木村花さんと掲示板

プロレスラーの木村花さんがSNSに書かれた誹謗中傷の記事に悩んで自殺したといいうニュースがありました。
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3986873.html

何しろプロレスの知識はアントニオ猪木から先はないし、女子プロレスもビューティペアから先がないので、木村花さんという、見た目タレントさんかと思うような美形のプロレスラーさんがいるのをニュースで初めて知りました。

出演していた「テラスハウス」というリアリティ番組の中で、彼女のとった言動が一部の視聴者の反感を買い、SNSに誹謗中傷の書き込みが相次ぎ、それを苦にしての自殺と言われています。

まずこの「リアリティ番組」というのがわからないので困ってしまうのですが、番組の中でパネリストらがメンバーの会話や仕草を分析するなど、リアルタイムでコメントしていくものだそうです。う~ん、やっぱりわからない。脚本はなく、アドリブで演技していくものですか?

それはさておき、このネットで書き込まれたことに悩むというのは、今に始まったことではなく、もうネットが世に出てから延々とそれはありました。この「風に吹かれて」はコメント欄を付けていません。つけていただいてもしっかりお返事できるかどうかわからないのであえてつけていません。もし何かありましたら「モラハラパブへどうぞ。パブのアドレスhttps://bbs6.sekkaku.net/bbs/morapub/

さて、私のネットデビューはまだ20世紀の頃でしたが、一番はまったのはメーリングリストでした。そのメーリングリストのメンバーとのやりとりはとても楽しいものでしたが、時にバトルもありました。ただし、まじめな場なので罵りあいといったものではなく、あくまでも論戦です。

そこで攻撃を受けることもたまにあり、一日中、どう返事をしようかと頭から離れず、仕事も手につかないこともありました。今日は何を書かれているのだろうかとノートパソコンの蓋を開けるのが怖くなった時もありました。このままでは生活がぐちゃぐちゃになってしまうと考え、そして私が見つけたのは

「ネットは仮想空間である」

ということでした。誰もPCから飛び出してきて怒鳴るわけでも殴るわけでもなく、私の生活を脅かすこともない。ネットの中で何を言われようと、本名でやっているわけでもないので、私自身の価値が貶められるものでもない。それはネットの中だけで完結するものであり、実生活には何も影響はない。

私はネットと実生活を切り離しました。ネットの中はもうひとりの自分が自由に遊べるところにしました。そう思うと、ネットで何を言われようと、それはもうひとりの自分に対するものなので、達観して見られるようになりました。とはいえ、それほど叩かれたわけでもありませんでしたが。私が出入りするところは、常識を持った方がほとんどだったので、意見の交換はあれ、口汚く罵られることなどはありませんでした。

ところが今回はご本人が自分の出演していた番組の中でのことで、それに対して何やかやと書き込みが多数寄せられたとのことですから、切り離すわけにはいきません。その意見はストレートに本人へのバッシングになったでしょう。

22歳の女性が、沢山の人が目にする場所で散々叩かれているのはもう公開処刑のようなものです。番組は続いているので逃げるわけにもいかない。辛かっただろうと思います。有名税だから仕方がないという境地に立つには彼女はまだ若すぎた。

私が17年前サイトを立ち上げ、掲示板を作りましたが、その時に「何を書かれたのかドキドキしながら画面をのぞくような場所は作るまい」と決めました。これはネットでたたき上げられた者としては苦渋の判断でした。ネットとはいいことも悪いことも意見として受け入れるものでなければならないというのがその頃の私のスタンスでしたので、「悪いことは書かないでね」というのはそれに反する行為だからです。

実際掲示板をメンテナンスしている会社の方から「自分にとって都合の悪いことを削除するのはよろしくない」という意見をいただいたこともありました。いいことも、悪いことも、載せる。それが本来の自由な意見交換の掲示板の在り方だからです。

でも、私が削除するのは「人を傷つける場合」です。それを読んだ人が傷ついてしまうようならば削除する。それが間違っていたとは今も思っていません。

今回の事件を受け、国は誹謗中傷する人の情報をプロバイダーが速やかに捜査側に渡すような法律を作るとのことです。今までも捜査のために情報を渡すというのはありましたが、とにかく時間がかかって煩雑だったので、なかなかそれを手にいれることは難しかったのです。

今、花さんを誹謗中傷した人たちは、布団の中で怯えているでしょう。そんなつもりはなかった、自分が思ったことを書いただけ、コロナでストレスが溜まっていたし、なんかプロレスラーがこんな番組に出るなんて腹がたつし、だから書いただけ。いつもSNSに書き込んでいたことをいつものようにやっただけ。死ぬとは思わなかった。自分は逮捕されるのだろうか。

昔は「ネチケット」というのがありました。ネットの世界に踏み込むと、まず先輩の方たちからまずこのネチケットを叩きこまれました。今は幼児ですら無防備にネットに入ってきます。やっぱり法整備が必要なのかもしれません。