会いたいよりも見栄

今回はご好評?の母ネタです。

緊急事態宣言が継続し、母と面会できない口実も継続しています。とりあえず週1度、20秒の電話をしているのですが、母はそのたびに「会いたい」と言います。

コロナが始まった頃、母が「会いたい」と言うので、「高齢者施設に入っている人は外出しないで、面会せずにリモートでって国が言ってるでしょ」と言ったら、「ううん、それは建前でさ、どこの家もみんな来ているよ」と言う。

#総理大臣様、厚労省担当者様、自治体知事様。施設でクラスターが発生するのはこのような状況のためでございます。

「そういう人はバカなの」

「ええ?」

「そういう人たちはバカなの」

「・・・・」

これだけ高齢者はコロナにかかったら危険と言われている中で、面会に行ったらマズイだろうと思う。

3月に「これが最後の花見になるかもしれない」と思って、母を施設の近所の桜を見せに連れ出しましたけど、その後2週間気が気でありませんでした。これが原因で施設内でクラスターになってしまったらどうお詫びをしたらよいかわからない。

「それは建前で、みんな来ている」って言うけれど、私が子どもだった頃、「学校ではダメと言われているけどみんなやっている」と言えば「絶対にダメ」って言っていたあなた。「先生の言うことはちゃんときかないとダメ」と言っていたあなた。

自分の段になって「それは建前で」と言うか。

「どこの家もみんな来ている」というけれど、「みんな」ではなかろう。やっぱり何かあったらと思う人は多いだろう。自分の親だけではない、施設全体が大騒動になり、死人も出ることになることをやるのだから、相当の覚悟がいる。

母が「会いたい」と言うのは単に会いたいからというわけではありません。施設内に面会の人が来て、「これ、子どもが持ってきたの」と見せられて、負けず嫌いの母の闘争心に火がつかないわけがない。人がニコニコする(母は自慢ととる)のが面白くないのです。

とりあえず時々それっぽいものを送って「これ、娘が送ってきたの」と見せびらかすネタは差し入れていますが、いやいや、私って本当にいい娘だと心の底から思います。