藁の一本

モラハラ界には「最後の一滴」とか「藁の一本」と評される言葉があります。

表面張力でやっと持っていたコップの水が、一滴の水でこぼれてしまう。

重い荷物を背負わせて砂漠を歩かせていたロバに、1本の藁を追加したら崩れ落ちてしまった。

耐えて耐えてやっと生きてたところに、ほんの些細な一滴や一本が追加したことで力尽きてしまったというたとえです。

67歳の人気ブロガー、ショコラさんが67歳で仕事を辞めることにしたそうです。

https://lee3900777.muragon.com/entry/2227.html

月12万円の収入で豊かな老後を過ごすをモットーにブログを書き続けていらっしゃるショコラさん。たぶん70歳をめどにリタイアを考えておられたと思いますが、67歳でリタイヤを決められたそう。

その理由は以前から体力の衰えや、仕事の内容など、思うところがいろいろあったようですが、とどめになったのは

”直接関係のない30代男子社員から訳が分からず責められた時
思わずプッツンしてしまい^^;”

とあります。

ああ、わかるー。私も2度それで仕事をやめています。

地方で働いていた時に、会社のトップが変更になり、仕事場の雰囲気ががらりと変わってしまい、私が大好きだった職場ではなくなってしまいました。

でも、安定した職場であることは変わりなく、収入も地方ではいい方。辞めても次に勤める会社がここより良いところはあるだろうかなど、ぐるんぐるんと同じところをずっと考えていたその時、後輩女性から結構な罵声を浴びせられました^^;”

実はこのことはずっと忘れていたのですが、最近手帳を整理していて見つけました。

ああ、そうだったんだ。あの一言で私はプッツンして仕事を辞める決心をしたのだった。

あの一言がなければ、もしかしたらジャストタイミングだった退職時期を逃すところだったかもしれません。だから彼女には大感謝です。

学校を出てから最初に勤めた会社でも、お局様からの一言で2年勤めた仕事を辞めました。辞めた後に良い職場に巡り合い、長く勤めることができました。だからこのお局様にも大感謝です。

モラ夫とも長く一緒に生活していましたが、ある日彼の一言でプッツンして離婚の決心をしました。あの一言がなければ、私は「こいつとは絶対に離婚する」という決心をしなかったかもしれません。

ここで言う藁の一本は「もう無理」と決心をつける次に繋がる一本でした。一本を積んでくれた相手にはむしろ感謝です。

まだモラ家からの避難ができない方は、もしかしたらまだ1本の藁が積まれてないのかもしれません。またはもうとうに限界を超えているのに「まだがんばれる」と荷物を背負って砂漠を歩いているのかもしれません。

あなたは背負わなくてもいい重い荷物を背負わされて、ムチと飴で歩かされていることに気づくこと。

モラル・ハラスメントはそれに気づくための言葉です。荷物を下ろしたら、世界は広がります。

相手の要求を抑えるモラハラツール

クリスマスが終わると年末になり、そして年明けになります。今年は31日が土曜日、1月1日が日曜日なので、ドキドキしなければならない期間が少しは短くてすみそうですね。

元夫は年末年始にも仕事があるので家にいることはなく、そこは助かりました。夫がお正月に大はしゃぎするのは親戚がやってくるからです。

兄一家もやってきて、甥姪にお年玉を渡すのですが、夫からは渡さなくてもいいと言われていました。それでも律儀に私がふたりにお年玉を渡していたのは、昔、私が子どもだった頃、お年玉が私の大事な1年間のお小遣いの稼ぎ時だったからです。

両親からはお小遣いはもらえない。「欲しいものがあったら言いなさい」とはいうけれど、「○○が欲しい」と言えば「そんなものいらない」と言われるし、言ったら言ったで「うちはお金がないんだから」「なぜ必要ないものを欲しがるのだ」とブリブリと怒り出すのはわかっている。ここは元夫と同じですね。

相手から要求があったら「必要ない」と言い、「なぜそんなことを言うのか」と言って怒るとうのは、なかなか効果的なモラハラツールだと思います。もうこれで相手は「要求したら怒られる」ということを学習しますから、二度と要求はしてこなくなります。

怒られるだけではなく、「その後、長い間の不機嫌無視が続く」というのは、「お前が身の程知らずな要求をした罰だ」と言う意味です。

ところが理不尽なことではありますが、夫は無視を始めるとやめるタイミングがない。こちらから止めることはできないので、相手から何かしらの止めるのにふさわしい態度をとってもらわなければなりません。

