これを書いていたら、笑っていただけるようなエピソードが沢山思い出して、みなさまのネタになればと書いておくことにしました。
その1
父が亡くなり、母ひとりの生活が始まりました。
母は「私はさみしがりや」と仰るのですが、一緒に住む人がおかしくなるのでおひとりで暮らしていただくしかありません。
母の住む地方に大雨が降り、あちこち土砂崩れをしているというニュースがありました。すると弟のところに母から「怖かったわ~、裏の崖が崩れたんだよ」という電話が入りました。
確かに実家は山を削って宅地にしたところですので、削ったところと家の落差が3~4メートルあり、「あそこが崩れたら土砂は家に入ってくるかも」とびっくりしました。
知らせを受けた弟も急いで飛行機で駆け付けたのですが、実態は
「裏の崖って、500メートルくらい離れたのところの崖だったんだよ(弟のため息)」
確かには母「すぐ裏の崖」とは言いませんでした。言いませんでしたが「裏の崖が崩れて怖かった~~~!」と切羽詰まった声で言われたら、誰しも家のそばの崖のことと思いませんか?!
母はわざと混同させるつもりで言ったのではないと思います。ですがわざとでない分タチが悪い。
その2
父が亡くなり、母はいかに父のために自己犠牲で尽くしてきたか、いかに自分の人生は不幸だったかをいつもいつも語っていました。
「楽しかったことなんかない!旅行なんか1回も行ったことがない!」
「あれ?どこかに行ったお土産とかもらったよね」
「あ、うん、老人クラブで行ったときのでしょ」と言う。
ともかく、自分は不幸だ不幸だというのを聞き流していました。
ある日一緒にテレビを見ていたら旅行番組を放送しています。
「あ、ここ、行ったことがある!」と得意そうに言う母。
「旅行なんか行ったことがないって言ってなかった?」
「あ、うん。ここは一回だけ行った。ここはねぇ、お寺さんが遠くてねぇ」と旅の話を始めます。
そしてまた放送があると「あ!ここ行ったことがある!」嬉々としてその時の話を始める母。
なんだ、結構あちこちに行ってるじゃない。
年寄りの思い出話を聞いてあげるくらいの度量は私にもあります。だったら
「一回も旅行なんか行ったことない!!」
って、言わなきゃいいのに。

