老年夫婦の熟年離婚の解決法?

いつも持ち出すのが朝日新聞で申し訳ないのですが、デジタル新聞は朝日だけなのでご容赦ください。

この記事は、長野県に住む老夫婦の離婚話を取り上げたものです。離婚理由は身体的暴力も含む夫からのDVでした。

https://digital.asahi.com/articles/AST5V7K1GT5VULLI006M.html?iref=pc_ss_date_article

今回取り上げられたのは夫の特有財産は妻には権利がないかの部分でしたが、裁判所が下した判決は遺産としてもらった時期から相当期間があり、すでに夫婦の共有財産とごっちゃになっているので、他の財産と一緒にして1/2にするようにという判決でした。つまり特有財産としては認められませんでした。

しかし夫は貯金をどこかに移してしまい、先に受け取っている1500万円以上のお金を手にいれることはできませんでした。

この記事では他に70代、80代の妻たちからの離婚請求について書かれているのですが、最後の方はこう締めくくられています。

”老年夫婦の離婚のカギは、子どもの助けが得られるかどうかだ。

 70歳以上ともなると、賃貸住宅の契約自体が難しくなる。パートなどで働くこともままならない。母親を引き取って同居するなど、「住居とお金」の問題を子どもが解決できれば、速やかに離婚が成立しやすいという。

 堀井弁護士は、両親の不仲に悩む子ども世代にこう助言する。

 「高齢だから本気のはずがないと放置すると、不仲が深刻化しかねない。両親の話を聞き、離れて暮らすしかないと判断したときは手助けしてあげてほしい」”

「親の住居とお金」を解決してやれと。

ここで私は非常に引っかかりがありました。子ども世代だって子どもの教育費や自分の生活だけで精一杯のことが多い。そこに親に金銭的援助やら一緒に住もうという提案をするのは土台無理な話ではないだろうか。

ましては親が不仲ということは、機能不全の家庭で育てられた子どもたちで、自分自身がまともな家庭環境を与えてもらえなかった子どもたちです。

そんな子どもたちに「あなたたちは幸せな子ども時代は過ごせなかった。その原因を作ったのは親で、その親を助けろ」とはどうも納得しがたいアドバイスです。

「親と自分は違う」という精神的な自立ができている人ならやるかもしれませんが、一時の涙で「一緒に住む?」になったとしたら、その後は悲劇です。お金も家もない親を引き取って、しかも10年20年介護を加えた面倒をみるとなったら?

とんでもない話です。

親が子どもを育てるのは産んだのは親なので当然ですが、子どもが自分の生活まで犠牲にして親に20年も尽くすのは考えられません。

と思っていたら、この記事のコメント欄に「離婚問題について扱った記事ですら、なお「家族はお互い支え合うべき」という前提がついて回ること自体に、日本社会の家族主義の根深さを感じます」とありました。当然です。

たぶんこの記事を読んだ、同様の問題を抱えていない(熟年離婚の当事者)以外は同じように考えていると思います。