専門家が欲しい

野田市の心愛さん虐待殺人事件の公判が続いていますが、公判の様子や、専門家のコメントを読むと、おそらくこれに関係した教育委員会やら児相やらは「ココン家はヤバイ」と薄々思っていたと思います。

教育委員会に行って、ボイスレコーダーを置かれたら、クレーマーかもしれないと誰でも推測します。クレーマーは執拗で、ああいえばこう言う、イチ言えば百返ってくる。そしてすぐに機関トップへ走りこむ。めんどくさいトップは「よく注意しておきます」と言います。ここからはそのトップによって対応が変わります。「なんでこんな面倒になる前に抑えておかないんだ!」と言って担当者を責め立てるか、もしくは「面倒なモンペ(モンスターペアレンツ)に当たっちゃって災難だったね」と慰めるか、たぶんどちらかになる。

教育現場ではモンペ対策は欠かせません。教育現場に限らず、人を相手にしている業種ではクレーマーにどう対応するか常日ごろ、研修などで行っていると思います。

今回の事件で、学校、教育委員会、児相で、誰かDVの専門家がいなかったのでしょうか。家庭はDVに限らず、いろんな葛藤に満ち溢れています。親離れできない父あるいは母、子どもの家庭を自分の権力化に置き、もはや孫のいる年齢になっても、親の指示に逆らえない父、それに従う母。祖父母から甘やかされてモンスターに成長した孫などなど。

今回の事件ではどうしてDVを疑わなかったのか。「母親ならばいくらなんでも身の危険があったら子を守るだろう」と大人は考えたのでしょうか。教育委員会も児相も夫婦の片方ががっちり権力を持っていたら、もう片方はただ従うしかないというのは良く分かっていたはず。だって、そんなの彼らの仕事の中ではよくあることだから。これを知りませんでした、わかりませんでしたと言ったら、お前ら何を研修してきたんだと私は言う。

葛藤を抱えた家はメンドクサイんです。メンドクサイ家は、やり過ごさないと、トップに駆け込まれてメンドクサイことになる。そこからは子の安全なんて、スコーンと抜ける。

私はDVがある家もない家も、多種多用な様々な方のお話を伺ってきました。その中で数は少ないですが、「離婚したら子はどうなる」がスコーンと抜けている家がありました。自分の体調や、今後のことしか考えない、その親も孫のことを考えず、(幼い孫ではなく)大人である子どものことしか考えない。「向こうが育ててくれるよ。シンママは大変だよ」と言って子ども(母親)のことを心配する。その向こう側にいる子どもたちがどう思っているか。まるで猫の子のように「向こうにあげちゃいな」という家庭も、ほんのわずかですが、います。

子どもはひとりでは生きられません。誰かの助けが必要です。子どもを扱う現場には、DVの専門家が必要です。そしてその専門家を大事に育てていくことが必要です。支援する人がまじめで一生懸命であればあるほど身を削り、ある日バーンアウトします。そうならない地盤が必要です。

虐待する親たち

今、野田市で起きた心愛さん虐待事件の公判が続いています。今日、殺した父親が証言台に立ち「心愛は嘘を言っている」と証言しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200304/k10012313571000.html

モラハラ被害者の方々はみなさん「夫は自分の言ったこと、やったことをまったく覚えていない。あまりにも正々堂々と『言ったことはない』と言うので、こちらがおかしくなったのかと思う」と言います。これは夫の脳内で自分の都合のよいように自動的に改竄が行われ、無かったことになっている場合もあるし、かすかに記憶はあるけれど、無かったことにしておいた方が都合がよいから「言っていない」という場合もあります。

ただ後者の場合はさすがに警察の取り調べや裁判になると、「言いました」になります。ところが今回の父親は証言台で「娘が嘘をついている」と堂々と述べています。この事件を最初に知った人の中には「はぜ母親は娘を助けなかったのか」という感想を述べた人も多かったと思います。しかし、法廷内ですら完全に自分で作った世界のストーリーを語る人が、狭い住宅の中で家族を恐怖で縛り上げて支配していたら、それでも「母親が助けるべき」と思うのでしょうか。

