私のパート代返してください

私はいろいろな相談を伺っていますが、当然一番多いのは離婚に関する相談です。その中でよくお聞きするのが「私がパートで稼いだお金を取り戻したい」というものです。

この発言の根底にあるのは「生活費を稼ぐのは男。自分のお金は自分のもの」という固定観念です。

確かにまだ私が若かった頃、共稼ぎ(古臭いのでダブルインカムとしようかな)のご夫婦は夫の収入で生活し、妻の分は全部妻のお小遣いにしている人たちが多くいました。いずれも夫の収入が妻が働かなければやってけないような収入ではないので(高収入!)、「奥さん、暇だから時間つぶしに働いてます」というような感じでした。

夫も「妻のわずかな収入なんかあてにしていない」と、妻の収入を生活費にするなんて男の沽券にかかると言わんばかりの鷹揚な態度でした。

職場にはよく宝石屋さんや洋服屋さんがやってきては休憩室に品物を並べ、お昼休みには宝石や貴金属を手に取ったり、ブランドの洋服を試着してはみなさんさらっとお買い上げになっていました。お金はお給料日に集金に来てくれます。

時が流れ、そういうことも無くなりましたが、なぜか「生活費は夫、妻の収入は妻のお小遣い」という考え方は残っている人がいます。本来お小遣いとして好きに使えるお金を生活費に使っていたので返して欲しいということです。

夫婦がうまくいっている時はそれでもいいのですが、離婚になるとそうはいきません。どちらの名義の口座でも合算して1/2がルールです。

別居日が基準日になりますので、通帳に記帳された基準日の金額を足していきます。名義は関係ありません。株も証券も生命保険も夫の退職金も全部合算です。

「夫は趣味に明け暮れ、生活のほとんどは私のパート代だった」という人も同様です。逆に「朝早くから夜遅くまで働いたお金が妻のバッグや洋服代や食べ歩きや押し活に使われた」という人も同様です。買った家も貯金も全部1/2です。夫婦は誰が働いていもその働いて貯めたお金は離婚の時は1/2になります。

つまりこの部分では「平等」なのです。

家は半分にできないので、相手の分をどちらかが買い取る(私はこれをやりました)。買い取るお金がない場合は家を売って、売ったお金を1/2にして分ける、です。

まだローンが残っている場合は話し合いが必要です。ただし、そもそもモラ夫とは話し合いができないので、財産がある場合は全部調停です。

「離婚をする時は、私のパート代は返してもらう」と思っている方は、まずその考えを捨ててください。その代わり、家の財産は誰の名義でも1/2はあなたのものです。