9月15日の朝日新聞掲載された記事です。
https://digital.asahi.com/articles/AST9B1SLCT9BUTIL01PM.html
有料記事なので、ざっと概要を説明すると、
”ある夫婦は2006年に結婚し、2子をもうけた。夫は会社員として夜遅くまで働いた。夫婦関係は悪化していき、夫は17年に別居を始めた。”
”夫は当初、生活費として月46万円を妻に渡していたが、うち23万円は、夫名義の持ち家に住む妻子から「家賃」として払い戻させていた。 その後、夫は離婚調停を申し立てたが不成立。これを機に、生活費を渡さなくなり、妻は家賃を支払えなくなった。”
さすがはモラ夫です。妻子から家賃を取っていたそうなのですが、契約書などは作ったんでしょうか。妻は「はい、そうですか」と自分の夫と家賃契約を結んだのでしょうか。ちょっと不思議です。
”別居が続く中、19年に夫は「未払い分」の家賃支払いを求める訴訟を起こした(のちに請求棄却が確定)。さらに21年には、離婚を求める訴訟も東京家裁に起こした。”
すごいですね。妻相手に家賃未払いの訴訟を起こすとは。
その際夫が提出した陳述書にはこうあります。
”「妻は高級マンションでの暮らしを希望し、価格と品質が釣り合わない居室を不本意ながら購入させられた」
「激務を終えて午前5時に疲れて帰っても、お風呂が洗濯物で埋め尽くされ、シャワーを浴びられなかった」
「自動掃除機を使うために椅子が机の上に積み上げられ、座って休めなかった」”
裁判所はこの離婚を認めませんでした。その判決が結構痛快です。
”まず、風呂が洗濯物で埋め尽くされていたとの主張には「取り込んでからシャワーを浴びればよいだけ」。椅子が机の上に積み上げられていた点には「下ろして座ればよいだけ」とし、こうした主張が「婚姻を継続し難い重大な事由」だとはおよそ理解しがたい、と述べた。”
ナイス!裁判官!グッジョブだぜ!
”判決はこうした点も踏まえ、夫婦関係の破綻については「一方的に離婚を実現させようとした夫が、婚姻費用分担義務を負っていることを顧みることなく、『兵糧攻め』ともいうべき身勝手な振る舞いを続け、関係修復を困難にした」とした。
さらに、子どもが幼く、妻の直近の年収が200万円に満たないことから、「離婚して生活費の支払いを受けられなくなれば、妻子が経済的に極めて過酷な状況に置かれる」とも指摘。婚姻関係が壊れていても、原因を作った夫からの離婚請求は認められない、と結論づけた。”
離婚が求められないということは、婚姻費用が離婚が決定するまで夫がう支払わなければならないということです。実際799万円が未払い婚費として支払えという審判も出ています。
もし支払わなければ、不動産を持っているようですから、これを強制執行で抑えると。
裁判所は見ているところは見ているんですねぇ。