伊東市の市長が学歴を詐称したとのことで辞任しましたが、選挙には再出馬するのだそうです。だったら辞めずにそのままがんばっていればよかったのにと思うのですが。市政に混乱を招くというのならば、再選されてもたぶん混乱しますから同じです。
問題なのはこの市長が卒業だったのか除籍だったのかの話ではなく、除籍だったのに卒業と虚偽の答弁をしていたことです。
最初にこの話が出た時に「こういった怪文書が出る世の中はあってはならない」という発言をして、告発を怪文書にして話をずらそうとしました。
これは現兵庫県知事と同じ発想です。自分への告発文書を「嘘八百」として、出した人を特定する方向へ持っていった。
今回の場合卒業はあっけなく詐称とわかり、「自分としては卒業だと思い込んでいた」というわけのわからない答弁になり、学校を卒業したのか除籍になったのかがわからない人に市政を任せていいのかという疑問が大きくなりました。
さて、除籍と聞くと入学したという籍が無くなるのかというと、そんなことはありません。戸籍と同じようにちゃんと除籍でも学籍簿には載ります。離婚すると戸籍に×がつくように(今は×はつかないけれど)除籍のハンコが押されるだけ。
除籍はすごく悪い印象がありますが、除籍で一番多いのは学費未納です。市長は4年間在籍していたそうですので、4年次でやめたのか、それとも進級チェックで引っかかって上の学年に行けないまま4年いたのかがわかりません。
もう学校を辞めたいときに学費が未納だったとすると、学費を払えば退学扱いになり、払わなければ除籍になる、退学と除籍の違いはこの程度です。
もう学校に行かないのであれば、不要な支払いは避けたいもの。除籍だろうが退学だろうがどちらでもいいという人は払わずに除籍を選ぶでしょう。
卒業に必要な単位を全部取っていたら、まずほとんどの人は学納金を払って卒業するでしょうが、中にはお金が足りず、単位は取れているけれど除籍にならざるを得ない人も極少ですがいます。
この市長はたぶん4年間在籍したけれど、単位不足で卒延になるか、除籍または退学を選ぶかとなり、学費を払わずに除籍になったんじゃないかなーと私は勝手に推察しています。
ともかく、嘘をついてバレそうになると「私は卒業と認識していた」などというよくわからない言い訳をして、卒業証書を見せろと言うとチラ見だけさせて引っ込めるという、子どものようなことをし続けた人は、市長はおろかもう伊東市にいられないんじゃないでしょうか。
問題なのは卒業したかどうかではなく、「卒業したんですか?」と問われたときに、苦し紛れの嘘をつき続けた、その倫理観のなさです。
一旦辞めて再出馬というのは、本人も彼女を担いだ人も「斎藤知事だってやり直しで再選できたんだから、こっちもやれるんじゃね?」とポジティブシンキングしたのではないでしょうか。
やけになると人間、考えが飛躍するというもの。
そうなると齋藤知事は兵庫県だけでなく、あらゆる自治体に影響を及ぼしたということですよねぇ。
ただ、齋藤知事がやったのは大都会でのSNSやYouTubeといった空中戦。こちらは伊東市という小さな市。口コミなどの地上戦が主でしょうから、まるで土俵が違うと思うのですが。