「頭にきた」と「傷ついた」

私はこの世界に入るまで、普通の話の中で「傷ついた」という言葉を使う場面にほぼ会ったことがありませんでした。もしかしたら私が地方に住んでいて、その地方では一般的に使わない言葉だったかもしれませんが。

昔は「傷つく」という表現はしなかったと思います。「腹がたった」「頭にきた」という言葉が、なんとなくマイルドな「傷つく」という言葉に成り代わったのかもしれません。

「頭にきた」「私を怒らせた」は受けたこちらがアクティブな状態→戦闘態勢になる感じがしますが、「傷ついた」「傷つけられた」はこちらが被害者である→相手は加害者であるような感じたします。

「私を怒らせた」は被害者の感じがしません。人間関係のどこにでもある感情の出し方だと思いますが、「傷つけられた」は、これによって相手とケンカになる感じがしません。

ひとりで「私の心が傷ついた」と耐えている感じがします。

20年以上前のドラマを見ていると、「今はこれを言ったらアウトだなぁ」と思うことがあります。時代と共に次第に相手との関係を気にするようになり、より相手に不快な思いをさせないような言葉を選ぶようになってきた気がします。

#とはいえ、なんでも「させていただきます」を使うのは、私は嫌いです
#しかしながら、なんとな~く場の雰囲気で使うこともあります。流されやすい私。

同じように、「頭に来た(カッとなった)」よりも「傷ついた」の方がなんとなく高尚な気がします。よって「傷ついた」という表現が広がってきたのかもしれません。