身に付いた金銭感覚は治らない

母が92歳になり、施設暮らしも4年になりました。実は「高齢者は今住んでいるところから動かしてはならない」というのが高齢者に携わる方たちの常識で、私も知っていたのですが、母が施設に行くと自分で決断したので、ご意向に沿いました。

高齢になって判断力が無くなっているし、もともと思考に偏りがあるので、本来は判断をさせてはならないとは思いますが、こちらが「こうした方がいいよ」と言って、もしそれがうまくいかなかった場合は「お前のせいで云々」と、全部こちらの責任にされて延々罵倒されるので、すべて母親に判断させています。

そもそも近所の人の悪口三昧だったので、そんなに嫌なところだったら居ない方がよかろうと思って手配したのですが、今になって「いい人たちばかりだった」「帰りたい」と申しております。

確かに高齢者は環境の変化に適応しづらいので、うつになったりあっという間に亡くなったりしますが、わが母はもろともせずにうつにもならず、元気いっぱいであります。

月に1度程度は訪ねるようにはしていますが、その時には母は「お土産」と言って100均のお菓子を2つばかり持ってきます。3本が束になった魚肉ソーセージのこともありました。

先日友人のお母さまが友人とクルーズ船で日本一周をしたという話と写真を見せてもらいました。全額お母さまの支払いだったそうです。

「すごいね~」というと、「だってお金を持ってあの世に行けないじゃない。この世にいるときに楽しい思いをしなきゃもったいない」とのこと。

そして話をすりあわせると、どうもうちの母とこのお母様の所持金はそう変わらないみたい。

クルーズ旅行にポンとお金を出して、娘と一緒にクルーズ船にのる人と、100均のお菓子をお土産に持ってくる人。

倹約が身についた人というのは、お金があっても使えないもので、私もその部類なのですが、母の場合、人に出させるのは平気なのです。私が負担するときはドンと高いものを要求します。私は使わなくてもいいお金を出すのは私自身も、相手が使うのも「もったいない」と思ってしまうクチです。

お金がないのについ欲しいものをリボ払いなどで買ってしまうという人がいますが、一旦身に付いた「欲しいものは財布の中を考えずに買ってしまう」という癖はなかなか治らないようです。

リボ払いは「借金」ですよ!