https://www.yomiuri.co.jp/national/20210530-OYT1T50103/
大阪教育大池田小事件の遺族のひとり、本郷さんのお話を伺ったのはだいぶ前のことになります。お話を伺うにあたって、本郷さんが書かれた「虹とひまわりの娘」を読みました。
優希(ゆき)ちゃん(当時7歳)を由美子さんがどれほど愛しんでいたかが前半で書かれています。優希ちゃんの手をマッサージしていたという描写は、その風景がソフトフォーカスで迫って来て、後半の無残な事件へと続きます。
同時に「宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで」も読みました。本郷さんのお話を伺うからにはその背景をできるだけ体に入れておきたかったのです。
宅間の素行は幼少の頃から際立って粗暴、悪辣で、生まれ落ちた時から前頭葉がぐちゃぐちゃだったとしか思えません。弱い者を選んでいじめる、姑息でまるでマンガのような嫌がらせをするといった行動も子どもの頃から始まっています。
そして彼は5回の結婚と4回の離婚をしていますが、常にDVを行い、逃げる元妻にストーカー行為をし続け、殺人は元妻を殺す代わりにやった、すべて全部元妻のせいだと元妻が苦しむように証言します。この妻とは200万円の慰謝料を取ることで離婚を承諾したものの、恨みは深く、教育大付属池田小事件へとつながります。
大阪教育大付属池田小事件は昨日で20年になりました。
犯罪被害者の方々が恐れるのは事件が人々の記憶から消えてしまうことです。忘れられてしまうことが寂しい、悲しいとみなさん仰います。だから事件を風化させないよう、本郷さん始め、さまざまな被害者遺族の方々は事件当時者の方々は事件について語ります。
毎年11月25日から12月1日までは犯罪被害者週間で、全国でそれにちなんだ催しが行われます。もしお近くでそのような催しがありましたら、ひとりでも多くの方に足を運んでいただけたらと思います。