■ 被害者とは ■

被害者、つまり妻の性格や行動特徴は次にあげるようなものです。
  • 責任感が強い
  • この仕事は自分がなんとか成功させなければ、家庭は自分ががんばって守らなければと思う気持ちが強い。

  • 平和主義。争いを好まない
  • 相手とケンカをするのを恐れる。自分が我慢して相手に合わそうとする。

  • 人の役に立つことをするのが好き
  • 人から喜んでもらうのが好き。相手が喜ぶ顔を見ると心から嬉しくなる。

  • 基本的にまじめ。
  • 何にでも一生懸命取り組もうとする。

  • 劣等感を持っている。向上心がある
  • 何かしらの劣等感を持っている。努力家である。加害者に対して何か罪悪感を持っていることもある。

  • 明るくて聡明
  • 世話好きなので、頼まれると嫌といえない。頼まれなくても 面倒をみる。サービス精神が旺盛なので座を盛り上げるのが得意。努力家で本を沢山読むなど自己研鑽を積むことが多いため、 ソコソコの知識がある。

  • 我慢強いがんばりや
  • 私が我慢して済むことならと身を引くことが多い。我慢すれば波風が立たないと思うので、ぐっと堪えてしまう。

    被害者の中には、機能不全家族のなかで育った、いわゆるアダルト・チルドレン(AC)と呼ばれる人たちの特徴が数多く見られます。 ゆえにACはモラハラ被害に遭いやすいと言われていますが、実際はACと全く関係のない、 むしろ家族の愛情をたくさん受け、明るい穏やかな家庭で育った人が被害者になっている場合も少なくありません。その気持ちの元が何であろうと、 それを利用して自分の劣等感を処理する道具にしてしまおうとするハラッサー。 彼らの行動様式は非常によく似ているので、これを見抜く知恵を持ってください。
    ACの特徴としては
  • (自分の欲求より他人の欲求を優先させてしまうから)「自分で自分の欲求がわからない」
  • (人に拒否されたり、嫌悪されたりするのを恐れるため)「自分の主張をきちんと言えない」

  • 自分を犠牲にしても他人につくしてしまう
といったことがあげられます。つまり常に自分が優位に立っていたいモラ夫にとって、被害者は大変都合のいい相手なのです。しかしすべての被害者がACだというわけではありません。 生育環境に問題のない方もいますし、ACでもいい人と結婚して幸せに暮らしている方も沢山います。

モラ夫というのは「いい人」が引っかかってしまうのです。 モラ夫は相手のどこを突けばダメージが大きいかを見極める天才です。相手が気にしている部分、容姿や学歴や育ちなど、どんなことでも責めの材料にしてしまいます。相手が気にしている部分というのは、相手が傷つくからと言わないのが普通ですが、 モラ夫は違います。徹底的に「その部分」を攻撃してきます。 ACであろうとなかろうと、「相手の身になって考えることができる人」 がその標的になります。「あの人が言っていることも一理あるわ」「私が努力しよう」という思考ができる人が、 優れた感性の持ち主だったために獲物になってしまうのです。 モラ夫が一度攻撃を始めると、まるで機関銃のように何時間でも被害者がどんなにダメでクズで愚かな人間か、非難と罵倒の言葉が繰り出されます。 被害者はいい人なので、相手が傷つくことは言えませんし、相手の怒りが沸点を突破すると身体的暴力になる危険がありますので同じように言えません。 相手の火のような言葉で自分が火傷したくなかったら、黙って聞いていること、耐えることを被害者は学習します。

また、ACとは自分が決めるものです。第三者から「あなたはACよ」と言われるものではありませんし、責められるものでもありません。ACとは「ああ、私はACだったんだ。だから辛かったんだ」と納得し、 自分を解放するためにある言葉です。

私のACの定義は、「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めたひと」というものである。
この定義の第一ポイントは「認めた人」という自己認知にある。決して他者に対して一方的に、診断的にあたかもスティグマの ように投げかけることばではない。つまり、病名やマイナスのレッテルではない。自分がACだと思えばACなのである。
(愛しすぎる家族が壊れるとき   信田さよこ著  P73より引用)


大体、ざっと周りを見渡してください。日本の中でACの特徴を持っていない人がどれくらいいますか?自分のヴィジョンを持ち、 しっかりと主張できる人がどれくらいいますか?肩書きを一切考慮に入れない人がどれくらいいますか?世の中には相当の割合でACと同じような気質を持っている人がいると思われます。

AC研究についての第一人者でもある信田さよ子さんの著書には、AC礼讃の言葉が並んでいます。ぜひ一読をお勧めします。 また、私は脱ACをしました。詳しくは「ACとわたし」をご覧下さい。

沢山の被害者の方々が掲示板に書かれたことを分析すると、AC以外にある共通点がありました。20代後半、28歳〜30歳に結婚する方が 多いことです。その年代になると「私はもう一生結婚できないのでは」「この人を逃したら後はないかもしれないから妥協しておこう」と いう考えが先に立ち、「何か変だな」という感情を脇に追いやってしまうようになります。また、地方によっては「クリスマスケーキ神話」が まだ生きており、24歳〜25歳にもその傾向がありました。

そして女性が年上、それも1歳2歳ではなく、5歳、8歳、10歳など、大きく離れている場合が多く見られました。これは「こんなに年上のおばさんなのに、 結婚してくれて申し訳ない」という罪悪感が最初からありますので、モラ夫にとってそこが大きな攻撃ポイントになりますし、妻は必要以上に一歩も二歩も 下がって「年下夫を立てなければ」「面倒を見なければ」という義務感にかられるため、格好のモラハラ土壌ができあがるからです。

【ちょっと待て、焦る心がモラを呼ぶ】


参考文献:コントロール・ドラマ―それは「アダルト・チルドレン」を解くカギ 信田さよ子 (著)



v目次   v加害者とは   vモラハラの特徴   v被害者の様子   v脱出とその後   vあとがき   vACとわたし