この父親は自分の都合のよいように展開する世界の中に住んでいて、周りはそれに沿うのが当然であり、亡くなってしまった子どもですら「自分を貶めようとわざと死んだ」と思っているでしょう。この人と一緒に暮らしていた妻には、同情を禁じえません。

この公判には「モラル・ハラスメントのすべて」で解説を書いていただいた、武蔵野大教授の小西聖子先生が証人として出廷しています。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200304-00000553-san-l12

コロナウィルスも大変ですが、この公判も注視していきたいと思います。

コロナ来るな

コロナウィルスで世の中が大混乱しています。私の仕事にも波及し、今日は朝から大忙しでした。まぁ、それでもあまり私自身の生活に影響することはありませんので、それはまだラッキーな方だと思います。

私の友人の会社は中国で製品を作っていますが、中国があのような状態になったため、製品を送れず受け取れずで、まったくストップしてしまったそうです。いまや「Made in china」は世界を席巻していますので、中国の物流が止まってしまったら世の中大混乱です。というわけで、昨日は100円ショップに行って、在庫が無くなりそうな消耗品を買ってきました。中国産に依存しているニンニクとか生姜などの野菜が無くなって、飲食店も困っているようですね。

そして会社はテレワークや時差出勤を奨励しています。ただ、こんなことができるのは大会社だけで、ほとんどの人はやっぱりラッシュに揉まれての出勤でしょう。ただ、地方の場合は自家用車出勤が多いので、この通勤ラッシュがないだけでもいいですね。人込みも少ない。ああ、以前は人がいなくなって街が滅びるとか言ってたけど、こういう場合はいいな。

そしてモラ夫は変化に弱いのでこの状況についていけず、またイライラを募らせているのではないかと危惧しています。自分の周りが思うように動かないとストレスのはけ口を家庭に持ってくる、弱いものにぶつけてくる幼児的精神の持ち主。

今、野田市の心愛さん殺人事件の裁判が続いていますが、もう、モラ夫の特徴そのまま。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200225/k10012300571000.html

続いて、被告の母親が証人として出廷し、児童相談所が一時保護した当時の状況について、「虐待を否定する息子のことばを信じてしまった」と証言しました。また、被告の性格については、「自分の意見をいこじに通そうとすることはあった。注意しても『正義はこうあるべきだ』と理屈で攻めてきて言い返せなかった」と述べました。

これはもう、妻はすくんでしまって何もできなかっただろうなぁと思います。そういう加害者たちがコロナウィルスのようにそこここに放置されている。ウィルスに感染しないようにするのはもちろん大切ですが、感染してしまったら特効薬がない以上、その場から離れるしかないと思います。

復活の日

毎日新型コロナウィルスのニュースが朝から晩まで続いていますね。中国の様子は極端なものを放送しているのかもしれませんが、まるでドラマのよう。武漢に住んでいただけで人をウィルス扱いする様子は、正気の沙汰とは思えない。この騒動はいつ、どういう形で終息するのだろう。2009年の豚フルエンザのように、「もう手が付けられず、新型インフルエンザという新種の病気になりました」となりそうな気配。

たった1匹の動物からこうやって世界中に拡大していく様子。まるで映画「復活の日」を見ているよう。

「復活の日」は小松左京原作、1980年に角川映画になったSF大作です。ジャニス・イアンの主題歌が好きだったなぁ。主人公の草刈正雄が杖をつきながら、ワシントンから南極まで歩いてくるというのは、「ないだろう。。」。と思いながら見てたけど、今調べたら、アンデスの風景はマチュピチュで撮ったそうです。ああ、マチュピチュ(謎)

ところがラスト、南極にいる恋人オリビア・ハッシーの元へたどり着くシーンは本栖湖で撮ったそうで。これはカメラの木村大作さんのトークショーで知りました。そういえば映画で見た時「これ、南極?」と思いましたもんねぇ。

