「弁護士がちゃんと話を聞いてくれない」について 1

モラハラで離婚を考えている方の多くが弁護士に相談に行かれると思いますが、その弁護士の対応がそっけないとか、冷たいとか、中には腹がたったので途中で出てきたという方もいます。

この弁護士の対応について少し書いてみたいと思います。

たとえば役所の無料法律相談の場合、担当している1年契約のその時だけ来る弁護士の場合は、家事事件にあまり詳しくないことがあります。

弁護士は「どんな分野もやりますよ」とは言いますが、実際のところやはり得手不得手はあります。中には養育費の計算方法を知らない弁護士もいます。会社の顧問だったり、交通事故専門だったり、医療関係に強い、詐欺が得意という人もいます。

離婚は家事事件ですが、この方面に強い人がたまたまその役所で法律相談を受けていたらとってもラッキーですが、あまりそういうことはありません。ただし、男女参画センターが独自で行っている法律相談は、家事事件をよく知っている可能性があります。

あまり離婚について詳しくない弁護士が「夫が高圧的で話し合いになりません。モラハラを受けていると思います」と始めても、おそらく身を乗り出してはくれないでしょう。何しろ「夫がモラハラで」と話始めると、そこから先のエピソードはどこの家でもよくある出来事だからです。

そうなると弁護士は「あ、旦那の愚痴ね」となり、「どこの家でもそういったことはありますよ」「離婚してやっていけるんですか?」「じゃ、調停について説明します」と言って通り一遍の調停の説明をして終わりになるでしょう。

また、役所の無料法律相談にいる弁護士は気にいったから依頼しようとしても、その場でお願いすることはできないことが多いと思います。それは役所と弁護士との間で、その場で仕事を受注してはいけない契約を結んでいるからです。

弁護士は自分の儲けにはならない仕事にはあまり積極的になってくれない傾向があります。もちろん弱い人の味方になるために弁護士になり、ずっとそういうつもりで働いている人はいるかもしれませんが、何しろ次から次へとやってくる「夫からひどいことをされた」という女性たちの話はどれもこれも同じに聞こえ、「あ、またか」と思うのです。

役所の無料法律相談に行く時は「あ、またか」と思われることを前提に相談に行った方がいいです。そして相談は「夫からこんなにひどいことをされた。離婚すべきか」ではなく、「もう離婚を考えているのでどういうステップを踏むべきか」というところまで行ってからの方が内容の充実した相談を受けられると思います。

いやそうではなく、自分の状態が離婚すべきかどうかを聞きたいという方は弁護士ではなく、男女参画センターの相談員などに相談した方がいいでしょう。弁護士は人生相談は受けないのです。