ジャニーズ事務所は昨日、ジャニー喜多川前社長の性加害問題に関して調査してきた再発防止特別チームの報告書を公表しました。ジャニー喜多川による少年たちへの性被害は間違いなく存在していて、その被害者は少なくとも数百人に及んでいるとのことです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d3d91f0489b1da902892ea05a632cb07dd37f481
報告書にはこの犯行は会社が知っていながら隠ぺいしていたこと、逆らうと干されるという少年たちへ恐怖を与え、口外することもその中に入るため、言えない環境があったこと。事務所も「通る道だ」などと、このことは当然といった雰囲気があったこと。
そして何より、この事実を知っていながらこれに触れることを言うとジャニーズ所属のタレントを使用できなくなるという報復を恐れて、マスメディアが沈黙していたことが挙げられています。
ここにも書きましたが、黙っていたのはマスメディアだけでなく私たちもみんな知っていました。そうなんだろうなぁと思っていました。「そうなんだろうなぁ」で終わってしまった原因のひとつは芸能界というところは多かれ少なかれそういうことがあって、それを利用してのし上がるところだからという固定観念があったからです。
芸能界に入りたい少年少女たちは大勢いて、さらにそれを応援する保護者もいて、「ちょっとやそっとそういうことはあるだろう」というのが私だけでなく、多くの大人たちの思いにあるのではないでしょうか。
男性への性被害は女性に対するものよりも小さいのではという思い込みもありました。女性は妊娠する可能性がありますし、性加害は昔からあるものですが、男性への性加害については普通目に触れることが少なく、加害が過小評価されてきたこともあります。
# 同性間の性交渉の話になると、必ず森蘭丸と織田信長が登場して「昔からあったよね」というところで終わる
これがこうやって明るみに出て、被害者として名乗りをあげてくれた方々が証言してくれたおかげで、この分野もまた一歩前進することになるでしょう。
ニュース番組に出演した被害者のひとりの方は「ジャニーズ事務所がこのことに真摯に向き合い、是正し、新しいエンタメ業界を作り上げること」という部分に「そのことが盛り込まれたことが一番うれしい」と発言されていました。
被害者救済だけでなく、それをして欲しかったから証言されたんだろうなぁと思いました。
このジャニー喜多川の性加害については一度裁判になっているはずなのですが、それがどうなったのか覚えていなかったので、ググってみました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7717d8e03693af0793c644222f3a7a9184336d3d
裁判は週刊文春がジャニー喜多川の性犯罪を記事にしたことで名誉を棄損されたとジャニー側が訴えたものですが、この判決の中でジャニー喜多川の性犯罪はあったと認定しています。つまり文春の記事は正しかったということ。
ところが裁判が終わってもなんら加害者は粛清されず、性加害は終わらず、文春以外のマスメディアは沈黙してグラビアにジャニーズの少年たちを起用し続けました。
今回こうやって明るみにでたのは英国BBCがこの事件を取り上げたからです。文春以外の日本のマスメディアは報復を恐れて何もしてきませんでしたが、報復のない海外メディアは取り上げました。そして今、日本のメディアはジャニー喜多川がいなくなり、ジャニーズ帝国が滅びゆくことを予感し、やっと取り上げるようになりました。
芸能界という華やかな世界で繰り広げられた惨事が今後どうなるのか、注視していく必要があります。それはジャニーズだけでなく「エンタメ業界なら普通あるでしょ」といった私たちの固定観念も覆す結果であってほしいと思います。
蛇足ではありますが、この特別チームに飛鳥井望先生が入っておられたことに、ニュースを見てびっくり、というか、入っておられるのは当然なのに気づかなかった私。飛鳥井先生はずっと昔から犯罪被害者のケアにあたっておられます。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/256215
思わずググってしまいました。