<カメラ:木村大作>の名前は良く見ていて、職人気質のむっつりとしたおじさんかと思っていましたが、こんなにケタタマシイ方とは。冬になると木村さんが撮られた「八甲田山」を見てしまいます。私、「八甲田山」が好きすぎて、青森の八甲田山雪中行軍遭難資料館まで行きました。 私は新青森からレンタカーを借りましたが、資料館にバスで行く方法あるのかな。ロープウェイ乗り場までのバスはあるようでしたが。

「何でこんな里の近くで遭難した」と思うくらい、街からそう離れていないところなんです(車で行ったから距離感がわからない?)。温暖化で次第に雪が少なくなってきていますが、明治時代の冬の八甲田山はまさに凍てつく山だったのでしょう。

「復活の日」からずれてしまいましたが、機会がありましたらこの映画、ご覧ください。ポスターに使われた太陽と草刈正雄が重なるシーンを撮ったカメラは800ミリだそうです。そしてジャニス・イアンの「You are love」は私が何かを終わりにするときになぜか聞きたくなる曲です。聞きながら、しんみり。

ウィルスがどう広がるのか。これから先、オリンピックもあり、気になるところです。

もしもモラ夫が育児休暇を取ったら

小泉進次郎環境相が育休をとったことで期間が短すぎるとか、大事な大臣職はどうするのかとか、いろいろ波紋があるようです。もちろん私はふたりの子はふたりで育てるべきであり、心身ともに大切な産前産後をふたりで乗り越えていくことが、その後の家族形成に大切な役割であると思います。ただ、これがモラハラ夫だったらどうなるのか。

「モラ夫はイクメンの仮面を被る」はこの世界では常識です。外ではよい夫、ステキなパパを熱烈アピールし、社内旅行でへ行けば妻へのお土産を忘れない。「いつも尻にシカレチャッテサ」と幸せそうに愚痴もどきのセリフも上手に吐く。抱っこヒモで子どもを抱き、両手にはスーパーの袋。その後ろをバッグだけ持って付いていく妻は、はた目には夫を虐げている妻に見えるでしょう。もちろんそれは夫の演出。夫は家に帰ればスーパーの袋と子どもを放り出し、テレビをつけてご鑑賞タイムに入る。袋に入った食材を冷蔵庫に入れ、わらわらと食事の準備をするのは当然妻の仕事です。

こんなええカッコしいの夫が、ええカッコしたくて何週間も育児休暇を取ったらと思うと、考えただけで恐ろしい。たった1週間足らずのGW、お盆、正月休みですらイライラが始まる人たちです。それが何週間も家にいたら「家の中の片づけができていない」「お前、産休中毎日ナニやってたんだ」「なんでこんなもん取っておくんだ」「なんで使いたい時に使いたいものを切らすんだ」と、大騒ぎでひとつひとつ責め立て、子どもが泣いたと言っては「ナニやってんだ」「早く黙らせろ」「俺を寝かさない気か」「赤ん坊がいるからってメシを手抜きしていいと思ってんのか」となるのは目に見えています。

「産後うつにならないよう、夫がサポートして」と医療関係者は言いますが、モラ夫にそれは不可能です。妻だって家にいて欲しくない。でも、ええカッコしいのモラ夫がブームに乗り、実は長期休暇が目的で「妻が産後うつで」と言いながら、大いばりで休暇願を出す。家ではごろんと寝ころんでゲーム三昧。

そして妻が子どもの面倒ばかりみて、自分の世話が二の次になるのは面白くない。「ナニやってんだお前!」「早くしろ!」「使えねーやつだなー!」の連続。

でに育休中だった千葉県庁職員の男性が子どもを虐待して逮捕されています。
公務員は積極的に育児休暇を取るようにとの通達も出ています。
何週間も家にいるモラハラ夫と、はらはらしながら出産後の大変な時期を過ごさなければならない妻。

