家の跡取りの男が全財産を受け継ぐのは普通

こちらの続きです。

相続のご相談でよくあるのは「兄(弟)が全財産を受け取ると言っている」というものです。ただ、私が受けたご相談では母親はこの兄弟一家と同居しているので、「兄(弟)が財産の多くを受け継ぐのは仕方がないと思う。でも、少しくらいわけてくれてもいいんじゃないか」というものでした。

母も兄(弟)一家の世話になっているので、まったく味方になってくれないとのこと。「その家の財産は長男がすべて受け継ぐ」というのは今から77年前に消滅したはずなのですが、21世紀の今日もまだ生きています。

もちろん「虎に翼」にもあったように「遺留分請求」というのを裁判所に申し立てると、離婚と同じように調停になり、そこで遺留分金額が計算されて親の財産を手にすることができるのですが、これをすると家族は崩壊します。

どこの世界にきょうだいが財産欲しさに裁判所に訴え、それが終ったらニコニコとまたきょうだいに戻れるでしょうか。これをするにはきょうだいはもちろん親戚との決別が必須です。

その財産も億を超えるようなものならば私もやりそうな気がしますが、いただけるものが数百万以下だったら、親子きょうだいの縁を切ってまで申し立てるかは疑問です。

男きょうだいは当然のように「全部オレのもの」と言う。親もそれが当たり前だと言う。これが長男が親の面倒をみておらず、娘が面倒をみている場合はどうでしょう。親の面倒は娘がみているから男兄弟は財産はなしになるか。

ちょっと想像できません。「ちょっと太郎にも少しわけてやらないと」と親が言い出すような気がします。やっぱり法律は法律、感情や慣習は粘り強く残っていくのではないかと思います。