「価値観の不一致」ではダメですか?

離婚原因のひとつに「性格の不一致」という言葉があり、今まで不貞ではない、DVでもない、精神病でもないけれど離婚したい場合などに使われてきました。

私はどうもこの「性格の不一致」という言葉に疑問がありました。明るい妻とネクラの夫というような、およそ性格がまるで違う夫婦でも仲がいい夫婦はいます。

お互いが「あの人はああいう性格だから」と認め合い、そこに口を出さなければ夫婦関係というのはうまくいくものです。

「ネクラなあなたは嫌い!もっと明るくなって!」「君は明るすぎでカンに触る。もっと静かに暗くなれ!」という夫婦はあまり見たことがありません。

夫婦が険悪になる一番の理由は「価値観の不一致」のような気がします。夫が描く家庭像と妻が思っている家庭像に開きがあると、そこからヒビが入ります。

「子どもはおおらかにノビノビと」という妻に対して「自分は私立大学卒で苦労したから子どもは有名私立に入れる」という二人の意見が一致しないと子育てからヒビがはいる。

これは「結婚する前にわからなかったの?」と言われても、結婚前は夫も「子どもはのびのびがいいね」と言ってはいたが、いざ子どもが生れてみると、「自分と同じ苦労はさせたくない。実際学校について詳しく調べてみると、自分たちが住んでいる地域の公立はレベルが低いらしい。だったら幼稚園から私立を」と考えが変わる場合もあります。

「私はブランド品が好き。持っていて気持ちがいいし、第一長持ちする。家電も長い目で見たらしっかりとしたメーカーのものがいい」という妻と「家電は中古のもので充分。壊れたら買い替えればいい。スーパーでは30%以上値引きされているものしか買ってはいけない」という夫では遠からず破綻が見えています。

こういうことから夫婦喧嘩が絶えず、怒鳴りあいになり、「夫が怒鳴った、モラハラ」「妻から無視をされた、モラハラ」と、ここでモラハラが利用されます。

お互いの価値観がずれたから険悪になったのであって、これはモラハラとはいいません。それなのに「離婚理由は夫からのモラハラ」と言ってしまう。

「価値観の不一致」では自分も悪いことになってしまうから、離婚原因を「夫からのモラハラ」にしてしまう人たちがいます。こうやってモラハラは誤解されていく。

価値観が合わない人との同居生活はとても厳しいものです。「価値観の不一致」は充分な離婚理由です。離婚理由にモラハラを使うのはやめませんか?