ベランダ便り ~ヒース~

我が家のベランダは狭いですが、一応季節がわかる植物が植えてあります。先週植床を整えて植えたのは毎年恒例の葉ボタンとパンジーのコンビネーション(安い(笑)。東京はこの季節になると、多くの家でこのふたつを植えています。

3年くらい前でしょうか。忙しくて苗を買う時間がなく、いつも行くホームセンターのものは貧弱で、遠くのJAまで自転車で向かいました。冷たい向かい風の強い日で「なんでこんなにしてまで大みそかに葉ボタン買わなにゃいかんねん」と思いながら自転車を漕ぎました。

でも、たどりついたJAはさすがの農協本部で、売れ残りになるでしょうが、そこそこいい葉ボタンが買えました。

今年はもうお正月を迎えるための葉ボタンとパンジーはいつものように植えてありますが、ホームセンターで「ヒース」があったので、小さめの丸いプランターに、ヒースと品のいい薄紅色がかったパンジーを1本合わせて植えてみました。

ヒースを見つけたとき、「お、ヒースがある」と飛びついたのは、昔、小学生の頃に「嵐が丘」を読んだから、そして1970年公開の映画を観たからです。この映画の音楽は評判にはならなかったものの、何となく好きで、今私が持っているカセットに音質の悪い状態で入っています。何しろラジオから録音したものなので仕方がない。

スコットランドを旅して、車窓のから荒涼とした平原地帯が見えた時、向かいに座っていた老婦人が「あれはヒースよ」と教えてくれました。

「ヒース?!あれがヒース?!」

なんだか想像とちょっと違うけど(ススキみたいなものかと思っていた)、一気に気分は「嵐が丘」。キャサリンとヒースクリフが落ち合う場所にいつもあるヒース。ヨークシャーの荒涼とした風景と人々の暮らし。

あんなに寒そうな所に生育しているのだから、日本の冬も越せるだろう。

というわけで、今年の冬はヒースと葉ボタンという、日英の合作で巣篭りします。