朝日新聞の記事ー「モラハラ夫」と妻に熟年離婚を突きつけられた53歳管理職の言い分ー

朝日新聞の記事にこんなのがありました。

https://digital.asahi.com/articles/ASSDC232XSDCULLI008M.html?pn=16&unlock=1#continuehere

”東北地方のある団体で管理職を務める男性(53)の妻(49)が2人の子どもを連れて家を出て行ってから1年半がたつ。”

記事はこの男性の証言で作られています。記事は突っ込みどころが満載。よくある日常の一コマなのですが、妻が出て行ったのは些細なことの口論が原因だとする夫。

電気を消す、消さないでケンカになり、翌朝しつこく夫がそのことを持ち出すと子どもから「しつこいな。バカじゃないの」と言われ、”カチンときて子どもの頭をコツンとたたいた”

“妻は子どもたちを連れて実家に。子どもが父親から暴力を受けたと、児童相談所に通報されていた。”

これを読んだ方は「こんな些細なことで離婚するなんて、そしてこの妻や子の言い方はヒドイ」と思ったと思います。ただ、これをよく読むと、不思議だなーと思うところが随所に出てきます。

そもそもこの男性はこの小さな出来事で妻が家を出たと本気で思っているのでしょうか。おそらく溜まりに溜まった男性への怒りが、たまたまこの小さな出来事がきっかけで離婚になったと思われます。

そして、「子どもの頭をコツンとたたいた」はおそらく夫の証言とは程度が違うだろうし、もしかしたら日常的に暴力があったのではないかと推察されます。

だいたいDVは「妻の傷は暴れたので押さえようとした時についた」というのが大多数です。「はい、自分が怪我をさせました」というのはまずありません。この「暴れる妻を抑えようとしてついた」が金太郎飴のように言い訳に使われます。

DV夫が自分のしたことを過少化するのはよくあることです。「コツンと叩いた」は本当にコツンだったのかかなり怪しいし、子どもが親に「しつこいな。バカじゃないの」というなんて、それを言った子どもが悪いと読者に思わせるためのもの。大体前日にあったことをねちこく言い続けるあたりがものすごく怪しい。

そしてちょっと笑ってしまうエピソードもありました。

”妻の実家は近隣の市の大地主だったが、父親はすでに他界。実家には母と、妻の弟夫妻が住んでいたが、弟が心不全で急に亡くなった。そこから妻は、母親の面倒をみるといって実家にひんぱんに通うようになった。男性にも病気がちの母がいて、近くで一人暮らしをしていたが、妻が世話することはなかった。”

自分の親は自分で世話をしたらよいのではないでしょうか。なぜここで妻が世話をすることがなかったという文章が入るのだろう。妻は夫の親の世話をするのが当たり前という大昔の考え方がこの男性は持っているということです。そうなるとこの男性のDV疑惑はさらに深まります。

さらに言えば、この記事を書いた記者もこの文章を読んだ読者がどう思うか想像できずに書いてしまっています。時々新聞記事ではこういった??な記事があります。

”「帰りが遅くても、せめて子どもの夕食は作ってよ」と言うと口論になり、妻に引っかかれたこともあった。腕を押さえたことはあるが、手をあげたことはない。”

でたーーー、あるある。

”月々の婚費、養育費として約30万円を振り込んでいる。”

婚費と養育費は一緒に払うことはありません。記者さん、もっと勉強しようよ。婚費は妻子に払うもの、つまり養育費を含んで婚費といいます。これは男性のインタビューをそのまま記事にしたのだとしたら、男性も間違っている。

以前「慰謝料1500万円を要求された」という人が事件を起こしましたが、普通の人で慰謝料1500万円というのはまず考えられないのでこれはたぶん財産分与を含んだ金額だと思います。離婚に際して払うものが慰謝料も解決金も財産分与も養育費も年金分割もみんなごっちゃになっている人がとても多いです

モラハラをやっていると、こういう記事も裏読みしてしまいますが、知らない方は「なんてひどい妻なんだ!」で思うんでしょうね。だって、それがねらいだし。