内田也哉子とみっつの種

先日たまたまついていたテレビに樹木希林が映っていました。日テレで放送された「ザ!世界仰天ニュース 秘蔵映像!内田裕也&樹木希林!娘が語った超キテレツ夫婦の真実」です。

https://tver.jp/episodes/epe0vuznjo

↑番組VTR 消される前にお早めに

私は途中から見たので、たぶん内田裕也と樹木希林の変わった夫婦生活をドキュメント化して、おもしろおかしく放送したのだと思っていましたが、番組の最後の方で、娘の也哉子さんが半年ずれて亡くなったふたりの葬式で読んだ謝辞の映像が流れました。

私は内田也哉子とは樹木希林の娘としか知らず、結局何をしている人なのかも知らなかったのですが、その謝辞の言葉の選択に度肝を抜かれました。言葉を操る天才としか思えない、まるで広い宇宙からひとつずつ集めてきたかのような言葉選びのセンス、絶対に他の人には真似のできない熟成された、それでいて斬新な、流れるような言葉運び。

いったいこの人は何なんだと、必死でググりました。肩書はエッセイストとあったので、どうりで言葉選びが洗練されているはずだと思いました。

YouTubeにはインタビュー映像などもあって、それを見ると樹木希林・内田裕也夫妻の子どもで生まれたばかりにかなり変わった子ども時代を過ごされたようです。

彼女にとって最大の幸運はシブがき隊のもっくんと結婚したことでしょう。もっくんは内田家の婿になり、内田雅弘になっています。15歳だった也哉子さんを「その存在感に惹かれた」というもっくんが樹木希林に請われて内田家の婿養子になったのも、もっくんの人間性と度量の大きさならではでしょう。

樹木希林・内田裕也という類まれな才能からたったひとりだけ生まれた也哉子さんですが、もっくんとの間に3人の子どもをもうけます。一粒だった種が、みっつの種を世に送り出しました。

私が度肝を抜かれた謝辞の中で也哉子さんはこう語っています。

”まるで蜃気楼のように、でも確かに存在した2人。私という2人の証がここに立ち、また2人の遺伝子は次の時代へと流転していく…。この自然の摂理に包まれたカオスも、なかなか面白いものです!”

遺伝子は次の時代へと確かに引き継がれ、また次の世代への架け橋になる。

肉体が滅びても、DNAは受け継がれる。みっつの種を撒いた也哉子さんは、やっぱり素晴らしい。そして、その也哉子さんを世に送り出した内田夫婦もまた、偉大でした。