めんどくさい「三顧の礼」

こちらの続きです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ffed202edbdc84ee8d13806f44d5f298f78e7c52

”釈明会見では辞任を否定したが、それは周囲から引き留められての判断だったという。毎日新聞によると、森会長は「元々、会長職に未練はなく、いったんは辞任する腹を決めたが、(組織委の)武藤敏郎事務総長らの強い説得で思いとどまった」と経緯を明かしている。”

周りから説得されて、本当は辞めるつもりだったけど、思いとどまったという、ホントかなぁ。

こういう人たちはやる気満々なのに「本当は嫌だけれど周りが押すから渋々」というポーズを取りたがります。この面倒くさい儀式をしないと腰を上げません、いや、上げてくれなくていいんだけど、あなたの代わりはいくらでもいるんだけど、どっちかというとやめて欲しいんだけど、と思いながら、「どうかお願いします」と言わないと、ヘソを曲げて後からガタガタ騒ぎまくって、裏で工作なんかして会をめちゃめちゃにするし、めんどくさくなるからしかたなく三顧の礼のまねごとをすることになる。

元義父がこれでした。「おじいちゃん、今日は外にご飯を食べに行こう」と誘っても、「俺はいい、お前たちだけで行ってこい」と言う。外食をするというのは、元義母の負担を減らそう(私の負担もだ)という目論見があるから誘っていることで、元義父が行かなければ元義母も行けない(元義父なんか来なくたっていい)。

そこで、孫たちを使って「おじーちゃん、いこーよ、いこーよ」「ああああ、俺は行かなくていい!」「そんなこと言わないでいこーよ」「ああああ、お前たちだけで行ってこい」「おじーちゃんが行かないとつまんない」「いい、いい、お前らだけで行け」

これを3回ほど繰り返すと、渋々外出着に着替えて来ます。ある時、なぜがものすごく派手なアロハシャツを着てきたことがあり、その時一緒にいた義姉が「あれ着てくの?どっから買ってきたんだろう、あのシャツ」と固まってしまったことがありました。

#おおかた店の若い娘に「すごくお似合いですよ」とでも言われて、売れ残りを押し付けられたんだろうw

ある日ある時、この儀式にうんざりしていた私が、いつものとおり元義父が「俺は行かない」と言い出したので、「じゃ、おじいちゃんはお留守番だね。おばあちゃん行こ、行こ」と強引に元義母の手をとって連れて行きました。「え?え?」と私に手を引っ張られながら後ろを振り返る元義母でしたが、彼女も毎度のこの儀式に辟易していたと思われ、付いてきました。

取り残された元義父、ぼーぜん。

すると元夫が、「何してんだ、ほら、行くぞ」とナイスフォロー。元夫はマザコンなので、義母のためにはやるんだよ。

渋々むっつりとした表情で付いてくる義父。

そして以後、元義父は「俺は行かない」という儀式はしなくなりました。

私は元夫には逆らえないけど、元義父には強い。元義父は私の機嫌を損ねると最愛の孫に会わせてもらえないと思っていたらしいのと、年をとると介護という問題も出てくるので、私には弱かったのです。人間、弱みがあると何も言えなくなるのですね。これ、モラハラの構図と同じ。

さて、森さんですが、「今の座に未練はない」と仰っているそうですが、実際困難が予想されるオリパラですから、私だったらこれ幸いと辞任しますが、どうも政治家というのはそういうものではないらしい。菅総理大臣だって、去年9月、コロナでわやわやの時期に総理大臣に就任しましたからね。あの方たちの感覚というのは我々一般人とは相当かけ離れているようです。

メンタルが強いのか、鈍感なのか、それはわかりませんが。

不機嫌の椅子 2

こちらの続きです。
林真理子さんが「不機嫌の椅子」というタイトルのエッセイをお書きになっているということで、読んでみました。「ベストエッセイ2008」という」エッセイ集に入っています。

