岸田総理が「貯蓄ではなく投資をしましょー」発言がまたまた波紋を呼んでいます。以前「老後は2千万円必要発言」で大騒ぎになった時も、「2千万円必要だから投資しましょう」だったはず。どうしてもお国は投資にお金を回したいようです。
それは、日本人の貯蓄率が他国に比べて圧倒的に高いから。
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
資金循環の日米欧比較 2021年8月20日 日本銀行調査統計局
とはいえ、今更急に「投資しましょう」と言われてもお勉強をしていない人たちがにわかにやってもかなり危険であることは確実です。
定年退職をした方は退職金という金脈を持っていますので、ここに証券会社や銀行が灯りに群がる蛾のように集ってきます。そして「2千万円ないと大変ですよ」「安全に増やせますよ」と不安を煽りながら勧誘します。
退職金を持っている方は証券会社と銀行に近づいたらいけません(きっぱり!)
私が相談員をしていた頃、「夫が投資で失敗をした」という方に「毎月分配型」の投資信託で失敗した方のお話を伺うことが結構ありました。
相談員をしていると、いろいろなお話を伺います。そのことについてわからないことは調べて知識を増やします。なのでこの「毎月分配型」についても調べてみました。
詳しくこれについて知りたい方はネットをググってみてくださいね。
ざっと私が調べてわかったのは毎月分配型(「元本払戻金」タイプ)とは
1 一旦大きなお金(とりあえずわかりやすいように10万円とする)を証券会社などに預ける
2 証券会社はそのお金を使って投資する。毎月一定額をあなたに戻すが、そこに投資で得た利益をのせてくる。1万円戻したお金に2千円(利益分)をのせてくるので、2千円儲かったと思う。
3 勘違いしやすいのは、1万円は自分が最初に出したお金から来るということ。まるっと1万2千円儲かったわけではない。
4 これを繰り返すとどうなるか。10万円ー1万円=9万円←これが投資金になる。タコが自分の足を食べているのと同じ。
お金がA金庫からB金庫に移っただけです。全部移し終わった時にA金庫にあったお金よりもB金庫に移ったお金が多かったら(10万円+〇千円)この〇千円分が儲けです。
ただし、投資は必ずしも儲かるとは限りません。1万円で買ったものが5千円になることもあります。このときの損金5千円はあなたが被るのです。
10万円A金庫に預けたお金がB金庫で受け取り終わった時に8万円だったら、2万円損をしたことになるのです。
人間、100万円を1回もらうよりも1万円ずつ100回もらった方が嬉しいという人が多いでしょう。特に年金の他に収入のない方はとってもうれしいと思います。最初に預けた大きなお金は自分のものなのに、毎月そこから振り込まれるお金が嬉しいという人間心理を利用したものです。
もちろんちゃんと会社が投資に成功して儲かれば、10万円+α分の利益をあげることはあるでしょう。あるかもしれないしないかもしれない。これがリスクです。不思議ですね。一回大きく損をすると「騙された」と思えるのに、毎月少しずつだとなんとなくそうでもない気持ちになる。
最終的にB金庫で受け取った総額と最初に納めた金額をちゃんと照合する人がどれくらいいるでしょうか。「毎月2千円くらい足されてくるんだよ♪」と思っている人がいるのかもしれません。
会社は「毎月1万円は必ず振込ます」と契約していますから、その額は下回りません。それだけで満足してしまう。本来ならば10回受け取れるはずのお金が8回しかうけとれなかったら、2回分の2万円は損なのです。
こういうことは利益をあげようとする証券会社や銀行の人から聞くよりも、実際に自分でやられている方から聞いた方が絶対に安全です。