わが母は思ったことを全部口に出す人です。
そもそも僻みっぽく、被害者意識が強く、勝ち気で負けず嫌いの母ですから、言いたいことが言える相手には容赦はありません。
それなりに社会性はあるので、出してはいけない相手には出しませんが、身内のものには思ったことを全部口にします。
ふと今年のお正月に「あの時こういうことを言われた」と言ったところ、「そんなことは言っていない!」と断固否定。
昔言われたその言葉は今も私の心にぐさぐさと刺さったままなので、母の顔を見ると出てくるのですが、93歳の彼女は認知症でもとぼけているわけでもなく、完全に自分が言ったことを忘れ去っています。
「思ってもいないことを口にしてしまった」とは言いますが、思っていないことは口には出ないでしょう。思っているから口にでる。
正確に言えば「マナーとして口にしてはいけなかったことだが、つい口がすべってしまった」ということかもしれません。
思っていてもそれに相手が気づかなければ思っていないのと同じです。普通に生きている人たちが思っていることを全部口にしたら、もはやこの世はおしまいです。コミュニケーションも何もあったものじゃない。
思っていても口に出さなければ思っていないのと同じ。
世の中は平和に過ごせます。