こちらの続きです。
頼まれても嫌なら断るべしと言っても、世の中そう簡単にはいかないもの。特に職場や交友関係はきっぱりできないこともあります。特に仕事の場合は自分の仕事でキツキツだろうが、上下関係や、自分がお願いしなければいけないことも後から出てくるかもしれないと思うと、そうそう無下にもできません。
その時は、自分のスキルを上げるチャンス到来と思って引き受けてみるのも手です。「チャンス到来」と思いこむところがミソ。やりたくない仕事を嫌々引き受けるよりも、どうせやらなければならないのだったら、面白そうと思ってやってみてはどうでしょう。仕事はやればやるほど身になり、自分の武器が増えます。特に新しい仕事だったら、こちらから望んでもやってみる価値はあります。
もちろん新しい仕事というのは手探りが多いし、調べものもたんまりある。でも、そこで必ず身につくものもあるし、うまいこといけば人脈もできるかもしれません。
うま~く仕事から逃げる人はいるものですが、そういう人はやらない分、スキルが低い。結構人は見ているもので、一生懸命仕事をしている人はそれなりに評価してもらえているし、そうでない、うまくやっている人は「あの人、いっつも楽してるよね」と、陰口のネタになっているものです。その陰口は回りまわって権力者のお耳に入るかもしれません。
私はモラハラを知った時に、「HTML」という技術を持っていました。当時ブログなどというものはなく、ネットに情報を流そうと思ったら、HTMLの知識が必要でした。
私がこの知識を持っていたのは、ある出来事がきっかけでした。
ネット仲間がオフ会を行うことになりましたが、何しろモラハラ生活で、泊りがけの旅行なんかできるわけがない。他の在宅組と一緒に家でため息をついていました。行きたかったなぁー。
オフ会が終わってから「めっちゃ楽しかったよーーー」の報告メールに、多数の写真が添付されていました。すると「このオフ会の写真、アップロードしたらいつでも見られるよね」と誰かが言い出しましたが、はて、アップロードとはどのようにするものなのか、さっぱりわからない。それはみんな同じで「?」「?」「?」
ちょうどその頃、私は職場で不安がありました。私の職場は先があまり明るくないところだったので、共稼ぎの人はその時、人員整理の対象になるのではないかという不安です。特に私の元夫は大手に勤めていましたから、私はこの対象になりやすい。女性の場合、本人の実力よりも、その家の経済状態の方を優先させる傾向があるので、私はいつその言葉が来てもおかしくありません。
辞めさせられたら夫の希望通り家にいることになり、常に夫が言う「誰のおかげでメシが食えると思っているんだ」の言葉に怯えなければならない。経済力を失った私が丸腰になり、それまで以上に夫が高圧的になるのは目に見えていました。
何か武器を持たなければ。私にしかできない武器を持たなければ。
これは結婚した当初から思っていたことです。だから将来のためにPCの技術を磨きました。
それにHTMLの技術を加えてはどうか。
写真をアップロードするだけでなく、HTML化して、サイトのように見られるようにしてはどうか。技術を得られることと、みんなを喜ばせることの一石二鳥です。
「わたしがやる!」
何しろナマケモノの私のことですから、誰かに尻を叩かれるか、自分で人参をぶら下げるかしないと動かないのはわかっています。だから自分で自分の尻を叩くことにしました。
HTMLの本を買ってきて、手探りでオフ会の写真をサイト化しました。ひとつできると、また新しいタグの知識が入って来て最初からやり直しを繰り返し。完成までなんと半年かかりました。幸運だったのは職場にこの技術を持っている人がいたので、わからなくなるとお昼休みにおやつを持って聞きにいくことができたことでした。
そしてできたオフ会のサイトはアップロードではなく、CD-ROMにして参加者に配りました。最後のページは、スターウォーズのように宇宙空間にみんなの名前が飛んでいくデザインにしました。
「待たされたかいがあった」とは口の悪いメンバーの喜びの声。
これを契機に、仕事でもHTMLを使って「ダウンロードセンター」を作り、いちいち他部署へ用紙をもらいに行く手間を省き、用紙に手書きをするのではなく、wordに自分で打ち込めるようにしました。また、職場のHPの一部を作ったりしていました。
職場には電算管理者(レトロな名前だ)はいたのですが、なにぶん夢も希望もない殺伐としたオトコで、「きれいで見やすくて便利なHPを作る」という概念すらなかったのです。
知人の保育園のサイト作りはとっても楽しいものでした。子どもたちの写真を載せるために何度も保育園に通ったのですが、そのたびに子どもたちと触れ合えて、乳幼児は抱っこさせてもらい、サイトに沢山の子どもたちの笑顔を載せることができました。(セキュリティの問題については、保育園側との話し合いにより、妥協点を見つける)
そしてモラハラを知った時、すぐにサイトを作ることができたのは、この経験を通してHTMLを使うことができていたからです。もしこれがなかったら、「モラル・ハラスメント被害者同盟」は誕生しなかったかもしれません。
何事も準備が大事。自分の引き出しは増やそう。スペシャリストにならなくても、底が浅い知識でも、沢山持っていれば後から何かの役にたつことは、きっとあるものです。