夫はいつも「不機嫌の椅子」を独り占めしていると書かれている作品の中に、気になる文章がふたつありました。

冒頭、結婚願望があった林さんはよく私と結婚してくれたと夫に対する感謝の言葉を綴っていますが、その後に続きます。

”やがてあなたがえばり出したのは、いったいいつ頃だったでしょうか。確か二年目ぐらいだと記憶しています。私という女が、実は、言われているほど傲慢でも個性的でもなく、古風な結婚観の持ち主だということに気づいたからに違いありません”

ずっと前に林さんが「ユーミンと一緒に、離婚はしないと話した」とどこかで書かれたか、インタビューで答えられたかしたと記憶しています。ユーミンも林真理子さんも時代の先端で旗を振っているように見えて、結婚観は古風なようです。ただ、夫がえばり出したのが2年後というのはずいぶん時間がかかったなという感じ。モラハラ加害者ならば、一瞬で見抜きますから。

見抜いてから本性を出すまでに爪を隠しておくというのはやりますが、それにしても結婚してから2年は長い。

林さんが古風な結婚観を持っていることに気づいた夫は「不機嫌の椅子」を独り占めするようになった。こいつは絶対に自分から離れないとわかったら、家の中でブンブンと不機嫌を隠さずにふるまうようになった。

”「帰りが遅い」「うちが散らかっている」「お袋の誕生日を忘れた」という小言もさることながら、私が驚いたのはあなたの”不機嫌”の持続力です。商いの家に育った私は、イヤなことがあっても、喧嘩をしても、次の朝にはニコニコと食卓につくことを躾けられました。ところがあなたは何日も口をきかない。一週間、あるいは十日もです”

そして”私はとにかくあなたがその椅子に座らないよう、気を遣ったり、先回りしたりの十六年だったような気がします”と続きます。

もうモラハラ被害者ならばわかるわかると首をブンブンと縦に振りそうな文章です。さすがエッセイの名手、林真理子さんならではの簡潔明瞭な表現です。

そして最後に”私は結婚当初の負い目がまだあるのでしょうか”で締めくくられています。

結婚前、世の中で”ブスで売れ残りで結婚願望を売り物にしている女”というレッテルだった林さんと結婚しようという男性が現われた。そのことだけでも感謝すべきだよと周りから言われ、ご本人もそう思ったでしょう。

実はモラハラ被害者にはバツイチや夫よりも年がすごく上という方が目につきます。これはもう結婚当初から「こんな私なのによくもらってくれた」という「負い目」が最初からあり、モラ夫はそこに付け込んでくるのです。

また、そのような負い目が本当はないのに、「こんな私なのに」を自分で作ってしまう方もいます。一言で言ってしまえば「自己肯定感が低い」ということになるのでしょう。ただ、これは裏を返せば、尊大にならず、自分をわきまえるという美徳のはずなのですが、これを逆手に取られてしまうのです。

大体「私みたいないい女と結婚出来てありがたく思え」という女性がいたら、やなやつだと思いませんか?ところがこういうのに引っ付く自己評価が低い男性がいるのも事実。まさに割れ鍋に綴じ蓋。

ともかく「私みたいな女と結婚してくださって」という古風で奥ゆかしい美徳を持った林真理子さんは、不機嫌の椅子を独り占めする夫と今も結婚生活を続けているようですが、これで作家としてはむしろ深みが増したのではないかと思うのです。

これが優しくてなんでもはいはいの夫ならば、こういった苦労も世の中にあるのだということは表面的には理解できても、ひとつ屋根の下に暮らし、夕餉を囲み、傍からは仲のいい夫婦に見える妻の心の奥底に「いつ、この夫を誰にもわからないようにどうやって殺してやろうか」という感情が潜むということは、本当のところで理解できなかったかもしれません。

被害者には、なってみないとそのすべてはわからないものだと思います。

電話相談始まりました

予告をしていました電話相談のスケジュールをアップしました。

https://morahara.cocoon.jp/denwasoudan.html

お選びいただく時間が少ないので申し訳ありません。もしこの時間以外でご希望がありましたらご相談下さい。できるだけ対応させていただきます。土日祝、夜間もOKです。

この相談から避難を実行されたり、実行までの準備を整えられたり、まだ決心のつかない方、これはモラハラなのだろうかと不安な方、また、モラハラ以外にも毒親との関係や生き方など、モラハラ被害者同盟を18年間行ってきた管理人が、お話を伺わせていただきます。

