謄本取り寄せが電子化になる理由

こちらの続きです。日経新聞で謄本が各自治体で取れるようにする理由が「相続のため」と書かれてありました。

2024年4月1日から、相続登記が義務化されています。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html

親が亡くなるなどで、不動産を取得した時に今までは特に相続登記をしなくてもよかったものを、自分が相続すると知ってから3年以内に登記しなければならなくなったのです。

これは全国に空き家や空き地が山ほどあるのに、相続をしていないために手が付けられない空き家や空き地がこれまた山のようにできてしまっている。さっさと登記すればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、実は我が家も父が亡くなった時にほったらかしました。なぜなら登記するには税金や司法書士に依頼するための大金がかかるからです。

特に罰則もないので母が亡くなった時にまとめてやることにして、ほったらかしました。こういう家は多いのではないでしょうか。

ところが母が首都圏の施設に入ることになり、家をどうするかを家族で話し合った結果、空っぽにして売ることにしました。

我が母は困ったちゃんですが、弟が「もうこの家に戻ることはないのだから早いうちに売却しよう」という言葉で決心してくれたことはもう「ありがたい」の一言です。

誰しも家にはそれぞれの思い入れがあり、母はその思い入れがものすごく強い人なので、「自分が生きている間は売らない」と言い張るのではないかと思ったのですが、これからの人生を託す(と母が勝手に思っていた)弟から言われると、不承不承ながら承諾しました。

紆余曲折あってその家も買い手がついたのはよかったのですが、相続登記をまだしていなかったので急いで相続登記をすることになりましたが、不動産業者から見せられた必要経費の中の「司法書士代金20万円~」の文字がやけに突出しています。

さらに税金はやってみないと金額がわからないという。

「私がやる」と言ったのは、好奇心からもあります。もしやって、どうしてもだめだったらその時に司法書士に頼めばいい。とにかくやるだけやってみようと思いました。

ネットをググったり、市の「無料登記相談」を利用したりして法務局へ必要書類をそろえて提出完了!一番大変だったのが「父親が生まれてから死ぬまでの戸籍を全部用意する」ことでした。父の本籍地は遠いところにありますので、全部郵送で取り寄せました。その時に使ったのが大量の定額小為替です。

司法書士などは職権で取り寄せが可能なので、さっさか早くできるのでしょうが、遠隔地に住んでいる一般人が謄本を取り寄せようとするとものすごく時間がかかります。「取り寄せの依頼がありましたが」の確認電話が来てから実際に取り寄せ手続きにかかるまで1週間かかりました。その間に状況を確認する電話が1週間で3度ありました。それも最初の電話で全部言ってくれればいいのにということばかりです。

#1度で済む電話を1週間かけて3度電話してくるお役所の非効率的な能力不足の仕事ぶり

#役所は沢山の仕事を抱えているから一人の人に多く時間をさけないというならば、1度で済む電話を3度もしてくるな

#さらに「もし父が〇〇市に住んでいたという記録があるならばそれも欲しい」と書いたものを見落とし、こちら側が大混乱になる事態に

#再度確認すると役所からは「すみませーん、見落としましたー」という若い女性職員の「えへへ」という不遜な態度

相続登記に必要な「父が生まれてから死ぬまでの戸籍のすべて」と、家を買った人と今登記をする家の持ち主が同一人物である証拠が揃わないと相続できないのです。そのために父が家を買った時の住民票があればよかったのですが、当時の住民票の保存期間は5年(令和元年から150年に延長されました。デジタル化の恩恵ですね)住民票の記録がありません。だから本籍のあるところに記録はないかを確かめたのです。

「相続登記はプロに任せた方が」というのは当然プロはこういう事態を良く知っていますから、さっさか処理をするのでしょうが、こっちは初めてやる仕事。あっちでゴツン、こっちでゴツンと頭を打ちながらの作業でした。

ですから書類をすべてそろえて法務局から「登記識別情報」が届いたときは感無量でありました。

司法書士が20万円とる仕事を自分でやった!

ただこれは、わが実家が普通の宅地に建てた普通の建物で、何の問題もなかったからできたこと。中には土地が公道に面しているだの、隣の家の一部がこちらに入ってきているだの、納屋の一部が別人のものだのというややこしい物件がある場合はやっぱりプロにお任せした方がよいようです。

実家を売ったお金は全額母のものになりました。家を出るときに「全部私のものだから」と言ったからです。私の報酬はありませんでしたが、これで「戸籍とはなんぞや」ということがかなり理解できたので、それで良しと思っています。