また新しい問題が発生するように思えてなりません。

引きこもりの子どもで悩んでいる方へ

元農林水産事務次官が長男を殺害したとして、 懲役6年の実刑判決を受けました。44歳の長男は発達障害を持っていて、なかなか社会に適応できず、引きこもりや家庭内暴力があったと報道されています。

40歳から64歳までの引きこもりは61万人いると言われ、当人はもちろんですが、その親御さんがとても心細く、辛い思いをされていると思います。

40歳を過ぎて、子どもとは言えない年齢になっている息子や娘をどうしたらよいかわからず、家族全員が家の中に閉じこもっている家も多いでしょう。

https://saposute-net.mhlw.go.jp/

ここは厚生労働省が行っている、社会に出るのが怖いと考えている若い人向けの場所です。ただ、「行きなさい」と言ってもお子さんはまず動きません。最初に親御さんがここへ行ってください。そして担当者の方とお話をしてください。多くのサポステは「引きこもりの子どもを持つ親の会」と繋がっています。DVの自助グループと同じです。同じ思いをされている方々とお会いになり、辛い気持ちを共有してください。

「行ってどうなる」
「何も変わりはしない」

と、最初から諦めず、小さな一歩を踏み出してください。子を変えようと思うなら、まず、親の意識を変えましょう。

急がず、急かさず、ゆっくりと、期待はあまり持たず、でも希望は捨てず、動き出してみてください。

織田君のモラハラ騒動

織田さんのことは「織田信成氏」とか「織田さん」とか呼ばなければいけないのかもしれませんが、何しろジュニアの頃から知っているので、つい織田君になってしまいますね。織田君、愛されキャラだし。

今回の記者会見を聞いていると、辛かったんだろうなぁ織田君、という思いやら、今のフィギュアスケート界のことやらがごっちゃになります。渡部絵美さんが、「一言で語れない」と言ったように、昔からフィギュアスケート界は黒いどろんどろんが渦巻いています。

ハーディング襲撃事件をきっかけに、どろんどろんが一気に出て、アメリカ人はフィギュアスケートに興味を無くし、それは世界中に広がり、現在世界大会を見ても、フェンスの広告は日本の企業ばかり。パチンコ屋からサラ金から足つぼから、 ISUは日本抜きには立ち行かないのではないかと思えるほど。日本以外の場所で開かれる大会のアリーナ席は日本人のファンで占められています。

城田さんが女帝と呼ばれ、スキャンダルで座を追われ、今度はこれか、です。

そうだ、織田君のモラハラ被害だ。

たぶんこの会見を見た人たちは「よくあること。何でこの程度で入院までするのか」と思ったでしょうが、モラハラをまともにくらうとこうなるのですよ。確かに「よくあること」なのです。30年以上のコーチ歴があり、世界女王をふたり育て、そのひとりが今トップ争いをしている破竹の勢いの人がいるところへ、その上位である監督として就任した織田君。コーチ歴もわずかなら、有名選手も育てていない。おそらく今、ものすごい権限を持っている濱田コーチだろうから、誰も何も言えないのでしょう。

とっても優秀だけど実績のない人が、いきなり社長に就任して、これまでの会社の方針に対してあれこれ言われたら、この会社にずっといて、大いなる実績を持っている部長は面白くないに決まっている。

「大学生なのだから、学業との両立を」と言った織田君に対して「選手が不安がっている」と、練習時間を長くとろうとした濱田コーチ。これはもう、う~んです。ロシアの女子選手が一日中練習していて、ポンポン4回転を飛んでいる中で、練習量が少なくなったら選手が不安がるもの無理はない。でも、宮原選手がオリンピックを前にして疲労骨折したのは練習のしすぎだよね。。そして宮原選手は試合に出られず、代わりに世界大会に出た選手が思うような結果を出せず、結果、日本はオリンピックの出場権3枠を取れなかったのではなかったのか。

確かに羽生選手とトップを争っているネイサンチェンはイェール大学だけど、これはもう特別。みんながネイサンになれるわけがない。スポーツ推薦の学生は成果を出してなんぼのものだし、途中辞めたら免除されていた学費を納めなければならなくなったりするしね。