コロナ禍でちょっと気持ちをお休みしたい、不安ばかりがあるなどの漠然としたお悩みがある方にほっこりしていただけるよう対応させていただきます。

お待ちしております。

次回は4月頃に行う予定です。

不機嫌の椅子

ネットを徘徊していて、林真理子さんが「家には不機嫌の椅子があって、夫はいつもそこに座っている」という一文が目に留まりました。そういえば、以前同じ文章を同じ林真理子さんで見たことがあります。

「不機嫌の椅子」と聞いたら、いっぺんでその状況がわかります。ちなみに「不機嫌の椅子」という言葉を最初に考案したのは田辺聖子さんだそうです。

”家には「不機嫌の椅子」というものが1個だけある。最初に誰かがそこに座ったら、他の人は座れない”

#さすがお聖さん、うまいこと言うな。

モラハラ家庭ではその椅子は「誰かが座る」という概念はありません。そこに座る人は決まっています。もし空いていても(夫が不機嫌でなくても)、誰がかがそこに座ることは絶対にない。

林真理子さんのエッセイには時々この「不機嫌の椅子」を独り占めしている夫が登場します。林さんが夫のことをこんなに叩いていいのかと思うほど、「嫌なヤツ!」のオーラが本から立ち上るほど書いています。

いつのエッセイだったから、「いつも機嫌が悪いが、お腹が空いていると更に機嫌が悪くなる」と書いて「海老の皮をむ」いていました。

林さんの夫は林さんの書いたものを読まないのだろうか、読んでもなんとも思わないのだろうか。モラ夫ならばもう離婚か文筆業ができなくなるかの選択を迫られることになるだろうけど。

どうやら林さんの夫は林真理子が大人気の作家であることをあまり知らずに見合い結婚をしたようで、そんな人気作家の夫になるということは、それなりの苦労が伴うことを想像できなかったようです。

でも、いつぞやテレビで「林真理子の自宅訪問」をしていたら、高級住宅街の戸建ての家のガレージには車に疎い私が見ても高級そうな外車が複数台止まっていました。これを書くにあたってちょっとネットでググってみたら、林さんが買ってあげたそう。

と書くと、「女房から買ってもらったという僻みがあるから、不機嫌の椅子に座るのではないか」と想像できそうですが、そうかな。そうだったら1台買って止めると思うな。モラ夫によく似た、一度手を上げたら下し方のわからない昭和の親父だったら、絶対に女房から買ってもらった車に嬉しそうに乗るなんてことはしないはず。

モラ夫と生活していると、夫の機嫌にはものすごく敏感になる。ただし、モラ夫の場合は不機嫌の理由がまったく読めない。同じことをしても、ある時は機嫌が良く、ある時はダメという、その時によって違うので、予想がつかない。だから混乱する。周りからは「ちゃんと夫が何を欲しているか気遣え」と言われる。

林真理子さんの夫は不機嫌になる理由が一定なのか、ゴロゴロ始終動くのか伺ってみたいものです。

今年もお世話になりました~手抜ききんとん

激動だった2020年が今日で終わります。2021年もコロナが続きそうですが、ゆる~く気をつけながら、生活していきましょう。ある方がギンギンに気にして、買い物も行かずに、出勤は夫に車で送ってもらって、美容院にもいかず髪も切らず、とうとうウツになってしまったと知人から聞きました。

元々几帳面な人だったから、最悪の事態も考えて徹底的に気をつけたのでしょうね。でも不思議なのは、ニュースに感染した方がよく「人一倍気をつけていた」と言っていること。

人一倍気をつけたのに感染してしまうのは、もうロシアンルーレットの世界。運が悪かったと思った方が精神的に良いと思います。なぜ罹患してしまったんだと自分を責めるとさらに事態が悪化しますから。

年末年始はモラハラ家庭では緊張の時。「今日は機嫌が良い」と安心していても、ちょっとしたきっかけであっと言う間に不穏な空気になり「出ていけ!」がある。

何度も書いていますが、「出ていけ」と言われたら、「はい!」と言って前もって準備していた手はず通りに事を始めるのがお勧めです。その準備ができていない場合は、モラハラ夫の「出ていけ」は脅しですから、間に受ける必要はありません。

