■ 加害者とは ■

加害者、つまり夫の性格や行動特徴は次にあげるようなものです。
  • 自分がいかに優れている人間であるか自慢する
  • 職場でいかに自分が有能な人材であるか、人から尊重されているか、どんな小さなことも取り上げて自慢する。褒めてやらないと不機嫌になる。

  • 人がミスをすると、どう責めてやろうかとワクワクする
  • ちょっとフォローすれば簡単に帳消しになるようなミスをわざと騒ぎ立てて事を大きくする。ミスを見つけると、当事者がオロオロするのを見るのが大好きなので どうすればミスをした人が緊張し、困り果てるか、その方法を考えては実行に移す。そして延々といつまでも言い立て、ずっと時間が経った後でもほじくりかえしては 責め続ける。

  • 人を利用する
  • 人の価値基準はその人が利用できるかできないかだけである。利用できない人間は相手にしない。利用できなくなった人間は冷たく捨てられる。

  • 人の痛みには鈍感だが、自分の痛みはおおげさに表現する。人と気持ちを共感しようとしない。
  • 家族が病気になっても無関心、あるいは病気になった人の自己管理が悪いと言う。しかし自分が病気になると大騒ぎ をする。人から言われた言葉に「傷ついた、傷ついた」と大げさに叫ぶ。妻が楽しいことをしていると不機嫌になる。辛いことや悲しいことがあると機嫌がよくなる。

  • 嫉妬心が強く、妻の行動を制限したりチェックしたりする

  • 話し合いを拒否する。話し合いをしても常に自分が正しいと主張し、都合が悪くなると巧みにごまかす。
  • 例えば「自分が浮気をしたのはお前が妻としていたらないからだ」と家事の不出来や子供のしつけがなっていないなどと言って攻撃し、悪いのは妻だという ように思わせる。妻は「あなたに浮気をさせてしまってごめんなさい」とまで言ってしまうのである(実話)
    加害者は自分が 正しいと思わせるために、話のすり替え、ねつ造、歪曲などありとあらゆる手段を使う。

  • 平気で嘘をつく
  • すぐバレるような嘘を平気でつく。バレれば「自分はそういう意味で言ったのではない。お前の勘違いだ」などど言って ごまかす。自分で自分のついた嘘を信じている。常に自分が正しく、妻が間違っているようにし向けるためにはどんな嘘でもつく。良心がない。

  • 二面性がある
  • 家の外では法や常識を遵守し、人に優しく、奉仕し、すばらしくよい人に見えるが、一歩家に入るとガラリと性格が変わる。 時には親きょうだいにさえも外の顔を見せる。本当の顔を見せるのは家族だけなので、外の人からはわからない。 ただし、外でも内でも同じように怒鳴りまくっている二面性のないタイプもいる。

  • 勝ち負けにこだわる
  • どんな小さなことにでも勝たなければならない。勝つためには事実をねじ曲げたり、恫喝したり、あらゆる手段を使って 相手に「私が悪かった、間違っていた」と言わせる。

  • 妙な正義感がある
  • ある時はどんなに後ろに車が繋がっていようときっちり40キロの制限速度を守り、守らない人を怒鳴りつけるくせに、 自分が急いでいるときは守らなくてもよいという、都合良い考え方をする。 「人は右側を歩かなければならない」ときちんと決まりを守ったりする。

  • モラ夫はケチ夫
  • モラ夫はケチである。しかし他の人からそうとは見えない場合がある。なぜなら、彼は自分の好きなことや 好きな人(好きになって欲しい人)には大盤振る舞いするからである。我が家のモラ夫はボーナスのたびにスーツをオーダーした。それは「自分が 必要だから」である。しかし私が服を買うのは「(自分には)必要ない」ので許せない。親、親戚、友人にはこれでもか と使うお金が自分以外の家族がお金を使うことは許せないのである。

  • 食事にうるさい
  • 食事に対して異様に執着する。内容はもちろんのこと、それを作るのに妻がどれだけ気を配ったかを重んじる。化学調味料やレトルトなどの使用は認めない。 手抜きは許さない。

  • 健康マニア
  • 「オレなんかいつ死んでもいい」と言いながら、せっせと健康グッズを買いそろえ健康番組をチェックする。人間ドッグに毎年入り、自分の健康状態を家族が心配しないと腹が立つ。

  • 人に教わるのが嫌い
  • モラ夫は自分が世界で一番偉いと思っているので、誰かに教えてもらったりするのが大嫌い。誰かに聞かなければ ならないくらいならば、死んだ方がマシだと思っている。そのため積極的に何か新しいことに挑もうとしない。 失敗するのが怖いので、最初からやろうとしない。やらないことについて理屈をつけて自己弁護するが、そのくせ、後から (もうそれができないのが決定してから)「あの時やっていたらできていたのに」などと強がりを言う。
    人に教えるのは大好きである。