これが土下座だったり、泣いて謝るとか、ともかく止めるための何かのアクションを相手に要求します。

#自分で始めておいて、何をあほくさいことを言うのかと今なら思う。

ともかくこちらは「身の程知らずに要求などして申し訳ありませんでした。あなたを不愉快な思いにさせてすみませんでした」と謝り続けることになります。

そこで夫は渋々を装いながら「二度とすると誓え」などと誓約書を書かせたりします。どこまでも自分が上なのです。

今年の年末もひとりで穏やかに過ごしますが、1日は子どもたちがみんなでやってきて、三が日は楽しく過ごす予定です。

あんな理不尽な悔しい思いをなぜずっと耐えていたのだろうとは思いますが、「ともかく還暦過ぎたら楽しい人生」を送れていますので、あれも5月の花を咲かせるための1月の雪だったのでしょう。

元夫ですかぁ?

ひとりでコタツでミカンじゃないですかぁ?糖尿病だそうで、酒飲めないしぃ。

フィショさんの記者会見がありました

昨日、この件の方↓が日本外国特派員協会で会見をされました。

この記者会見の中で述べられていることは↑の内容と一致しています。

妻は夫から「離婚だ離婚だ」と言われて憔悴して子を連れて家を出たら、(今まで子どもの面倒を見ていたのは自分だから)、今度は連れ去りだ誘拐だと言って大騒ぎをしている。

これは多くのモラハラ家の事例とぴったり重なります。「離婚だ、出ていけ」と毎日のように言うので出て行ったら「違法な連れ去り」とか言う。(ただのおっさんが「違法な連れ去り」なんて言葉を知っているとは思えない。検索してTwitterあたりから拾ってきたものでしょ。)

多くのモラハラ家庭事案ではこの後「帰ってきて欲しい」と土下座せんばかりに(本当に土下座したりして)詫びを入れるものですが、このケースはこのような大騒ぎになってしまいました。

私は共同親権を推進する人たちがこの事案にのっかって、「世界のスタンダードは共同親権である、よって日本もそうせよ」としているように思えます。

確かに共同親権の国が多いのですが、養育費は国が立て替えて収入の多い方に請求する、あるいは税金と同じように徴収して子どものいる家庭に渡すというような、離婚をしても安心して暮らせる制度になっている国と、離婚したら原野に放り出されたのと同じ、わずかな助成金があるだろうとばかりに国も何もしない、そういう国が果たして世界標準に乗っていいのでしょうか。

そもそも一生に残るようなPTSD状態の被害者をそのままにして、加害者は放置したまま。せめて加害者更生プログラムを国が補助するくらいのことをしたらどうなのかと思います。

私はお金をただ配るだけでなく、仕事のあっせんや、困った時にちゃんと手助けしてくれる場所の提供など、親子がちゃんと夕飯を一緒に食べられるような生活を送ることができるようにして欲しいと思っています。

なぜこの一家の離婚がここまで大きくなって国際問題にまでなってしまったのか。国内では難しいので外圧をかけようと、都合のいい部分だけを海外に流して彼女を悪者に仕立てているように感じます。

みんなハラッサーが嫌い

ここに書いた通り、現在の単独親権を継続するか、共同親権にするか、または選べるようにするかなどを決めるために一般から意見を集めるパブコメが開始されています。

令和3年度の司法統計によると、離婚調停・審判で離婚に至った夫婦の中で父が親権者となったものが約9割が母に定まっていますので、共同親権を求めるのはほとんど父親です。

Twitter界隈では、児童虐待があれば「共同親権にすれば虐待は防げた」、事故や事件があれば「共同親権だったら事故や事件は起こらなかった」と、世の中のなにもかもが共同親権にすれば全部うまくいくというような極端な意見が多く見受けられます。

そして子どもを連れて家を出ることを判で押したように「違法な連れ去り」「誘拐」と表現します。こういった過激な言葉遣いや、街宣、ビラ撒き、DV支援する個人への誹謗中傷、攻撃は当然裁判所も知っています。なぜならそういう人たちが離婚を決定にしたのは裁判所だからです。

モラ夫たちは裁判所で当然ながら非常に嫌われているそうです。あの家の中で行っていた屁理屈を並べ、怒鳴り散らしてまくしたてる、ああいえばこういう、とんでもない要求をごり押しする、絶対に自説を曲げないという行為を裁判所でやるわけですから、対応する人たちも大層大変だったでしょう。裁判所や役所を相手取った裁判も沢山起こしています。

そんな人たちが共同親権になって、離婚した家庭に乗り込み、同居している時と同じようにふるまうことがどんなに危険か、裁判所もわかっています。わかっていないのは当の本人たちだけです。