モラ夫に限らず、多くの夫たちは気軽に「出ていけ」と言います。なぜならそれを言われたら、妻は何も言えなくなるのを知っているから。もうひとつは「誰のおかげで飯が食えていると思うんだ」というフレーズ。こちらも昔から使い古されているとはいえ、必ず勝てる決めセリフです。

ちなみに私はこの「誰のおかげで飯を~」は言われたことはありませんでした。だって、私、フルタイムで働いているから。それは言えないわなぁ。

と言うわけで、もうひとつの「出ていけ」はよく言われました。実家の母親とは仲が悪く、実家には帰れないのをよく知っているから使われたのです。

#よく効く薬は常用しますよね。それと同じ

ある日ある時、いつものように「出ていけ」と言われ、とっさに「あなたが出て行けばいいでしょう。子どもを連れて出ていくのは大変だから、あなたが出て行って」と言ってしまいました。言ったとたん「しまった!また機嫌が悪くなる」と思ったのですが、そして実際機嫌が悪くなったのですが、それ以後、「出ていけ」とは言わなくなりました。

#薬の効能が切れました~(笑

相手は「この言葉が切り札」とわかると、何度でもそれを使って攻撃してきます。一度実家に帰って、「もうしないから」と謝られて、戻ると前の繰り返しをした場合は、「謝れば妻は家に戻る」と学習しますから、モラハラ攻撃はそのまま変わらずで、「出たら謝ればいい対処」をします。

「出ていけ」と言われたら、「えええーーー」と真っ青になるフリをするのもアリですね。陰で子どもと一緒に「ばーか」とでも言っておけばいい。でも、「出ていけ」を繰り返す夫と暮らすのは辛いなぁと思うのです。

さて、お正月のお節です。きんとんは昔、子どもと一緒の時は手作りしていましたが、このところはスーパーのセット物で間に合わせていました。

先日たまたま「ドンキ・ホーテ」で初めて焼き芋を買いまして(お腹がすいてた)、その甘さにびっくり。注射器で加糖しているのではないかと思うくらい甘い。そしてこのねっとり感。ふと、「これできんとんできないかしらん」と思いついてやってみました。

上出来!サツマイモは裏ごしをしないとざらつくのですが、どうせ私しか食べないのだからと省略。みりんや栗の甘煮瓶の汁や砂糖を混ぜて練り練りしたら、5分で完成してしまった。

きんとんは練れば練るほど美味しくなると、昔必死で練っていたのは何だったんだと思うくらいなめらか。甘さも調節できる。1本158円安さも嬉しい。栗の甘煮は業務スーパーで175円。普段は買わない大陸製食品だけど、日本製には手が出ないので仕方がない。

正月に限らず、ドンキの焼き芋はいろいろと使えそうなので、これから愛用します。

さて、今年もこの「風に吹かれて」を読んでくださってありがとうございました。4月から更新頻度を上げました。来年はどうなるかわかりませんが、日ごろの思いなどを綴ってまいりますので、また寄ってくださいね。

モラハラパブでは大ママやってます。

閉店は22時。ラストオーダーは21時30分でございます。コロナ対策していますので、ぜひお立ち寄りくださいね。

「和牛」にモラハラを見る

関西の友人が「モラを笑いに昇華した、希有な作品のように、私には思われ」と、漫才コンビ「和牛」の動画URLを送ってくれました。以下リンクができないので、YouTubeの検索で探してください。

和牛 ドライブデート
和牛 手料理

モラハラと言うより、アスペですよね、これ。だって、邪気が感じられないもの。嫌がらせでやっているようには見えない。空気が読めない、相手の気持ちがわからない。モラ夫の自己中とはまた違う自己中だし。

でも、こちらはどうでしょう。
YouTubeで「和牛 漫才 束縛」で検索してください。

モラハラ男は結婚前はこんなにストレートに言ってきませんが、結婚したらもっと強烈に言ってきます。そしてそれに従わないと「無視」「物を投げる」「子どもにあたる」「小さな嫌がらせを繰り返す」「生活費を渡さない」などのハラスメントツールを出してきます。

