職場の友人たちと一緒にファミレスに行き、デキャンタの白ワインなどを飲みながらひとしきりおしゃべりをした時、A子さんが「あたしね、高校生みたいにべたべたしたつきあいをするのは嫌なのよ」と言い出しました。
「B絵さんて、とっても一生懸命みんなの間をとりもとうとしているけど、ああいうのは嫌なの。職場の人とは表面的に仲良しでいいのよ」
長い間専業主婦だったB絵さんは、60代で社会復帰して始めた仕事が楽しいらしく、まだ「職場の友だち」という関係が物珍しく、いろいろと世話を焼いたりイベントを企画したりしていました。
「若い頃の同僚ならいざしらず、それぞれに家庭があるわけでしょ?その時間だけ職場にいる人と濃いつきあい方はしたくないのよね」
「その家庭事情も様々だから、そこに入ってこられるのも嫌。なんで私の家の事情を話さなければいけないわけ?私の交友関係のことを話さなければいけないわけ?私は職場の同僚にそういうことは求めてないのよ」
それは私も同感。私やA子さんやその他の人たちとファミレスに行ったのは、職場での情報交換をしたいからです。その場では話せないことを共有しあい、仕事に役立てたかったからです。
お互いの生い立ちから家族までしっかりと知っていて何かの時には助けてくれたり、愚痴をきいてくれたり聞いてあげたりする人はいますが、それは還暦を過ぎてぽっと入った職場で見つけるものではないと思うのです。
還暦を過ぎてから勤めるところでは、薄い繋がりで結構。それまでに培ってきた経験を生かしての仕事だし、それを求められての採用だから自分に与えられたことを全うすればよい。ただ、何分仕事をするうえで、いろいろな知っておいた方がいい情報というものはあります。
だから「ちょっとお茶でも」と言って職場から離れたところで情報交換会をしましょうということです。そこで「お子さんは?」「お孫さんは?」と突っ込んで話すものでもないし、聞く必要もないことです。
高校生のような「あたしたち、なんでも知ってる友だちだから!」というのを求めている方は相手も同じなのかを確かめてから身上調査をしないとかえって嫌われる元です。