法律を作るためには当事者の声がとても貴重です。旧統一教会の被害者救済法案が衆議院で可決されましたが、あの小川さゆりさんの声がなかったら、ここまで持っていくことができなかったかもしれません。

離婚後の生活が平穏なものにするためにしっかりと声をあげましょう。共同親権にすることを危険と分かっている立法関係者があなたの声を待っています。

3 宛先
法務省民事局参事官室
・郵送:〒100-8977
東京都千代田区霞が関一丁目1番1号
・FAX:03-3592-7039
minji222@i.moj.go.jp

意見フォームはこちらまで

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080284&Mode=0

共同親権のパブコメが始まりました

”父母の双方が離婚後も子の親権を持つ「離婚後の共同親権」の導入を盛り込んだ民法改正の中間試案について、法務省は6日、パブリックコメント(意見公募)を始めた。”

https://news.yahoo.co.jp/articles/3bc66459d9317b4d792aaea020ff6b48440738b5

パブリックコメントとは国が一般の人に意見や情報を求める手続きです。国だけではなく、県や市単位でもパブコメはあります。

そのパブコメの内容はこちらです。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080284&Mode=0

この中にあるパブコメの要領はこちらです。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000244683

要領はこれです。

1 意見募集期間
令和4年12月6日(火)~令和5年2月17日(金)

2 意見送付要領
パブリックコメントの意見提出フォーム、電子メール、郵送又はファクシミリのいずれかの方法により、日本語にて、意見募集期間の最終日必着で送付してください 。

外国在住の方も意見を提出していただいて差し支えありません。御意見を頂く際には、住所(市区町村までで結構です )に加え、個人においては氏名(匿名でも構いません 、年齢、性別及び職業を、法人その他の。)団体においてはその名称をそれぞれ記入の上(差し支えがあれば、一部の記載を省略しても構いません。どの項目に対する御意見か 例えば 第2の3 ( 「 1について」など)を必ず明示するようにしてください。


また、各項目について長文の御意見を提出される場合には、集約作業の正確性を期す必要がありますので、御意見の本文とともに、その要旨を各項目の冒頭等に付記してくださいますようお願いします。————————–

つまり、メールでも郵送でもファックスでもパブコメのフォームでもどれでもいいよ、ただし電話はダメです。

3 宛先
法務省民事局参事官室
・郵送:〒100-8977
東京都千代田区霞が関一丁目1番1号
・FAX:03-3592-7039
minji222@i.moj.go.jp

メールかフォームが手っ取り早いと思います。

意見フォームは

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080284&Mode=0

このページの一番下にある「意見募集要領(提出先を含む)を確認しました。」にチェックを入れると、右下のボタンが青くなって「意見入力へ」となりフォーム入力に行けるボタンになります。

共同親権を推進する方たちは非常にエネルギーにあふれており(そのエネルギーを婚姻時の子育てに使って欲しかった)、むちゃくちゃに応募すると思われます。

共同親権になった場合、同居時の支配が継続されることは火をみるよりも明らか。子どもの教育も治療も手術も何もかも口を出して妨害してきます。

教育は母、医療は父と担当を決めても、俺の方に賛成しなければお前の方は絶対に認めない、俺の方に賛成してもお前の方は認めない←婚姻時に散々やらかしたやり方

となります。

DVは考慮すると言っても、どこをどうやって考慮するのやら、今考慮できていないものを共同親権にしてどうするものやらあまりにも不透明すぎます。

離婚で得られるはずの自由が無くなります。今結婚中の方、別居中の方、離婚したが元夫からの嫌がらせに遭っている方。みなさんが困っていることを国に送りましょう。

まともではない人と暮らす苦労、話し合いができない人と暮らす苦労、とことん根性が腐っている人と生活する苦労、離婚しても嫌がらせが続いている実情。全部書いて送ってください。

脅しというしつけ

「夫は子どもを叩いたり、車から降ろして置き去りにしてしつけたからあの子はちゃんと自分のいうことを聞くと自慢していました」

それに比べてお前はきちんと怒らないから子どもが言うことをきかない。母親としてなっていないというのが夫の言い分だそうです。

夫のいう「しつけ」とは痛みや苦しみを子どもに与えて恐怖感を持たせ、それによって子どもは自分の言うことをきくようになるということです。しつけは教育であり、当然のことをしているとしっかりとした信念を持って行っていると胸を張るそうです。