【これは閲覧注意】   和牛 漫才 「洋服屋の店員が苦手」
私はきーーーーっとなりました。でも接客業の方ならあるあるなのかも。ああ、これを悪意をもって、もしくは本人は正義のつもりで、妻を教育しようとしているのがモラハラ。

とてもきつい生活なのがわかってもらえるでしょうか。

健康か経済か

タイトルを見て、コロナの話かと思った方はハズレでした。これはモラハラの話です。夫からのモラハラを受けている方で、まったく健康そのものという方はほぼいません。みなさん体がどこかしら不調です。

被害者の中には一生治らないような病気を抱えている方もいます。その病気の元を「夫からのモラハラ」と断定はできないものの、夫と暮らす前は健康で、結婚後すぐに症状がでたとなると、結婚が体の不調の原因になった可能性は大いにあります。

「避難応援プロジェクト」でも、ご自分の収入が見込めないので、夫とは離れずに仮面夫婦を続けることも考えているという方もいました。その判断については個人の決めることなので口をはさむことはできませんが、こうやって「一生回復不可能な病気になってしまった方」を間近で見て、そして夫が健康でない妻を見限って家を出て離婚訴訟を行うという現場を見ると、果たして判断は正しかったのかと思います。

すでに長年別居していますから、夫からのストレスはありません。でも、体は治らない。この先どうやって暮らすか、明るいとは思えない未来を考えると、夫からのストレスと同様に辛いだろうなと思います。

裁判所は放られた方の今後の生活のことは考えてくれません。粛々と財産分与や年金分割の手続きをするだけです。妻の健康被害が夫からのモラハラであると認定されたかどうかは判決文を見なければわかりませんが、今回は妻が「夫からモラハラを受けていたが、生活が不安なので離婚はしたくない」と言っていることから、和解で決着がつきそうで、判決文は出てこないと思います。

一生復活できないかもしれない病気にさせられたけど、経済が不安だからその原因と思われる夫とは離婚したくないという、一見矛盾した結末ですが、多くの被害者がその状態にあります。

健康か経済か。コロナと同じつきない問答ですが、どちらから見るかで自分はどうするかを決めることになりますね。

法廷でモラル・ハラスメントがでた日

離婚裁判を傍聴しましたが、原告(離婚したい側)が男性の時の方が多くありました。モラハラ被害者同盟では「妻が離婚したいのになかなかできない現状」に歯噛みすることが多かったのですが、私が傍聴したケースのうち、夫原告(離婚したい)が2件、妻(離婚したい)が1件でした。

3件ともモラハラと思われる行為が夫、または妻からあり、離婚請求となっていました。その中で、「あなた(夫)は妻に対してモラル・ハラスメントをしていたという自覚がありますか?」と弁護士が問う場面がありました。

もう、心の中で喝さいしましたね。

裁判所の中で「モラル・ハラスメント」という言葉が出て、それがどういうことか説明するわけでもなく、裁判が続いている。つまり、説明しなくてもモラハラはほとんどの人が知っている言葉だということです。

苦節17年(笑

こんな日が来るとは思えなかった17年前。法廷の中でもうモラハラは「浮気」と同じように、普通の離婚請求理由になりました。

傍聴した裁判ではモラハラチックな具体例が次々と本人尋問で語られ、それが離婚理由ということは、モラハラという言葉が登場する前から法廷では「相手から精神的な暴力を受けため、体が不調になり、耐えられないので離婚します」ということが語られていたということになります。

モラハラと言う言葉が出てきて、それを解説する書籍がたくさん発行されたり、メディアで扱われるようになり、「どうやら今までのアレはモラハラというものだったらしい」と、裁判関係者には伝わっているようです。

ただ、だからと言ってモラハラを受けたから何か賠償金があるかどうかはまた別の話です。一番気になったのは、夫が離婚を求めていて、妻が拒否しているケースです。拒否している妻は「自分はモラハラを受けていた」と、数々のモラハラあるあるエピソードを語っていましたが、「離婚はしません」「生活が不安なのでしません」と言う。

