私が自治体で相談員をしていた時は、東京都や各自治体が主催する研修によく行きました。ありがたいことに私が勤めていた役所は、私が行きたいと言った研修には必ずOKをくれました。他の自治体では「相談員不在は困る」とか「そのために経験者に来てもらっている。研修は不要」というところもあると聞いていましたので、それに比べて私がいた役所はとても相談員育成に理解のあるところでした。
相談員経験者だから研修は不要というのは、かなり相談員の実情を知らない自治体です。相談員は常にスキルをアップグレードしなければなりません。東京都や各自治体が行う研修・講座は、無料なうえにそこまでの交通費を出張費として役所が出してくれます。年に6ー7回くらいは出かけました
その中に発達障がいに関する研修がありました。発達障がいを専門に扱う機関から派遣された方がひととおり発達障がいについて説明をしたのですが、終わりの方になって言いました。
「ADHDの場合よく物を無くすので、使ったら元の場所に戻すよう、置いてある場所を一か所に決めるようにと伝えましょう」
ADHDは注意欠如・多動症といいます。
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease07.html
物を失くす、片づけができない、遅刻が多い、注意が散漫で集中力がないと書いていって、わたし、とってもドキドキします(笑)たぶん私はグレーだろうなという自覚はあります。
さて、講師が「使ったら元の場所に戻すよう、置いてある場所を一か所に決めるようにと伝えましょう」と言った時、隣に座っていた方が「それができないからADHDなんじゃないのよー」と不満そうにいいました。たぶん彼女もグレーのお友達だと思います。
「そーだ、そーだ」と私も大いに同調します。きちんといつも同じ場所に置けたり、切符をいつも同じ場所にしまっておけたり、使ったものをちゃんと元の場所に返せるのならそれはADHDじゃない。それができないから発達障がいなのですよ。
この発達障がい者の支援センターはどうやってその「使ったものを元にもどす訓練をしているんだろう」と素朴に疑問に思いました。このセンターに来るまでに、ADHDやADDの人は相当苦労をしているはずです。必要なものがいつも見つからない、出かけるたびに持ち物が無くなる、切符を降車地まで持っていることができないなど、社会生活に不便を感じ、自分でもどうにかしようと思っているし、周囲の人も「使った後に元に戻せない人」に対して困ったり、イライラしたりしているはずです。
発達障害専門のこの講師、どうやって使ったものを確実に元にあった場所に返すような訓練をしているのか、もっとじっくりと聞いてみたい気がしましたね。