自分がその場にいるのが恥ずかしい

ジムで一緒の50代の女性が「膝が痛かったけど、接骨院とエナジーで治したわ」とロッカールームで話していました。

はて?エナジーとは?

「エナジー」とみんなが行っているのはどうやら電位治療器で、椅子の上に敷かれた座布団のようなものに低電磁波を流し、体の不調を軽減するものらしい。

行った人の話によると、肩こりや関節の痛みやら不眠やら、とにかく「何にでも効く」というのがうたい文句のようです。

「えー、催眠商法じゃないのー?高いものを買わせるんでしょー?」と言うと、「器具を売りつけるわけではないのよ。何年も行ってる人が何人もいるけど何も買ってない。なんとなく体の調子がよくなるので行ってる」とのこと。

何も買わせないのにその会社、どうやってその場所代や人件費が賄えるんだ?と疑問でいっぱいなまま、捜索意欲満々で行ってみました。

場所はとあるビルの地下。「健康教室」みたいな桃太郎旗が立っていて、ますます怪しさ百倍。

中に入るとずらーっとパイプ椅子が並べられていて2、30人が座れるようになっていました。そしてそのパイプ椅子の上には電位治療器が置かれていて、高齢者が座っていました。

あー、あのパンとか卵とかで釣って布団とか買わせるやつだー。

結局その椅子の上に置いてある座布団みたいな電位治療器の上に20分座り、その間、その会社の人のどこまで本当かわからない健康談話を伺うというものでした。

「〇〇さん、膝に水が溜まってたの治ったんだよね」と前列に人に呼び掛けると、おばあさんがかわいい声で「ハイ」と答える。このおばあさんはサクラではなく本当に私の顔見知りなのです。

「××さん、ずっと医者に行って治らなかった坐骨神経痛が治ったんだよね」というと、これまた腰の曲がったおじいさんが「うんうん」と首を縦に振る。

怪しさ満点なのだけど、何しろジムの顔見知りが沢山来ているので、騙されていますという雰囲気がない。だがしかし

「こーんな怪しさ満点のところに座っているのが恥ずかしーーー」

「外から見たら催眠商法に騙されている高齢者に見えるのが恥ずかしー」

「いつも『あのおばあさん、騙されているんだわ』と思っていた高齢者のひとりになっているのが恥ずかしー」

ともあれ、この催眠商法みたいなところで20分ほど暖かい座布団に座っていたら、日中の疲れが出てこっくりと居眠りモードになりました。何も買わないので商法には引っかかりませんが、催眠にはひっかかりました。とさ