  • おだてに弱い
    ヨイショされると木でも天でも昇るので、「なぜこんなバカな誘いに乗るのか」というような話に簡単に飛びつく。

こうやって書き出せば誰でもいくつかは「自分もそういうことがある」と思いつくでしょう。誰だって外面と内面が 違うのは当たり前だし、職場での自慢を毎晩している方いるかもしれません。しかしモラ夫が家庭を破壊するのはその 行動にあります。自分の欲求が通らなければ怒鳴りつけたり、延々と説教したり、無視、無言を長期間続け、家中のものに当たり散らし、 体中で「俺は怒っている」というどす黒いオーラを放ちます。家族はそばによることもできません。ましてや話しかけることなど不可能だ。 「何か私が悪いことをした?」と聞けば「言わなければそんなこともわからないのか!」と、さらに無視を続けたり怒鳴り続けたりする。 しかしその欲求をはっきりとは言わないのです。答えを言ってしまえば妻は要求されたとおりするだけなので、面白くありません。 何も言わずに妻に「夫をを怒らせてしまった」オロオロさせて、その様子を見て楽しみ、妻が罪悪感を持つようにし向け、また怒らせてしまったらどうしようという 恐怖心を持たせるためである。

ある時夫が風邪をひきました。一生懸命栄養のあるもの、熱のあるうちは口当たりのいいものと考えて料理を したのですが、機嫌は悪くなる一方です。「どうして?」と聞けば「お前は熱があれば何を食いたい?」と 言うので「さっぱりしたもの」と答えるとものすごい形相で睨み「話にならん!」と怒鳴ったきり数週間口を ききませんでした。夫は妻が聞かなくても夫の食べたいものを食べたいときに即座に提供するのは当たり前なのです。 しかし夫はたぶん何を提供しても怒るでしょう。夫は食べたいものが食べられないから怒るのではなく、 怒りたいから何かに転嫁して怒っているだけなのです。

モラ夫の習性を探っていくと、パーソナリティ障害(人格障害)や発達障害の特徴ととてもよく似ていることがあります。 その特徴を書いたもの読むと「これはまるで夫そのものだ」と驚く人もいます。モラ夫の対応に困ったら、調べてみる ことをお勧めします。

モラ夫は【逆コナン】と言えるでしょう。「名探偵コナン」は体は子供、頭は大人ですが、モラ夫は 体は大人、精神は3歳の子供並みです。しかも困ったことに権力を持ち、知能は大人なのです。モラ夫の行動をそっくり 3歳の子供にあてはめてみてください。何の違和感もなくすっぽりと当てはまります。モラ夫は育ってきたどこかで精神の成長が止まってしまったようです。

彼らは一見非常にプライドが高く、自信満々のように見えますが、彼らのプライドとは沼地に建った薄いガラスの塔のようなものです。 彼らはそのもろい塔を崩れないよう、壊れないよう必死に守っているのです。自分のプライドを守るためには、誰かをスケープゴートにしなければなりません。 被害者はいつも彼らが優越感に浸っていられるようにするために、怒鳴られたり無視されたりするのです。仕事の失敗や離婚などで、彼らのプライドが壊れてしまったら、彼らは簡単に 抑うつ状態に陥ります。しかし普通のうつと違うのは、その原因を他者に押しつけることです。悪いことはすべて人のせいなのです。

モラ夫にはいくつかタイプがありますが、一番わかりやすいのはエリート型とヒモラ型です。エリート型は文字通り 小さな頃から優秀で、苦労を全く知らずに育った者と恵まれない境遇で育ち辛酸をなめながら成功した者に 分かれます。前者は人の痛みがわからず、後者は自分がした努力を他人にも強要します。そしてできなければ罵倒します。

ヒモラ型は自営業や芸術関係に多く存在します。無計画に会社を作ってはみるが、計画が自分中心のいいかげんなものなので結局うまく行かず、 仕事を妻に押しつけて、うまくいかないことを人のせいにします。芸術家タイプは、小説家や演劇などの成功を夢見ますが、 才能がない上に、自分中心の自己満足のため成功にはほど遠く、そのイライラを妻にぶつけます。

タイプ別では二面性があまりない「暴君ネロ型」、舅姑などと一緒にハラスメントを行う「冬彦さん型」、冷徹に計画を立てて実行する「レクター博士型」 などがあります。 彼らは自分の思うように事が進まないとすぐにキレますが、これは彼らの頭の中で自分の都合のいいようにストーリーが出来上がっていて、そのとおりに なると堅く信じているからです。小説家を夢見るモラ夫は必ず芥川賞を受賞すると思いこんでいますし、会社員の夫は自分の企画が必ず通るに決まっていると 彼らの頭の中で完結しています。そしてそれが通らないのは、自分の才能を認めない人が無能で、自分の才能に嫉妬しているからだと思っています。

掲示板での情報交換の結果、モラ夫にはA級、B級、C級のランクがあることが わかりました。A級の場合はわかりやすいのですが、ちょっと頑固で意固地な人とも見えるBC級の見極めがとても難しいのです。 このようにモラ夫かどうかの判断はかなり迷ってしまうのが普通です。判断に困ったら心療内科や女性センターの相談などを受けてください。 もしあなたが夫からモラハラを受けていたとしたら、普通の暖かい家庭を手に入れることはとても難しいことなのだと思ってください。



v目次   v被害者とは   vモラハラの特徴   v被害者の様子   v脱出とその後   vあとがき  vACとわたし