「愛を言い訳にする人たち」は、アウェアさんが出版された本ですが、誤解していただきたくないのは、ここに登場する「自分は妻にひどいことをした」と反省チックなことを言う夫は、本に登場するくらいですから加害者更生プログラムの優等生か、私見を言わせていただければ、この場で自分が求められているのは何かわかった上での発言なのではないかと思います。
プログラムが目指すのは、加害者が自分のしたことを悔い改め真人間になるという、やたら高い目標ではなく、とりあえずここで妻を罵倒すれば妻は事務局にチクって、事務局からお小言をがあるし、とにかく離婚をしたくないので我慢するといった程度のものだそうです。
そうなのです。第三者が入ると我慢できるのです。罰があると我慢するのです。第三者がいない家庭だから我慢しないし、する必要もないし、罰もないから好き放題するのです。我慢しようとすればできるのです。ストレスでつい妻子に声を荒げてしまったというのはウソです。そこに第三者を連れてくれば我慢します。
特にタチの悪いモラハラ加害者は、「家に帰ったらどう妻をいたぶろうか」とつくる表情を考えます。怒鳴った方がいいかな、いや、むしろ何も言わずにスーパーの総菜を買って、妻の料理に箸をつけない方がもっと効果的ではないか。いやいやそれさえやらずに部屋でじっと2時間でも3時間でも立って天井をにらんでいた方がヤツはビクビクするのではないかと、表情を練ります。練るのが楽しい。それがモラハラの神髄です。
ちなみに私がこの「加害者更生プログラムはどうでしょうか」とお勧めするのは、加害者に邪悪性を感じない場合です。長年モラハラとつきあっていると、この邪悪性がない加害者が時々います。
「私も悪いんですけど、がーーっと問い詰めてしまうんです。でも、何も言わないし、ずっとそのままだからこっちも頭にきて、またがーーーと言いますよね。そしたらばーんと殴られたんです」というようなケースです。
こういう夫は暴力ではなく、言葉で会話をするという教育や訓練があれば、もしかしたら改善の余地があるかもしれません。
上に書いた「妻をどういたぶろうかと考えている加害者」というのが本物のモラハラ加害者です。と相談に来られた方に言うと、「ウチの夫はそういうところはないです」と答える方も結構います。ただ自分勝手で高圧的だと。でも、それでは一緒に暮らす人は大変ですよね。