ああ、そうだ。モラハラだ。

たぶんこの裁判は、裁判所側から和解勧告が出されて、「お互いに誤解があって」という経過になるような気がします。織田君も本当に1,100万円が欲しくて提訴したんじゃないと思う。織田君はただ、学生やこのスケートリンクを使う人たちを守りたかったんだと思う。だから、濱田コーチに謝って欲しいとか、そういうものじゃないような気がするのです。

そりゃぁ、腹の中は煮えくり返っているでしょうよ。私もパワハラされたことがあるからよくわかります。今でも相手は憎いし、顔も見たくない。でも、今回のことはそれ以上に、濱田コーチに蹂躙されている今のフィギュアスケート界をどうにかしたかった、だから池に石を投げた、そういうことではないかと思うのです。

無視をされた、挨拶を返してもらえなかった、噂を流された、そんなことでイチイチ泣いていたら、世の中渡っていけないよ、世の中ザラにある話じゃないかと思う人も多いと思います。でも、織田君はオリンピックに出場するくらいの大選手です。前述したとおり、大人や世間の思惑や金が渦巻くフィギュア界に小さな頃から身を置いて、「殿」であるがゆえに他の選手たちから嫉妬の目で見られることも、イジワルされることもあっただろう。 それでも世界に上り詰めた、そんな大選手がそうそうメンタルに弱いわけはないと思うのです(よく泣いてるけど)。

これから事実関係を掘り起こす裁判が始まるとは思いますが、モラハラは証拠がないことが多いので、どこまでいけるかわかりません。でも、モラハラチックなことをしたら、提訴されてしまうかもしれないということを世の中に示したということでは、織田君、君はやっぱり織田家の子孫だったんだね。

追加:グランプリシリーズに濱田コーチが出てこないのはどうしてなんだろうと思っていたら、これだったんですね。代わってランビエールがあちこちの日本選手の面倒を見ている。ランビエール好きの私はちょっとうれしい(*^_^*)

なんだか腹立たしい

東京目黒で起きた虐待事件の判決が9月17日にありました。
https://www.sankei.com/affairs/news/190917/afr1909170021-n1.html

昨日の目黒虐待事件では、心理操作が判決の大きな争点となり、 一部ではありますが、それが認められたのは大きかったとは思います。 ただ、私の中ではどうもしっくりきません。

裁判官の「相手の意に反して食べ物を与えたこと、離婚してほしいという意思を伝えられたことは心理操作されていたとは言い難い」という言葉は、この間の性犯罪被害者に「女性が抵抗不能な状態とまではいえない」のと同質のものを感じます。

ほぼロボット状態になっているが、「ほんの少し子どもに食べ物を与えた、よって完全に相手の 言うことを聞いてないから心理操作されてはいない」とは、ずいぶんな物言いではないでしょうか。

100%完全に支配されていたら、子どもに食べ物を与えず、もしかしたら夫の暴力に加担していたかもしれず、その場合は野田市の事件のように完全なる共犯者となる。共犯者にならなければ心理操作されていたと認められないのか。子どもを殺したら心理操作と認められるのか。

完全に支配されて共犯者になった場合と、今回のように少し意思があった場合と、どちらが罪が重くなるのだろうか?

目黒女児虐待死について

子どもの虐待事件は痛ましく、新聞記事も大きな見出しで「子どもが虐待で死亡した」と書いてあれば、私はもうその記事はもう読めません。これは以前にも書きました。ということであまり事件のことは知りませんでしたが、私はこの事件は報道されたときに「早朝から勉強を強いられていた」ことや、「べんきょうをがんばる」という手紙があったことで、「教育虐待の末に子どもが亡くなった」と思っていました。

しかも昨年6月、たまたま行った映画と講演のつどいでパネラーだった高名な方が「このような家庭はどこにでもある」と述べられていたので、親の身勝手な願望で教育虐待を受けていた子が死亡したとしっかり思っていました。

https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/101200003/061800120/?P=1

