以前相談員をしていた頃、先輩の方からの助言がありました。
「支援はしすぎないのが正しい支援」というものです。魚をあげるか魚の釣り方を教えるのか、どちらが正しいやりかたかということです。
被害者の方は初めてのことでわからないことだらけなので、最初はこちらから「これいりますよね」とそろえてあげますが、一通りのことが終ると、後は自分で探したり調べたりできるようにします。
自分でできそうなことに手を出すと、その方の自立を妨げることになります。「みんな被害に遭って力を削がれてしまい、本当はちゃんと力があるのにぺしゃんこになってしまっている。支援員がすべきなのは、そのぺしゃんこになった力を、元通りにする手助けをすること」なのだそうです。
何もかも手を出してやってしまうと、自分でやらなければならないのだという気持ちが失せてしまいますし、やってもらって当然、やってもらえないと「助けてくれない」と不平を言うようになります。
ただ、相手によりけりなので、「この人は力がある」と思ったら、「自分で調べてみて」「やってみてわからなかったら聞いてね」と言います。
以前PTG(Post Traumatic Growth 被害に遭った後、以前よりも人間として成長すること)」について書いたことがありましたが、ぺちゃんこになった人が「あれは自分の成長に必要なできごとだった」と思うことができるようになるまで、そばでお手伝いすることが”必要な支援”なのだと思います。