断る技術

知り合いからどうしてもとお願いされたとき、断ることができない方は多いです。じゃぁお前はどうかと言われたら、時と場合とお願いごとによります。これはもうアサーションの技術なので、いくつか断る口実を持っていればなんてことなくお断りができます。

つい最近とても親しい友人からお願いごとではないのですが、「あなたにとてもいいものを勧める」と言って健康食品をお勧めされました(よくあるでしょ?こんなこと)。その健康食品の説明前に日本の食品事情の悪さをひとしきり言って、自分はあるメーカーの補助食品を使っているが、食品だけでなく、化粧品も洗剤もそのメーカーを使っているそうで。

もうこの時点で「来るな」と身構えましたね(笑)この手のお誘いは始終ありますから、もう私のツールから断り言葉を選んで出す準備です。

何度も「自分は長年食べていて調子がいい」「両親も使って長生きした。きょうだいも使っている」「有名な○○さんも使っている」「今まで人に勧めたことはなかったけれど、あなたには試してほしいの」「アスリートだって病気をしないわけではないのよ。池江璃花子だって病気になったでしょ(うわぁ、論理飛躍。池江璃花子はこれを食べていたら病気にならなかったとでも?)」「加齢はリスクなのよ(そりゃそうだ)」

たぶんこのあたりの口上は、彼女が行っているという「セミナー」とやらで話を聞いているんだろうなぁ。普段の彼女が使わないような言葉が出てくるもの。 池江璃花子の病気がこんなことに使われてる。 年をとると「あれがいい、これがいい」の話はうんざりするほど聞くので、いちいち買っていたら、身がもちません。さて、お断りしましょ。

「勧めてくれてありがとう。でも、今は必要ないので、悪いけどお断りするわ」
この会話の後、私をその「セミナー」とやらに連れて行くつもりだった彼女はちょっと肩を落としましたが、それ以上勧めることはなく、
「わかった。でも、必要なときは言ってね」「うん、お願いするね」「必要なときは必ず言ってね」「うん」「必要になったら・・・」

くどい!!

とは言わず、終始笑顔で「ありがとう、よろしくね」を続けました(ため息)

お断りする時の鉄則は「笑顔で言うこと」「びしっと言うこと」です。これで壊れる関係ならば壊れてもかまいません。長年のつきあいがある大切な人だけど、彼女が私とのつきあいを取るか、健康食品を売ることを取るかです。売る方を取るならば、それでさようならです。選ぶのは私ではなく彼女です。

ただ、長いつきあいで彼女がそのドロドロしたものを飲んでいたのは知っていましたから、本当に良いものだと思っているのでしょう。私に勧めたのは良いものだからかもしれません。

このような「本当に良いものと信じていて、それを人に勧める」のを断るのは割と簡単で、同じようなものに宗教の勧誘があります。相手は心から信じていますから、断った相手には「こんなに良いものの誘いを断るなんて、馬鹿だなぁ」と思っています。断った相手に対して憐れだと思っていますので、怒りはしません。

困るのは損得で売りつける人です。断れずに保険屋の友だちが勧める保険を片っ端から入っている人もいます。相手から見たらカモネギでしょう。こういう方たちには断るテクニック以前に「捨てる勇気」が必要です。