ここまでしっかりずれているとどうしようもありません。これがちょっとやそっとの更生プログラムでは矯正のしようがない。

相手に恐怖を与えて支配して言うことを聞かせると言う手法はとても手っ取り早くて簡単にできます。その簡単にできる方法をなぜおまえはしないのか、なっとらんといい、妻にも同様に恫喝、怒鳴る、生活費を渡さないといった脅しを行います。

脅しはする側が優位の立場にいるときにやるものです。これが立場が逆転したら、さてどうなるでしょう。

私は行政の福祉現場にいて、子どもが成長して自分の親に暴力をふるう話を沢山聞いてきました。子どもたちは「自分は子どもの頃に父親から散々叩かれて育ってきた。同じことをして何が悪い」「なんだったら家から出て行っていただいて結構。いや出て行って欲しい」と言うそうです。

そういわれると現場の職員も口では「暴力はいけません」とはいうものの、「親父さん、叩いてたんならしゃーないなぁ」と思うとのこと。

私もそう思います。

「出て行って欲しい」という子どもの足元にすがりついて、「頼むから置いてくれ」と泣き叫んでいる光景。

脅しによる恐怖感を与えると、結局はこういうことになるということをモラ夫さんたちには覚えておいて欲しいですね。

ロマンチックが止まらない

モラ夫に別れを告げると、なぜかロマンチックな(げろっ)ポエムのメールがやってくることがあります。これはロミオメールというらしいのですが、別れた後にこのメールを寄こす人が一定数います。

その内容は懺悔だったり、後悔だったり、ともかく内容が現実的でなくポエミーなのが特徴です。

「君と行ったあの海を行き、君を思いながら死んでいこう」的な文章です。散々モラハラをしておいて、今更なんだよと思いますが、本人はその気になっていて(死ぬ気ではなくロマンチック気)これをナルシストのロミオメールと名付けておきます。

離れていくとは想像できなかった相手がいなくなると、自分がかわいそうになって、このようなメールを寄こすのでしょう。どうしても被害者になってしまう体質なのですね。

これは多くのロミオメールを読んだ方から伺った話ですが、

「すごくロマンチック気分で書いているんだけどね、残念なことに必ず誤字があるのよ

とのことです。

残念だ。

本当に残念だ。

うっとりとその気で書いたお手紙に誤字があるんだって。

ジュリエットに出す前に読み直そうね、ロミオ。

ありがたいご報告ー脱出しました

サイトや掲示板やご覧になって避難された方から時々ご連絡をいただくことがあります。このところ相次いでのご連絡がありました。また避難応援プロジェクトに参加された方からもいただいています。

みなさん決行のその日まで息を詰めるように過ごしています。ひとつひとつ小さなことに心配し、取り越し苦労も多かったかもしれません。でも、それくらい些細なことにまで注意深く慎重に事を進めると、実行は結構あっというまに終わってしまうものです。

イベント(脱出もイベント)事に考えておかなければならないのは、A案がダメならB案、C案ともしものための予備案を作っておくことです。イベントが最初から最後まで何も起こらずにスムーズにいくことはあまりありません。何か起こって普通くらいの気持ちで次の一手を打ちましょう。

避難を考えている方のご相談を受けていると「〇〇したら夫は怒ると思う」というフレーズを何度も聞きます。「これを持って行ったら夫は怒るのでは」「これをしたら夫は何をするかわからない」とおびえる方には、「もう家を出る時点で夫は怒っています。あなたが何をしてもしなくても夫は怒ります。これを持って行ったら20個について怒っていることがひとつ増えて21個怒るだけです」と言います。

常に夫に起こられないようにすることだけを考えて生活していたため、夫が怒る、夫が不機嫌になる状況が身に染みてわかっているから、夫の反応が怖くて何もできないとあきらめ、日々を過ごしています。

でも、実際に夫から離れて時間が経った方たちは「なぜあんなしょぼくた男が怖かったんだろう」と口をそろえて言います。遠く離れて平穏な場所にいればそういった考えにみなさん行きつきます。一緒に暮らしていてもそれができる方もいるかもしれませんが、経済的DVや性的DVがある場合は完全にこれはこれあれはあれといった境地になることはとても難しいです。

今回盟友プラザに投稿いただいたざくろ石さんの脱出ドラマは「できないことは目もくれず、できることを実践した避難」でした。できないからとあきらめず別の方法でやってのけました。諦めるのはいつでも諦められる。その日は必ず来ますから、準備だけはしておきましょう。

ざくろ石さんの体験談はこちら

https://morahara.cocoon.jp/zakuroishi.html

遅すぎる後悔

共同親権を強く推進する多くは父親たちです。妻が子どもを連れて出て行ってしまったことで、子どもに会えなくなったり、会えても短時間だったりと、本人たちにとって不満な境遇になってしまっています。

