「虎に翼」に見る遺産相続の変遷

私は今、朝の連ドラを2つ見ています。ひとつは今シーズンの朝ドラ「虎に翼」、そしてもうひとつは再放送の「オードリー」です。「オードリー」は一山超えたところで、「虎に翼」に興味が移ってきました。

「虎に翼」は実在した日本で最初の女性裁判所長三淵嘉子さんがモデルのドラマですが、何週か前から裁判官として調停にも出席しています。

その中で、元法学部の同期、梅子さんの夫が亡くなったのですが「遺産はすべて妾に渡す」という遺言書を残していたため、その財産相続で調停に持ち込まれた事件を寅子が担当することになりました。

その調停の中で「妻が1/3、残りを子どもが人数で割る」というのがありました。

「そうかー、この当時は妻が1/3だったのね」と、ふむふむ。昭和20年代のことです。調べてみると昭和22年まではその家の長男が遺産の全部を受け継いだのですが、法改正で妻が1/3ということになったようです。

なぜそれまで妻に遺産が行かなかったのかというと、それまでの日本は家制度。家族は家を守るための存在で、その最たる責任者は長男の役目だったのです。長男は嫁を取り、子どもを作り、母親のめんどうは全部長男がみるのだから、妻(母)にお金はいらないだろうという考え方だったのです。

ところが戦後に法改正があり、家制度は取っ払われ、妻に財産が渡るようになりました。ですが、ドラマの中で調停委員がため息まじりに「財産は全部長男のものだという訴えがとても多いんです」と寅子に告げます。

法律が改正されたからといって、それまでの風習、慣習がはいそうですかと変わるわけではないのです。

>>>続く