見たくないものは見ないことにする

こうやって自分で自分のお尻を叩かないと動かない私が言うのもナンですが、相談員をしていた時に時々伺った、動く時に動かないとにっちもさっちもいかなくなりますよのお話です。

モラハラではなかったのですが、よく夫から離婚だと言われる方でした。モラハラの場合は「離婚だ、出ていけ」は脅しでしかないので聞き流してもよいのですが、この方の場合はモラハラではなく、本当に夫は離婚したくて結局は出て行ってしまいました。

夫に家を出られてみると、この先の生活のことが急激に心配になってきました。妻は週に2日のパートだけです。中高の3人の子どもがいてこれから急激に教育費がかかる時期。

一生懸命貯めたお金もすでに底をつきかけています。つまり貯金ゼロ。

もちろん調停をして婚姻費用はもらうことにしましたが、夫はそれほど多くない収入でしたから、受け取る金額も充分というにはほど遠い。夫から「離婚したい」とはずっと言われていましたが、まさか子ども2人を残して本当に家を出るとは思っていませんでした。

彼女はどうしたらよかったのでしょうか。

夫の収入が少ないのですから、彼女はパートではなくフルタイムの仕事を探すべきでした。確かに扶養の範囲を超えると社会保険料や税金が引かれますので手取り額が少なくはなりますが、夫からの養育費とパートの7万円では子どもふたりを育てるのは大変です。

大変なのはわかっていましたが、彼女はイメージすることをやめたのです。

「考えてもどうしようもないから考えないようにしてきました」

そもそもよっぽど夫が太っ腹で高収入だったら養育費をポンと渡してくれることも考えられますが、何しろ夫の収入が少なすぎてそれは望めない。夫の収入が少なければ妻ががんばって働いて二輪車で家計をやっていかなければならないのに、考えるのをやめて「なんとかなるさ」と日を送ってしまい、どん詰まりになるまで動こうとしませんでした。

誰もあなたの家の経済を支援はしてくれません。たまには放っておいてよかったということもありますが、少なくともどうすべきかということは考えておいて、もしもの時に備えておいた方が私は精神的に楽だと思います。