出て行ってもどうせすぐに帰ってくる、謝ったフリでもすれば帰ってくる、どやしつけてやれば帰ってくるとタカをくくっていたのに帰ってくるどころか婚姻費用や離婚調停を起こされて、本気だということがわかると、がっくりと力を落とす人もいます。

O・ヘンリーの短編の中にとても示唆に富んだお話があります。

都会に住んでいる結婚2年目のある夫婦のお話。男は毎日仕事に通い、いつも同じ時間に家に帰ってきます。彼は「また昨日と同じことの繰り返しだ」と飽き飽きしています。妻が作った夕食を食べ、ふたりで団らんすることもなく、「玉突きに行ってくる」と不満そうな妻を置いて家をでます。

何も起こらないこれからの時間が楽しいわけでもなく、今日も昨日と同じ時間に家につきました。ところがその日は様子が違いました。妻が実家の母の容体が悪くなったと実家に帰ってしまっていたのです。

いつもと同じ儀式が繰り返され、いつもと同じ時間を過ごすつもりだったのに、急に誰もいなくなった部屋の中で、彼はひとり涙を流しながらなぜ妻に対してもっと優しくしなかったのか、かまってやらなかったのかと後悔します。

彼女が帰ってきたらならば、こうもしてあげようああもしてあげようと心に誓っていると、急にドアが勢いよく開けられ、妻が飛び込んできました。母親の容体がそれほど悪くなかったので帰ってきたわと嬉しそうに語る妻。

そんな妻を横目で見ると、彼はいつものとおり外套を手に取り「玉突きに行ってくる」と不満そうな妻を残して外に出ます。

タイトルは「振り子」というような題でした。平凡な日々がどれだけ幸せなことであるか、何もないことが幸せであり、そばにいる人とそれを分かち合うことの大切さに気づかず、後悔も反省もしたのに妻が戻るとまた前と同じことの繰り返しという。

モラ夫は妻子が家を出るまでわからなかった。妻子が家を出るなんて考えてもみなかった。そんな大それたことをしでかすなんて思いもよらなかった。

ま、甘く見てたわけですね。想像力の欠如ともいう。

妻子が居なくなって初めて自分の立場や、これから起こるかもしれないことに思いを馳せると、それはさめざめと泣きたくなるだろうよと思います。すべては彼の傲慢さ、共感力のなさ、自己中心的な考え方によるものだったのですが、さらに離婚の作業に入ると今までの反省はどこへ行ったやら。いかに自分が損をせずに離婚できるかへスイッチします。

この「振り子」の夫は、ある日また振り子が止まった時にしか、苦も無く時間を知ることのありがたさを感じることができないのでしょうね。

今年度避難応援プロジェクト終了しました

10月29日(土)に今年度最後の避難応援プロジェクトがありました。コロナになってから冬が流行期になるので、2回開催とさせていただいています。

今回のプロジェクトは質問が盛りだくさんで、しかも一般的なことではなく、個人毎の事情がたくさんあるものが多かったです。

この頃目立つのは夫がASDのケースです。モラ夫の場合は人間的に(抒情的に)アウトですが、ASDの中には完全自滅型の方がいます。

ASDの中には過去と未来がわからない。今しかないという方もいます。過去のことは忘れていて(だから経験が積み重ならない。思い出が消えている)、未来のことは想像できない。考えられるのは今だけという方です。

過去が消えているから、一緒に過ごした思い出を語りあうこともできない、失敗を覚えていないから、何度も同じ失敗をする。未来のことを想像できないから、財布の中にあるお金を全部使ってしまう。勤め先をぷいっと辞めてきてしまう。

こういった方と生活を共にし、家族として生きていくにはすごい覚悟と並大抵ではない忍耐力が必要だろうなと思います。今生活ができないほどに困難になっている大元に惹かれて結婚したという方もいます。そこが魅力だったけれど、生活をしていくにはそこが大きな足かせになるという展開。

こういう方と一緒に暮らしている方に伺うと「モラ夫は大切なものを隠して相手が必死で探しているのを見てイヒヒと笑ったりします」と言うと、「あ、うちはそういうところはないです」と仰います。モラ夫とASDの大きな違いですね。

避難応援プロジェクトは何度やっても毎回参加者の傾向が違っていて、一言にモラハラの家と言っても様々なものだと感じ入ります。

来年は5月と9月を予定しています。もし参加を希望される場合は前もっての予約が可能ですのでこちらまでご連絡ください。

https://morahara.cocoon.jp/form.php