっているなぁ)に立ち、拡声器でがなりたてているような人たちは「向いていない人」です。もちろんこのようなことをする人には絶対に共同親権にしてはいけません。

もしこの人が共同親権を申してた場合は即時却下でしょう。

そのしばはしさんの言葉の中で、「向いていない人は自責の念がない人です」と述べられています。「誘拐」「連れ去り」と一方的に非難し、自分に非があるとまったく感じない人は共同親権に向いていません。

「連れ去った」のではなく、置いていけないから連れていくしかなかったのです。

#置いていったら「置き去りにした」というくせに

そしてしばはしさんは現在の裁判所の考え方にも疑問を投げかけます。

”調停裁判は「相手を変えよう」「相手を説得しよう」「相手を支配しよう」という理屈になりがちですが、離婚後も父母の関係は続きます。ですから、裁判所や司法の側にも争わない議論の進め方を考慮した改革が必要だと思います。”

これに私は賛成します。ただ、現在の裁判所の構図からいって不可能です。なぜなら裁判所とは争う場所だからです。争う場所でカウンセリング的なことができるはずはありません。

もしソフトランディングが可能なケースがあったなら(復縁ということではなく、共同親権が可能なカップルだったとしたら)、家族再生センターでも作って、定年退職した何も知らない調停委員ではなく、この方面に熟知した専門家を配置したらよいのです。

「争いたくないんです」「少しぐらい損をしても丸く収めて離婚したいんです」と仰る方は多いです。ただし、モラ夫の場合はこれはできません。できたならモラ夫ではありません。

しばはしさんが「向いていない人は自責の念がない人です」とはっきり言えるのは、現場にいる方だからこその発言です。第三者機関を入れなければならないほどの高葛藤な元夫婦の間に入って子どもを面会させるわけですから、モラ夫ひとりだけでも大変なのに、おそらくその現場にはモラモラ怒鳴り散らす父親や、わけのわからないことをいう母親がたくさんいるでしょう。

その父母たちを見ているからこそ「共同親権には賛成だけど今作っている法案は怖いと思う」という結論になるわけです。

「女性支援に関わる弁護士狙い撃ち」バイトルに勝手に応募され着信700件メール2000件…運営会社を提訴

https://www.tokyo-np.co.jp/article/323828

共同親権法案に反対する弁護士事務所が勝手にバイト募集の募集をされて、700件の電話着信と2000件のメールがあり、業務を妨害されたとしてサイト運営会社に500万円の損害賠償を提訴しました。

これがリーガルハラスメントです。「共同親権は子の健やかな成長に必要」と共同親権を強行しようとしている人たちの正体です。

これが弁護士でなく個人、しかもシングルマザー一人を狙い撃ちにされたらどうなるのでしょう、というかもうそれをされている人たちがたくさんいます。

離婚しても面会交流調停、養育費減額調停と間断なく申し立てられるので、日給で働いている方たちは裁判所に行くたびに収入が減りますし、弁護士費用もかさみます。

元夫は子育てをしているわけではないため暇があふれていますので、弁護士には依頼せずにひとりで来て、滔々と意見を述べて調停を引き延ばします。

こうやって嫌がらせをし続けている人たちが親権を持ったらどうなるか。医療、教育、行政といった子どもと関わる場所にうろつきまわり、嫌がらせをすることは明白です。

モラル・ハラスメントは精神的な嫌がらせという意味です。まさにこれはモラル・ハラスメントです。

共同親権を夢見ても

現在共同親権について国会で審議中ですが、共同親権を推進する人たちは大体ひとりよがりなので、すべて自分の思い通りに事が運ぶと思っていますが、果たしてそうでしょうか。

民法766条ができた時に、「父又は母と子との面会及びその他の交流」とひと言入っただけで、「何が何でも面交させろ」と裁判所から命令が出ることになってしまい、それが子にとって大きな負担になるということがやっとわかって、あまり強制しないに変わったのが令和2年。

そうなると裁判所は問題のある父母は会わせないということになり、共同親権にすれば親権があるから会えるよねとばかりに頑張っているわけです。

あの~、そもそも問題のある親には会わせられないというのは共同親権だろうが単独親権だろうが会わせられないんです、はい。そこ、わかってますか?

共同親権になったらオレのハンコがないと何もできないだろうとばかりにずかずかと他人の家に入り込もうとしているようですが、面会交流はさせられないと元々裁判所が判断を下しているような人には共同親権にはならないと思います。

そして審議の中で「養育費を払わないような親には親権はない」という言葉が出ていますので、今まで養育費を払っていない親に親権はないです。

#もしかしたらあわてて5千円とか振り込んで「払った、払った」と騒ぐんだろうか

「子の福祉」「子の健全な成長」とコピペのようにほざいていますが、あなたと交流することが子の福祉にならないのに「会えない子どもがかわいそうだ」というのが笑える。君らがかわいそうなのは自分で、子のことは考えていないでしょう。

そもそも、なぜ子と別れることになったのかわかっているのだろうか。勝手に家から出て行った原因を作ったのは自分のせいだと理解できない人に親権は与えられない。

子の福祉のためにならないと裁判所が判断したら親権はないし、子にもやっぱり会えないままなのです。

さて、次はどーする?

「共同親権」導入の改正案 反対する団体が廃案求める集会がありました

共同親権に関する審議はただいま参議院で行われています。これに反対する団体が集会をひらきました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240424/k10014431281000.html

法務委員会や衆議院で次々に可決したとたん、怒涛のようあちらこちらで「大丈夫か?」というマスメディアの声が上がりはじめました。こんなに反対や心配の声が上がっているのに本当にやっちゃう気でしょうかね。

弁護士会続々反対表明

家族法制の見直しに関する要綱についての会長声明(日本弁護士会)

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2024/240216.html

“離婚後共同親権について、さらに慎重かつ十分な国会審議を求める会長声明”(大阪弁護士会)

https://www.osakaben.or.jp/speak/view.php?id=338

離婚後共同親権に関する家族法制見直しについての会長声明(愛知県弁護士会)

https://www.aiben.jp/opinion-statement/news/2024/04/post-106.html

離婚後共同親権の導入について、十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明(福岡県弁護士会)

https://www.fben.jp/suggest/archives/2024/03/post_445.html

離婚後共同親権を導入する家族法制見直しに反対する共同声明(札幌弁護士会)

https://satsuben.or.jp/statement/2024/03/08/738/

離婚後共同親権の拙速な導入に反対する会長声明(岐阜弁護士会)

https://www.gifuben.org/info/statement/p2687/

離婚後共同親権を導入する家族法制見直しについて、慎重な議論を求める会長声明(函館弁護士会)

離婚後共同親権導入について、その是非の判断も含めより慎重な検討を求める会長声明(千葉県弁護士会)

https://www.chiba-ben.or.jp/opinion/0f044a3c51ebcea07f6aa1064931bccf8cf41cfc.pdf

共同親権について、十分かつ慎重な審議を求める声明(金沢弁護士会)

https://kanazawa-bengo.com/info/2024/03/post-318.html

離婚後共同親権の導入について、是非の判断も含めて慎重かつ十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明(福井弁護士会)

離婚後共同親権導入に関し慎重かつ開かれた議論を求める会長声明(兵庫県弁護士会)