アラカンの頃になると、周りの同世代の女性たちからはひとりでいることをとても羨ましがられます。口々に「私もできるならひとりになりたいわ」と、私がひとりでいることを慰める意味で言っているのではなく、本当に心から夫が疎ましいようです。
なので、50歳を過ぎて夫と離別することを悩んでいる方を見ると「離れた方が楽よ」と言ってあげたくなります。夫が浮気などで離れたいと思ってる場合などは、有利な条件をつけてさっさと手を切ることを強くお勧めしたいです。きっと後から「あの時別れておいてよかった」と思う日がきます。
ひとりは寂しくはないかとひとりになることを恐れる人がいますが、もしたくさん趣味があって友だちがいる方は、ひとりで自由に時間が使えるはずなのに、それでも足りないくらいやりたいことが山ほど出てきます。
大体60歳を過ぎると夫は無用の物になりますが、中には仲の良いご夫婦というもの存在していて、その話を伺うとほぼ全部同じなのが「夫が料理をする家」です。
掃除や洗濯といったものは2・3日やらなくても死にはしませんが、食事だけは2回、夫が定年退職後は3回作らなければなりません。1回をお弁当で済ませたとしても、その次はパンというわけにはいきません。1回簡単に済ませたら、次はしっかりとした食事というのがなんとなくあります。
大体60歳を過ぎると楽しみは食事だけという場合もあります。知り合いで「死ぬまでにあと何回食べられるかと思うと、1食も無駄にしたくないだ」と言いながら、ちゃんとした食事を求めて安くておいしいお店を探していた人がいました。
家事の中で一番大変で、夫にとってもハードルが高いのがこの食事作りです。男の料理と言えば値段も考えずに材料を買ってきて、「あれはどこにある、この包丁使いづらい」と文句ばかりでかえって手間がかかったりするものですが、ほとんどの主婦は限られた予算で材料を買い、腐らせることなく使い切り、家族の好みを熟知して、栄養バランスを考えて品数多くと、こんなに大変なことを日に2~3回も行っているのです。
「週に1度でも代わって欲しいわ」という方も多いでしょう。それが仲のよい夫婦は妻が外出先から帰ってくるとご飯ができている、仕事が忙しい時期は全部夫が作っているといった様相で、誠に感謝感謝の相方なのです。架空の話ではなくこんな夫婦が実際に私の周りに何組がいます。
この男たちは「奥さんも疲れているだろうからさ」と、食事を作っていることを恩に着せるわけでもなく坦々とキッチンに立って作っています。特に料理教室に通ったわけでもありません。
仲のよい夫婦は大抵夫が食事を作っている。私の中の定義です。