事件後の記念日反応が怖い

記念日反応とは、何か大きな事故や事件に遭った時、その1週間後、1か月後、1年後と「その日」が来るたびに「アニバーサリー反応(記念日反応)」という症状が現れることを言います。

「昨日の今頃は何事もなかった」「先月の今日は幸せだった」「1年前の今日はみんな一緒におせちを食べていた」

〇〇の今頃はと思うたびに、失った方や体に異常のあった場合は「体は何事もなく元気だった」と思い出すのです。

私が支援した方は家族が殺された日が近づくと毎年入院されていました。もうその日から何十年と経っているのに、心のダメージは続いているのです。

その季節特有の天候や、季節行事の街の姿や、流れるテレビCM、匂い、音、食べるもの、すべてが引き金になって、どうしてもその時の心理状況に戻ってしまうのでした。

当初は一緒に悲しみを共有していてくれた人も、月日が過ぎると「いつまでも悲しんでいては亡くなった方も悲しむよ」などと言って慰めようとしますが、これは何の慰めにもなりませんし、むしろ立ち直らないあなたが悪いというように責める言葉になってしまます。

本人も立ち直ろう、忘れようと努力はしているのですが、体がそのように反応するので、どうしようもないのです。

カウンセリングを続けて何とか「その日」をやりすごしている方も多いと思います。この方面の療法として「暴露療法(エクスポージャー療法)」というのがあるのですが、受けている方はまるで傷口にゴリゴリと塩を塗り込まれているようだとお話してくださいました。

エクスポージャー療法とは忘れさせるのではなく、何度も何度もその状況を思いださせて、思い出すことを慣れさせる療法です。これは専門者がやることで決して素人が見よう見まねでやってはいけないものです。

とても辛いので、この療法を受けていても途中でやめる方もいらっしゃいますが、受けた方のお話ですと、受けた場合と受けない場合ではまるで違うそうです。辛くても頑張って続けてほしいと仰っていました。

今回の地震で沢山の方が亡くなったり、財産を失ったりした方がいらっしゃいます。おそらくこの記念日反応がある方が多いと思います。1月1日が忌まわしい日になってしまった方へは、記念日反応があるのだということに気をつけ、接することが大切になります。