性的DVは拷問だ 3

結婚と性交渉の関係くらい、男女の考え方の違いをまざまざと感じさせられるものはありません。この質問をしたことがないので真実のところはわかりませんが、「公然と性交渉をするために結婚する」という女性がどれくらいいるのでしょうか。

「子どもが欲しいから」と結婚をする女性はとても多いですが、もちろんその前提として性交渉はあります。でも性交渉と子どもを産むことは別次元で考えています(たぶん)。性交渉の目的は子どもが欲しいからで、「今晩も彼と楽しく性交渉できる、わくわく♪」という時間は女性の場合、結婚した後はそれほど長く続かないのではないでしょうか。そして毎晩ではなく、一定の時間を置いてのものではないでしょうか。

結婚をするとと書いたのは、結婚せずに彼との性交渉が楽しみでお付き合いしている人はいるかもしれないので、それは除きます。

ところが男性の場合、「結婚すれば毎日タダでできると思った」「ナマでできると思った」「好きなようにできると思った」「AVでなく、実物がタダで相手をしてくれるから」(いずれも被害者の方からの聞き取り)という発言になります。

被害者の方からは「性交渉が苦痛。いっそ風俗に行って欲しい」という声が聞かれますが、風俗に行くにはそれなりのお金がかかります。タダでできる相手が家にいるのに、しかもその相手に毎月金を渡しているのに、なぜ他で金を使うのかという声が聞こえてきそうです。

もしこのことを他で愚痴ったりしたら「愛されている証拠じゃない」と、とりあえずの慰め言葉が出てきそうですが、相手が血まみれになっているのに、本気で拒んでいるのに、子どもがそばにいるのに、生理中なのに、それでもやってくるのが愛されているということでしょうか。

性交渉する=愛されている証拠、あなたに魅力を感じているからとする人たちは、とりあえずの取り繕いで言っているか、女性として結婚生活を体験したことがない人でしょう(本気でそう思っているんだったら、人生経験足りなさすぎ)。

宮崎大輔選手の騒動からいろいろと考えられること

交際相手への暴行容疑で逮捕、送検されたハンドボール元日本代表の宮崎大輔選手が、女性が「暴行はされていない」と言ったことで急転し、釈放されました。このことについて、いろいろと思うところはあります。

まず、女性が被害届を出していないのに逮捕されたこと。状況が暴行されていると警察が判断したら逮捕されます。これは私も警察の方に直接伺ったことがありますのでそういうものだそうです。

ではもし女性が「暴行されていないので、逮捕はやめてほしい」と言ったらどうなるでしょう。これはケースバイケースのようです。

夫婦間で争いがあり、警察を呼ぶというのは珍しくなくあります。以前と比べ、警察を呼ぶことの敷居が下がり、危険と思ったら呼ぶようになりました。これ、妻だけでなく、夫が呼ぶこともあります。事情はそれぞれです。これは私は大変いいことだと思っています。密室での争いは社会的問題にしてしまった方がいい。危険な家は警察から守ってもらった方がいいと思います。

警察を呼ぶのは身体的暴力がない場合でも大丈夫です(地域差があるかもしれませんが)。自分が危ないと感じたら通報してもかまいません。「夫が怖い」と感じたら呼んでもかまいません。警察は来てくれて夫と妻の両方から話を聞き取ります。

それからどうなるかについてはここでは記しませんが、警察は以前と比べて家庭内の問題に踏み込んでくれるようになったことは歓迎です。

性的DVは拷問だ 2

以前「モラハラパブ」で「夫が嫌だと言いながら、なぜ濡れるんですか」という質問をした方がいました。それに「そうしないと大きな痛みがあり、体が傷つくので、自己防衛として潤滑剤を出すのです」と答えて下さった方がいました。

「濡れる」=女性は気持ちがいいと勘違いしている男性が多くいます。潤滑体液は自分を守るためのものです。

それでも嫌々応じているから、潤滑体液が足りなかったり、その時間もなくいきなりだったりすると局部の皮膚は薄いので傷つきます。切れて出血します。体液には塩分があるので沁みます。そこに強引な性行為がありますので、とても痛いのです。転んで擦りむいたところに塩水をかけてゴリゴリとこすると同じ事をしているのです。

性行為が毎日の方もいます。前日の傷が治らないうちに、また同じことをやってきます。転んだ傷は翌日には治っていないように、切れた皮膚もまだそのままです。そこに塩分のある体液とゴリゴリと・・というのが拷問でなくて何なのでしょうか。

モラ夫は「相手が喜ぶからやってやっている」と思っている人が多く、被害者の方たちは無視よりも、怒鳴られることよりも、嫌がらせをされることよりも、もっと嫌なのが夫の性処理なのです。

さらに、夫は自分の好みの行為を妻にさせます。私は性犯罪被害の支援も行っておりますので、その事例や、もし被害に遭ってしまった場合の支援方法を研修で受けています。

しかし、結婚しているということだけで、毎晩強姦されても何も言えない状態にある女性たちがいることは一般に知られていません。

林真理子さんの小説に「義務と演技」というのがありますが、結婚生活において「義務と演技」がない性行為をしている方が果たしてどれだけいるのだろうか。