「弁護士がちゃんと話を聞いてくれない」について 2

こちらの続きです。

役所の無料法律相談ではなく、実際に弁護士事務所に行って相談したが、なかなか親身になってもらえなかったという話も伺います。

弁護士は受任するときには「その事案が勝つ見込みがないとはいえないこと←(いつも思うけど、この二重否定だか三重否定だかはどうにかならないのだろうか)ということを条件につけています。

要するに勝てる見込みのないものは受け付けないのです。そして弁護士費用というのは最初に支払う着手金と終わった時に支払う成功報酬がだいたいの儲けになります。離婚したいと依頼して離婚できなかった場合はこの成功報酬が発生しませんので、離婚できそうにもないときにはお断りされることになります。

さらに「経済的利益の〇%」も成功報酬になります。養育費も婚姻費用も相手と折半した財産も慰謝料も全部経済的利益としてカウントされて弁護士に支払うことになります。

弁護士が家事事件で身を乗り出すのは相手がお金持ちの場合です。東京では5千万円以上の家やマンションはざらにありますから、この半分をいただいてさらに貯金も退職金もとなると、結構な額の財産分与の額になり、成功報酬も百万単位になります。

「弁護士に最初は都内の一等地にマンションを持っていると言ったら親身になって話を聞いてくれたんですが、そのマンションは夫の父親から贈与されたもので、私に権利がないとわかると豹変して『ほかに行ってみてはどうですか』と言われたんです」とお怒りになった方がいますが、残念ながらそういうものなのです。

若い夫婦などはだいたい不動産も貯金もありませんので、とれるものといったら養育費くらいのもので、しかも夫の給料は安いので養育費も低くなりがちです。そうなるとなかなか引き受けてくれる弁護士を探すのは大変ということになります。

それでも子どもを抱えた若いお母さんが困窮しているとなると、心ある弁護士が成功報酬に関わらず引き受けてくれたりしますので、世の中捨てたものではありません。

ところが、熟年で不動産も貯金も取れそうにない、後は老後をひとりでなんとか暮らさなくてはといった、こちらも困窮している女性なのですが、残念ながらこちらに同情してくれる弁護士はなかなかいません。何しろ養育費もないのですから、経済的利益が発生せず、ただ離婚だけとなると、やはり引き受け手がありません。

「なぜ弁護士がひきうけてくれないのだろう」「なぜ弁護士は態度が冷ややかなんだろう」と困惑している方が大勢いますので、解説しました。世の中せちがらい、弁護士は正義の味方だと思っていたという方はがっかりされるかもしれませんが、事務所の経費や事務員さんの給料など経営維持のための必要経費はかかりますので、なかなかドラマのようにはいかないのでしょうね。