「こんなにひどいことをされていた!」と訴えながら、「離婚はしません」と言う。当然夫は「事実無根である。そのようなことはなかった」と言います。つまり、モラハラがあったとしても「改善はない」。でも、妻は離婚したくない。

別居から年月が経っていれば、離婚は認められるでしょう。いくら「離婚したくない」と言っても、離婚判決は出ます。

裁判は離婚したい方が圧倒的に有利です。別居期間さえ長ければほぼ確実に認められる。そういうものだと思ったほうがいいです。

普通はこうでしょ

「世の中に普通なんてないんだよ。多様性だよ、ダイバーシティだよ」とはいうものの、やっぱり普通はあります。その「普通」とはあなたが生活している場所の方々の多数の方たちの意思意見が「普通」です。

普通は時間と場所で変わります。日本の普通と韓国の普通は違うし(場所の違い)、現代と明治時代(時間の違い)ではやはり違います。だから「普通は」と言ったら、今現在生活している周辺のみ通じることです。

とはいえ、「人間だったら普通そうでしょ」ということはあります。

夫だったら普通こう言うでしょ

夫婦だったら助けるでしょ、などなど。

つまり夫に自分が思っている行動を求めます。でも、モラハラサイトに来られるくらいだから、夫は普通の人ではないのです。普通ではない人に普通の行動を求めること自体が無意味です。そこに何かあるかというと「失望」です。

「期待をする」から「失望する」「失望するからショックを受ける」

夫が普通ではないとわかっているのに期待をする。今までさんざん失望してきたのだから、もう期待はしないことにしませんか。その方が精神的ダメージが少なくて済みます。怒りもありません。

ただし、これが被害者にとって、落とし穴でもあります。期待していなかったのに、ほんのちょっとだけプラスがあると心がほどけてしまうのです。

誕生日にはプレゼントがあるのが普通。でもモラ夫からはそんなものがあるわけがない。だから期待せずにいたら、スーパーでお饅頭を買ってきてくれた(たまたま自分が食べたかっただけ)。これでもう「私の誕生日を覚えていてくれた。本当はいい人だったんだ!」と今までされた数々のことを棒引きにしてしまう人の好さ。

これが被害者になってしまう元々の要因だったりします。

弁護士は慎重に選びましょう

とある離婚裁判を傍聴したときのこと。

原告(妻)側は沢山の証拠を持ってきており、それをひとつずつあげて弁論する弁護士は、惜しいことにせりふ棒読み。どうやらこの離婚裁判は、新人弁護士の練習台にされてしまったようです。先輩弁護士もついていてふたりでやっているから、結論に違いはないだろうと思いますが。

証拠書類を持つ手がぷるぷる震えているので、緊張しているのでありましょう。

どうやら夫も同じように思ったようで、落ち着き払ってのらりくらりの答弁が続きます。夫は社会にもまれた百戦錬磨の企業戦士。棒読みぷるぷるの若い弁護士なぞ鼻で笑ってしまっています。

弁護士選びは家を出る前に終わらせ、家を出ると同時に受任通知の内容証明を送るというのが手順です。家を出る前はたっぷり時間がありますので、弁護士選びは慎重にしたいところです。同一料金でふたりでやりますと言われたら、手厚いわけでもなく、新人弁護士の練習にされる場合もあります。

ちなみにこの裁判の弁護士ふたり、原告側、被告側とも立派なHPを持っていました。ただ、そのHPによると被告側の弁護士は離婚を得意とする方ではないようで、なぜにこの弁護士に依頼したかが不明。特に弁護人からの質問では、素人の私でも目がテンになるような意味不明な質問が飛び出ました。

その質問とは「原告が書いていた日記に出てくるDV夫がこの被告人(夫)だという証拠がどこにあるんですか?!」

びっくりしますよね。離婚裁判で「夫」と言ったら被告に決まってます。

すかさず裁判長から「ここでは夫とは被告人のこととしていますから」というお答えが出てきましたが、あれは裁判長もびっくりしたと思います。