不登校の何が問題か

子どもが不登校のお話はよく聞きます。避難にあたって子どもが新しい環境になじめず、不登校になるのではと心配される話もよく聞きます。

不登校の子どもの数は今増え続け、10月4日、文科省が発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人になり、昨年より54,108人(22.1%)増加だそうです。

1年で2割の増加というのはすごい数字だなと思います。ただ、こういった統計は昨年度と同様のベースで行ったのか、何か違う考え方が入ったのかそのあたりがわかりません。DVもそうですが、カウントをするベースが違うと昨年度と同等に比較することはできませんので。

もし同じベースで比較したのでしたら、なぜ1年で2割も増えたのか、という疑問があります。コロナだったからというけれど、3年間コロナだったので、なぜ昨年が増えたのか、それともコロナの間中増えていたのか、どうなんでしょうね。

私の子どもが学齢期に友人や同僚のお子さんが不登校になってという話も聞きました。ではその子どもたちはどうなっているかというと、聞こえてくる話の限りでは全員社会に出て働いているんですよね。

そこまで行くには友人はものすごく悩んでいましたし、そこからどう社会へつながったかという詳しい話は聞いていませんが、ともかくみんな社会に出ています。

中高は行けなかったが、大学生になったら行けるようになったという話も聞きます。しっかりとプログラムされて一緒に行動する学校生活にはなじめなかったけれど、ある程度自由に選択できる大学なら行けたということなのかもしれません。

学校に行かなくてもいいじゃないかということで、フリースクールなど、いろいろな形の通信教育的なものも増えてきました。学校でなくてもそこへ行ければいいんじゃないか、という受け皿や社会の許容が増えたことで、不登校を認める動きが広がってきたと思います。

ただ、不登校の問題は子どもが学校に行けないというだけの話ではありません。子どもが学校に行けないことによって起こる家庭内の不和が問題なのです。

子どもが学校に行けないことを夫婦で一致団結して取り組む夫婦なら問題はありません。子どもが学校に行けない、親が学校までついていかなければならないケースの場合は親が(たいていは母親)仕事を辞めなければなりません。

子どもが学校に行けないことで苛立つ父親は多いです。学校に行けないことを母親のせいにして責め立てる父親は多いです。

朝、ふとんをかぶって部屋から出てこない子どもと、「今日も行かないのか!」と怒鳴り散らす父親の間で、孤立無援でおろおろしている母親は多いです。

さらに、「学校へ行かなくてもいい」という選択肢があることを知った他のきょうだいも、学校に行かなくなるという話も聞きます。

子どもの将来の心配の他に、苛立つ父親のとりなしや、母親が働けなくなってまわらなくなった家計の心配、ほかの子どもの世話もあり、といったように不登校の子どもがいると、嵐の中に放り込まれたようになります。

それでも母親は笑顔で子どもに接しなさいとアドバイスされるそうです。ずいぶんとハードルの高いアドバイスなんですね。