14回目のメリークリスマス

東京へ転居して14回目のクリスマスです。東北、北陸など日本海側の地方ではクリスマス寒波に襲われているそうで、ニュースを見るたびに郷里の知人がどうしているか気になります。

除雪や寒さで大変なのはその生活もそうなのですが、暖房費がただ事でないのです。寒い地方では暖房はほぼ灯油を使います。東京ではオルゴールを流しながら灯油を売る移動販売車がありますが、寒いのが当たり前の地方ではまずそれはない。

大抵は灯油販売店に電話をして外にある灯油タンクに灯油を入れてもらいます。元住んでいた家はボイラーが灯油だったので、ボイラーのみこのタンクから引っ張りますが、室内で使うものは赤い灯油缶を玄関に置き、各部屋にある石油ストーブに注いでいました。

子どもがまだ1歳数か月の時、仕事から家に帰るとこの灯油缶から私のお気に入りのロングブーツに一心不乱に灯油ポンプを使って灯油を移している子どもの姿が(驚愕)

片方のブーツはもう表面張力でようやく保っているほど満々と灯油が入っていて、子どもはさらにもう片方を制覇せんと、しゅこしゅことポンプを握ったり離したり。

「こらーーーーーーっ!!」と声を上げると、涎かけをした子どもはマンガのようにぴょんとその場でジャンプし、一目散に奥へ逃げて行きました。

逃げた先は押し入れの中。小さくなって固まっていました。

「あーあ」とブーツから再度また灯油缶に灯油を移し替え、おしゃかになったブーツに引導を渡しました。

それにしても親たちが灯油缶から灯油を移しているのを子どもはどんな気持ちで見ていたのか。一度やってみたいと思っていたのかもしれませんが、その移し替え先が私のロングブーツとは(涙)

モラ夫は自分のブーツではないので特にお咎めもなく、それよりも「よく考えた」と子どもをほめたたえていました。私も子どものしたことであり、事故に繋がるような移し替え先でもなかったので、まぁいいかと思いました。特に1歳数か月であの表面張力ギリギリまで注いだ技術は素晴らしい、よく根気よくやったものだと思う方が強かったかな。

子どもの手の届くところに灯油があるというのは危ないと思われるかもしれませんが、30数年前はこれが普通だったのです。

冬は寒く厳しく辛いことも多いのですが(特に凍った道路を運転するのはもう無理)、雪や氷にまつわる楽しいエピソードもたくさんあります。

今は孫に送ったクリスマスプレゼントで遊んでくれるのを想像し、楽しく聖なる夜をひとりで過ごします。孫がサンタさんの存在がわかるようになった頃、サンタさんの他にもうひとりのプレゼント贈呈者がいるのを楽しみに待っていてくれればいいなと思います。