以前ここでご紹介した「五月の雨」を観てきました。
冒頭、主人公香織が夫からのモラハラに遭うシーンの連続で、そのシーンがあまりにもリアルなので胸が締め付けられる思いがしました。
そうそう、そうだった、そうなのよという部分と、「あれ?」という部分が交錯しながらも、とりあえずストーリーは進みます。
映画はドラマの部分にノンフィクションの実際の被害者女性の証言が挟みこまれながら進行していきます。
私が映画を観る前に一番気になったのは、なぜ香織が共同親権を受けいれたのかということでした。受け入れた理由は夫が共同親権にしないと離婚しないと言い張ったから、早く離婚したかったからなのですが、このケースでは離婚調停が3年続いています。
3年続く離婚調停というのは相当長い方で、彼女もかなり疲弊していて泣く泣くの決断だったと思いますが、今の離婚事情ではこのくらい別居していれば離婚裁判で離婚判決がでる可能性が高いです。
3年間別居して離婚調停3年、そこから離婚裁判を申立ててから判決まで大体1年程度とすると4年。たぶん離婚判決をもらえたと思うのですが。
この夫婦は両方とも弁護士がついていますので、弁護士からそのアドバイスがなかったのか不思議です。ただ、香織側の弁護士は夫からの面会交流を「受け入れてはどうですか」というような弁護士で、あまりモラハラを理解していないようです。
私は弁護士に依頼するときに、「モラハラを知っているかどうかはあまり関係ない」と言っていますが、ことこれに関してはそうではない。こういう時にモラハラを知らない弁護士は「月1回から始めてはどうですか」というようなことを言い始めます。
もしモラハラを知っている弁護士ならば「絶対無理!」と徹底抗戦するでしょう。
ご想像のとおり、共同親権にしてしまった香織は子どもの進学先を決めるのに夫が入り込んできて、子どもの希望を無視して自分の意見を通そうとします。その学校は子どもの学力では絶対に無理。
夫の意見を受け入れて無理な学校を受験して不合格になれば、「お前が育てているからこのザマだ!」と罵られるでしょう。
ただ、共同親権にはこういった対立がある場合は、裁判所がどちらの意見を通すかを判断する処置が用意されています。子どもにとってどちらがよいのかを裁判所が決めて決定しますが(どちらの学校がよいのかを判断するわけではありません)、たぶん時間はかかると思います。
ただ、こと医療だの学校選びだのというのは急を要する場合が多いので、あまり時間を取られると困ります。このあたり、どの程度の時間を要するかはまだ制度が始まったばかりですのでわかりません。
私が一番懸念するのは、裁判所の調停で離婚するのは全離婚数のうち1割程度だということです。残りの9割は協議離婚です。
早く離婚したいから「養育費も何もいらない。共同親権でいいから離婚して」という方たちが役所に「共同親権」の欄に〇をつけて提出し、後から香織ケースになるのではないかと思われます。
共同親権のデメリットを知らずに早く離婚したいからと共同親権にして協議離婚すると、モラハラ状態が離婚後も続くことになります。物理的に離れたくても共同親権の場合は相手に了解してもらう必要があります。
共同親権の危険さをまずは世の中が知らなければなりません。決して共同親権を選んではいけないことを知らなければなりません。
