私がオリパラでボランティアをしていた時、練習場でロシアチームと接することがありました。練習場は本番の会場と違ってそれほどピリピリした感じでもなく、選手や関係者は気軽に声をかけてきたりしました。
ロシアの若い通訳の女性(他はどうか知りませんが、通訳さんはみんな英語でした)が、ボランティア数名とちょっと雑談めいた話を始めたとき、ふと私はロシア民謡の「カチューシャ」を口ずさみました。
後から考えたら、「一週間」でも「トロイカ」でも「ポーリュシカ・ポーレ」でもよかったのですが、その時はこれしか思い浮かばず、とりあえず彼女に親しみの意味で歌いかけました。当然日本語です。
「うんうん」と聞いていた彼女は少し離れたところにいた年配の男性(コーチかな?)を連れてきて、私の歌を聴くように言うと、男性も「うんうん」と言って一緒にカチューシャを歌い始めました。
どうやらカチューシャは、ロシアの若い人たちの間では「聞いたことはあるけど歌詞がわからない」という感じのようなのです。
#私たちの世代は教科書にもあったせいか、まず全員歌えるけどね
それは日本の若い人たちも同様で、やはりハミングはできるけど歌詞がわからないようで、楽しそうに手拍子はするけれど歌えないのです。
通訳の方に「私たちの世代は学校でこの歌を習ったから、全員歌える。もしこの会場に『コロブチカ』が流れたら、私たちは完璧に踊ることができる」と言いました。
通訳さんはこれほどロシアの曲が日本人に知られていることを知って驚き、大変喜んでいました。何しろ他の国のチームもいるので、あまり大げさにはできなかったのですが、ちょっとした国際交流になりました。
このカチューシャやコロブチカを今聞くと、あの選手たちや通訳さんは今どうしているのかとあの時の情景が思い出されて涙が出ます。そういえばウクライナの選手もいました。
たった半年前に「平和の祭典」があったばかりなのに今は戦禍にある。
本当に切ない思い出です。