いたらない母

私の母はただいま施設に入っていますが、時々手紙を寄こします。ちなみに私が母に手紙を書くことはなく、2週間に1度程度、1分ほどの電話をします。コロナの前は1~2か月に1度程度面会に行ったりしていたのですが、コロナのため、年配者と会うのは相手を危険に晒すと知事も仰っておりますので、今年の2月に会ったきりです。その代わり、電話の回数を10日に1回ほどに増やしました。

#世の中には毎日離れて暮らしている親に電話をする人がいるらしい。
#うーん、見上げたものだ。きっと大切に育ててもらったんだろうなぁ。

その母から先日手紙が来ました。数行の文章の最後に「”いたらない母”より」と締めくくっていました。

なんて脅迫的な(笑

こうやって人をコントロールするのですよ。本人は自分をいたらない母とは思っていないですから。「そんなこと言わないで。沢山やってもらって感謝しているのよ」と言ってもらいたくて書いている匂いが紙面から立ち昇る。

ちなみに「私、デブでブスだから」と言う人も、「そんなことないよ、かわいいよ」と言ってもらいたくて言ってます。

この手法はミエミエで使い古されているから、もう若い人たちは使わないかな。それとも時代を越えて利用されるのだろうか。

相手からこう言って欲しいから自分を卑下してみせるというやり方は、姑息で見え透いていて、それでいて強引で、その人の人柄が見えます。

”いたらない母”を” ”で括って書くのも、「をいをい」と思う。もう寿命がそれほど残っていないんだから、優しくしてあげたっていいじゃないと思われる方もおられるかもしれませんが、この蟻の一穴から、貞子のように穴から這い出して、グレードを上げてくるのが彼女のいつもの手。

とは言え、うつにでもなられたらめんどくさいので、バーゲンしている「しまむら」から、洋服を2着、お菓子と一緒に送っておきました。この服を着て施設で「娘が送ってきたの」「娘が送ってきたの」と言って回るのだろうな。子どもの頃「子どもが入賞して」「子どもが褒められて」と言いふらしてまわったように。子どもの栄誉を全部自分の手柄にしてしまう人。

子どもの頃「金食い虫」と言われながら育てられた娘の、ほんのささやかな”親孝行”です。母が境界を守ることができる人ならば別の展開もあるのですが、なにしろ人の領地にズカズカと入ってくる人なので、メキシコの壁のような鉄壁のものを築く必要があるのです。

相談を受けていると、この「境界を守れない方」が時々おられます。この話はまた別の所で。