銀の匙を咥えた娘

当然エクササイズプロ30年のアラカン母の方が断然上手い

ネットをググってみると、まりなさんは秋田から大学進学のために上京し、卒業後日本生命に入社。営業成績上々で2年後すぐに人事部で就職セミナーで学生たちを前に会社説明を行うようになりと順風満帆。

大手の会社に勤務する日系アメリカ人の夫と結婚し、彼の影響を受けて自分の可能性を探すべくインドに行ってヨガ講師の資格をとりロスへ。夫は快く送り出してくれ、動画を始めると家事を担い、疲れて弱音を吐くとしっかりと支えてくれる。

YouTubeで動画配信をしてみたら1年程度で100万フォロワー突破。英語でのチャンネルも作って世界進出。

生まれた秋田では両親から溺愛され、祖母を「あっちゃん」と呼び、実家へ帰ると一緒に居酒屋で大ジョッキのビールをあおる。こういった風景は惜しげもなくYouTubeにのせる商売上手。

祖母の「あっちゃん」は「亡くなったじいちゃんはいい人だった。あっちゃんはじいちゃんが大好きだ。生まれ変わってもじいちゃんとまた一緒に結婚したい」という。

エクササイズコーチのアラカン母と娘が自慢でたまらない父とは地元のラーメン屋で芸能人顔負けの食レポを披露しながらラーメンをすする。YouTubeを見る限りは仲良し夫婦の中に生まれたかわいくてたまらない自慢の娘なのだろうと思います。

「銀の匙を咥えて生まれる」とは、裕福な家に生まれた人のことを言いますが、私はこういう人も銀の匙を咥えてきたのではないかと思います。

もちろん彼女が努力家で、人目につかないところで沢山の努力を積んでいるだろうことはわかります。でも世の中、努力だけではどうしようもないことがある。努力してもしても報われないことの方が多い。

ちなみに地方から東京の大学へ進学するには学費の他に生活費もかかります。地方の一般家庭で娘を東京の大学へ進ませるほどの収入がある家は、そう沢山ではありません。「学費は奨学金を利用して」と何百万もの奨学金を借りて、自己破産する人もいます。

地方から東京の大学への進学ができて、大企業に勤め、心優しい大企業勤務の夫と結婚し、見た目麗しく、朗らかで、アクティブで、NYに住み(現在は高知)、肩書は「起業家」。

その彼女が6月25日にliveで「痩せるダンス」を行いました。私は録画のものを見ながらいつものとおり一緒にダンスをしていましたが、最後に「私がなぜこのダンスをしているかというと、みんなに自己肯定感を持って欲しいからなのよ!」と繰り返し言っているのを聞いて、「え?」と思いました。

私がヒネテいるのかもしれませんが、銀の匙を咥えたような30歳の人から「みんな自己肯定感を持って!」と言われると、マリーアントワネットから「パンが無かったらお菓子を食べたら」と言われたような気になりました。

同じアラサーで親から愛されず、顔立ちは残念で、能力があっても進学できず、周囲にも認められず、夫はモラハラでという人は多いと思う。みんな苦しみながら必死で生きていると思う。自己肯定感って、自分はこれでいいのか、いつも模索しながら、もだえ苦しみながら、悩みながら、もしかしたらアラカンを過ぎる頃にやっと手に入るものだと思う。

銀の匙を咥えた30歳の人から「自己肯定感をみんなも持って!」と言われて、モニターの前で立ちすくみました。

自己肯定感を持つことを100としたら、彼女の環境はプラス50からのスタート。マイナス100や200からのスタート人は山ほどいる。生まれた時からプラス50をもらって生きてきた人から「みんな自己肯定感を持って!」って、なぁ。

とは言え、私はまりなさんのダンスが好きだし、特に同年代の「おかん」のファンです。もっとおかんのダンスが見たいし、「おとん」のしゃべりが好きです(多分本人は訛っていないつもりだと思う)。

まりなさんはただのYoutuberで終わる人ではなさそうで、7/4(土)23:00-23:30放送予定のマツコ会議にも出演するそうです。でも、彼女の目指すものは、もっとずっと壮大なもののような気がします。