ですので母親が逮捕されたことも知らず、公判が始まって初めて「DV」、それも母親は夫からの精神的DVによって支配されていたという構図であることを初めて知りました。

些細なことを持ち出しては説教する夫に「あなたの貴重な時間を使って怒ってくれてありがとうございました」 と反省文を書いているのを見れば、その支配は相当強いものだったと思います。これについては武蔵大学の千田有紀先生が詳しく書かれています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20190911-00142144/

野田市の事件とまったく同じ構図の子どもの虐待死で、母親の責任が追及されています。裁判所にマインドコントロールを受け支配された場合、人はどのような思考になっていくのか、これは家庭内のことに限らず、どんな事件でも応用できる理論だと思うのですが、どうも裁判所は理解することに消極的なようです。

野田市の時は「母親なら身を挺しても」という一般社会の常識で、母親に求刑を上回る判決がでました。父親がいなかった時は穏やかに暮らせていた母子なのに、父親と同居したとたん、母は常に夫の顔色を窺って何もできなくなったのはなぜなのか。

母親の供述の中に何度も「機嫌が悪くなるので」という言葉が出てきて、その状況がわかるだけに、じれったい思いがあります。判決は連休明けの17日です。

まだ夫と一緒に暮らしている方たちは気の重い2週続きの連休と思います。モラハラ家庭は死に至らなくても、同様の出来事があるはずです。今一度、子どもへの影響を考えてみることも必要かと思います。

野田市の事件と面会交流

野田市の児童虐待事件の判決が6月26日にありましたが、それは求刑より重い2年半という内容でした。執行猶予がつきますので、収監されるわけではないのですが、それでも 保護観察付き執行猶予が5年と長いものでした。

このような家庭は今もどこかであるはずです。体に危害を与えなくても、夫からのモラハラを受け続けている人が、夫の怒りが自分に来ないよう、子どもの不始末を告げ口することなど、ごく普通にあるでしょう。何しろ私の母が「差し出す母」でしたので、容易に想像がつきます。

この夫婦は一度離婚して、再度結婚し、次女が生まれています。 先日、専門家の集まりがありこの事件について話し合ったのですが 、「おそらく強姦に近い形だったのではないか」という意見がありました。やっと離婚したのに、なぜまた会うようになったのか、その経過はわかっていませんが、もしかしたら恫喝などがあった可能性があります。

私は沢山の被害者の方からお話を伺っていますが、一番多いのは「結婚してから豹変」「子どもが生まれてから変わった」というパターンです。ただ、中には結婚前から恫喝されていた方もいます。なぜそんな怖い人と結婚したのか伺うと、「親きょうだいに危害を加える、家に火をつける、働けないようにしてやる」などと言われて「この人には逆らえないと思った」とお話されます。もうこの時点で支配されているのです。

もうひとつ気がかりなのは「面会交流」です。今は相手方から面会交流を求められた場合、ほとんど強制的に実施されています。これはDV被害者も例外ではありません。「DVは夫婦間であり、子どもは無関係」と言われて「子の福祉のために」実施されるケースがDVの場合は多いです。子どもが小さい場合はひとりで行くことができませんので、誰かが連れて行くか、元夫に家に迎えに来てもらうしかありません。「夫に家に来てもらう」は、DV離婚の場合ありえません。FPICの仲介はどこでもやっているわけではなく(大都市のみ)、料金も母子家庭には気軽に頼めるものではありません。

中には「子どもを連れ去られるのでは」と心配して、結局母親も一緒の面会交流になる場合もあります。復縁を迫る夫にとっては、またとない機会になるでしょう。そんなときに元夫から迫られたらどうでしょう。大体地方の場合、移動は個室になる車なのです。

今回の判決は裁判所も「心の支配そしてコントロール」を充分理解しておらず、判決はその結果だと思われます。このことについて、武蔵大学の千田有紀先生が記事を書いておられます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20190411-00121877/