野田市の児童虐待死とDV相談

今年2月、千葉県野田市で起こった小学4年生の栗原心愛が虐待によって死亡した事件で、母親の傷害ほう助罪を問う初公判が先週ありました。亡くなった後、詳細な虐待の様子が記事になりましたが、読むことができないようなものが多く、本当にどこかでどうにかできなかったものかと強く思います。

第1のチャンスは沖縄に住んでいた時、親族が行政に相談に行ったことです。母親は親族に相談していたから行政に行ったわけで、沖縄時代は相談できる人がいたことになります。「DVがあると通報があったのなら、行政が家に行って確かめたり、避難させるべきではないか」と思う人がいるかもしれませんが、これはできません。

実際被害者のみなさん、家に突然役所が来て、「この家でDVがあると通報があったので来ました」と言われたら困りませんか?児童虐待は児童虐待防止法があるので、親の承諾が無くても子どもを一時保護できますが、大人を強制的に保護することはできません。

高齢者虐待も同様で、高齢者は大人なので、家族から虐待されていても「家に残りたい」と本人が言うならば保護できません。DV被害者も同じです。外から見てどんなにひどいDVを受けていても、本人が家を出たいと言わない限り保護できません。家に残りたい、ここで暮らしたいと言われればそこに置くしかないのです。

BBSに時々被害者の関係の方が「本人はDV被害に遭っているから助けたいと思うが、どうしたらよいか」という質問が書き込まれますが、これはもう、粘り強く待つしかありません。へたに強く説得しようとすると、接触を拒むようになるので、「何かあったらすぐに連絡して」と言うしかありません。

沖縄で親族の方が相談に行った時、おそらく行政側は「本人を連れてきてください」とい言ったと思います。相談される方は実際に虐待されている本人と話して、何が、いつ、どのようにあって、あなたはどうしたいのかを直に聞かなければならないのです。

これが本人でない人と話をすると「暴行があったのはいつですか?」「えっとぉ、確か10日か2週間くらい前だったみたいなことを言っていました」「どこで暴行されたのですか」「聞いてません。たぶん家の中じゃないですか?」ということになり、結局本人に聞くことになるし、一番大事な「あなたはどうしたいのか」が本人でないとわからないのです。

母親自身は行政に出向いていないようですから、ここで切れてしまった。野田市へ情報提供はあったそうですが、たぶんそのような案件は沢山あるので、埋もれてしまったのでしょう。母親も裁判の中で「誰かに相談すればよかった」と言っています。とても残念です。

もちろんこの事件で一番責任が重いのは児童相談所です。では児童相談所はどのような動きをするのかを知りたくて読んでみました。

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