石のスープ

小学生の頃読んだ童話で好きだったのが「石のスープ」(大体私が好きなのは食べ物が出てくるお話)。

外国の、とある村に戦争に行った兵士たちが通りかかりました。村人たちは兵士に食べ物を取られては大変と、食料を全部隠してしまいました。兵士から「何か食べるものはないだろうか」と聞かれた村人は「全然何もありません」と答えました。

村に何も食べ物がないのはおかしいと思った兵士は一計を案じました。

「私はとびきり美味しいスープができる石を持っている。ここで作るので鍋と水を貸してほしい」

村人は訝しがりながらも鍋と水を出します。兵士たちは鍋に石と水を入れて煮始めました。

「これにほんのちょっぴり塩を入れたら世界で一番美味しいスープができるんだがな」

世界で一番美味しいスープとはどんなものだろうかと興味津々で村人は塩を出します。

こんな感じで次に小麦、野菜、次に肉、最後にミルクを村人から出させてスープは完成します。できあがったスープを兵士は村人にも分けて、みんなで一緒にとびきり美味しい石のスープを食べました。食べ終わると兵士は石を村人に渡し、去っていきました。

   ちゃんちゃん♪

この童話のステキなところは、兵士が腕づくで食べ物を奪おうとしないこと、できたスープを村人に分けて一緒に食べること、更に石を置いて去ることです。まさに「北風と太陽」。こんな物語を子どもが小さな頃に語って聞かせたら、知恵で物事を解決するように成長する一助になりそうです。

誰かが「スープは貧者の食べ物だ」と書いていました。貧しい暮らしをしていると、炭水化物(パンや穀類)と塩の入った汁物が唯一の食事になります。汁が塩辛いほど炭水化物を多くとれてお腹がふくらむ。絵画にも実のないスープとパンを前にした家族が、食事の前に祈りを捧げているものがよくあります。

でも、寒さが増す頃になると、私は「今日は何のスープにしようか」とわくわくします。スープの中には鍋物も入ります。体に暖かいものを入れると内臓は元気よく動き出し、よって体調も良くなり、元気になります。

とにかく内臓を活発にしたいので、朝起きがけは胃をどんと下げて、大腸に刺激を与えるために水を1杯ぐいっと飲む。朝ウォーキングの後はホット豆乳とか、ホット青汁とか、何か体を温めるのものを飲みます。朝は味噌汁だったり、クノールスープだったり。朝飲まない時は昼にいただきます。

朝昼何もスープが無ければ、夜はシチューやオニオングラタンスープや鍋物。

今でも童話にあった村人たちを唸らせるほどの「石のスープ」はどんな味だったのだろうか、この素材だけでそれができるとは、一級の調理人がいたに違いないと思っています。