コネだけの世界

まだ東京に転居する前の職場での出来事。同僚が「私たちは若くして結婚したから、まだ職場での地位が低くて子どもの就職の力になれないのが残念だ」と語っていました。

夫婦とも20代前半で結婚したカップルで、子どもの就職期の20歳くらいではまだ40代前半。

「夫が50代なら地位も上がってるだろうから、子どもの就職を手伝えるんだけど」という彼女には一点の疑問もありません。彼女の兄も本人も、地位の高かった父が手配して大きな会社に勤めています。

つまり彼女は「就職とは親のコネを使ってするもの」という認識をがっちり持っているのです。その父が割と早めに亡くなり、彼女夫婦はまだ若くて地位もないという状況では子どもの就職先に口利きすることもできない。

「子どもに申し訳ない」という彼女に「就職とは試験を受けて入るもの」と思っていた私は当時不思議な感情を持ちました。ただ、この「誰かの紹介で就職を決める」というのは世間一般では普通にあって、就職先によっては「紹介者がいないと入れない」というところもあります。

どこの誰だかわからない人を雇うより、しっかりとした紹介者の推薦の方が安心できるというところもあります。ただ、その紹介者が自分の人生の中で培った人脈で作った関係ならば「コネも実力のうち」というのも有りだと思いますが、「親の、親戚の」というのならば本人の実力とは関係のない話。

はい、僻みです。頼れる親がおらず、ただただ自分の努力でのみ生きてきた私にとって、生まれた場所で人生を左右されるなんて不公平以外の何物でもない。

「親が勝手に決めてきたのよ」と誰もがうらやむテレビ局に就職した友人。「親が勤めていたところに頼んでくれた」と団体職員になった友人。「親が地主だから簡単に就職できた」と銀行に勤めた友人。

でもその後の人生が順風満帆だった人はいません。最初に苦労した私が古希に近づいた今、一番幸せなようです。

でも、就職で苦労無しはうらやましい限りではあります。