The Great Escape

以前よりお知らせしていた 「モラハラからの避難応援プロジェクト~効率よく安全に別居・離婚するための戦略会議」 が 「令和元年度 東京ウィメンズプラザ配偶者暴力防止等民間活動助成事業」 に無事に認定されましたので、講座を3回行うことになりました。モラハラ被害者同盟が初めて行う単独のイベントです。

詳しくはこちらをどうぞ
https://morahara.cocoon.jp/project.html

これは電話相談を受けているとき、「被害者の方にはこういうのが必要だなぁ」とずっと思っていたことです。「避難したいけど、何から手をつけたらいいかがわからない」と仰る方が大勢いて、具体的な道筋を示すことをして差し上げられたらいいなぁと歯がゆい思いをしてきました。

プロジェクトではモラハラに精通している弁護士、実際に行政で支援をしている支援員、すでに避難を終わった元被害者の先輩方がご自分たちの経験をお話しします。このメンバーをそろえられるのは16年活動しているモラハラ被害者同盟ならではと自負しています。

チラシに「The great escape」とつけたのは、私の思い入れがあります。たぶん知っている方は「あ」と思われたと思いますが、 「The great escape」 とは1963年に公開されたアメリカ映画「大脱走」のタイトルです。 スティーブ・マックイーン や チャールズ・ブロンソンなど、オールスター映画として大ヒットしました。

第二次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜収容所から大量の捕虜が脱走します。その脱走のために練られたのは綿密な脱走作戦でした。何しろ捕虜の中には仕立て屋、帽子屋、建設屋、証明書偽造屋といったプロが大勢いましたので、彼らは建設屋が作った製図を元にトンネルを掘り、脱出した後一般市民の中に紛れられるよう一人ずつ帽子屋や洋服を作り、証明書を偽造し、掘ったトンネルを這って鉄条網の向こう側に出て逃げ延びたのです。その数76人。

それは痛快な映画でした。よもや逃げられるとは思っていないかったドイツ兵の鼻を明かし、大量の捕虜が脱出するわけですから。モラハラ家庭からの避難も同じです。よもや自分から逃げるとは思っていなかった夫から、周到に計画をたてて脱走する。夫が家に帰ってきたら、家はもぬけの殻。

映画と違うところは、脱走した後、鼻を明かされたドイツ軍が執拗に追いかけ、捕まえられたり銃殺されたりしますが、ここは現代社会。そのようなことはありません。人は法律で守られ、母子家庭への支援もあります。

このプロジェクトに参加したら、あなたはひとりではないことが実感できると思います。ひとりで悩んでいるよりも、みんなで一緒に考えていきましょう。あなたの新しい人生の第一歩を、専門家や経験者の力を借りて、共に作っていきましょう。

なんだか腹立たしい

東京目黒で起きた虐待事件の判決が9月17日にありました。
https://www.sankei.com/affairs/news/190917/afr1909170021-n1.html

昨日の目黒虐待事件では、心理操作が判決の大きな争点となり、 一部ではありますが、それが認められたのは大きかったとは思います。 ただ、私の中ではどうもしっくりきません。

裁判官の「相手の意に反して食べ物を与えたこと、離婚してほしいという意思を伝えられたことは心理操作されていたとは言い難い」という言葉は、この間の性犯罪被害者に「女性が抵抗不能な状態とまではいえない」のと同質のものを感じます。

ほぼロボット状態になっているが、「ほんの少し子どもに食べ物を与えた、よって完全に相手の 言うことを聞いてないから心理操作されてはいない」とは、ずいぶんな物言いではないでしょうか。

100%完全に支配されていたら、子どもに食べ物を与えず、もしかしたら夫の暴力に加担していたかもしれず、その場合は野田市の事件のように完全なる共犯者となる。共犯者にならなければ心理操作されていたと認められないのか。子どもを殺したら心理操作と認められるのか。

完全に支配されて共犯者になった場合と、今回のように少し意思があった場合と、どちらが罪が重くなるのだろうか?

目黒女児虐待死について

子どもの虐待事件は痛ましく、新聞記事も大きな見出しで「子どもが虐待で死亡した」と書いてあれば、私はもうその記事はもう読めません。これは以前にも書きました。ということであまり事件のことは知りませんでしたが、私はこの事件は報道されたときに「早朝から勉強を強いられていた」ことや、「べんきょうをがんばる」という手紙があったことで、「教育虐待の末に子どもが亡くなった」と思っていました。

しかも昨年6月、たまたま行った映画と講演のつどいでパネラーだった高名な方が「このような家庭はどこにでもある」と述べられていたので、親の身勝手な願望で教育虐待を受けていた子が死亡したとしっかり思っていました。

https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/101200003/061800120/?P=1

ですので母親が逮捕されたことも知らず、公判が始まって初めて「DV」、それも母親は夫からの精神的DVによって支配されていたという構図であることを初めて知りました。

些細なことを持ち出しては説教する夫に「あなたの貴重な時間を使って怒ってくれてありがとうございました」 と反省文を書いているのを見れば、その支配は相当強いものだったと思います。これについては武蔵大学の千田有紀先生が詳しく書かれています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20190911-00142144/

野田市の事件とまったく同じ構図の子どもの虐待死で、母親の責任が追及されています。裁判所にマインドコントロールを受け支配された場合、人はどのような思考になっていくのか、これは家庭内のことに限らず、どんな事件でも応用できる理論だと思うのですが、どうも裁判所は理解することに消極的なようです。

野田市の時は「母親なら身を挺しても」という一般社会の常識で、母親に求刑を上回る判決がでました。父親がいなかった時は穏やかに暮らせていた母子なのに、父親と同居したとたん、母は常に夫の顔色を窺って何もできなくなったのはなぜなのか。

母親の供述の中に何度も「機嫌が悪くなるので」という言葉が出てきて、その状況がわかるだけに、じれったい思いがあります。判決は連休明けの17日です。

まだ夫と一緒に暮らしている方たちは気の重い2週続きの連休と思います。モラハラ家庭は死に至らなくても、同様の出来事があるはずです。今一度、子どもへの影響を考えてみることも必要かと思います。

す、すみませ~ん

新規事業について、まだ東京都から連絡がありません。ということで、まだ何もお伝えできることがないことをお伝えしなければなりません。

代わりまして、私の電話相談9月以降のスケジュールを出しましたので、ご希望の方はお申込みください。私も仕事をしながらなので、平日に電話相談をすることができず、ご不自由をおかけしております。すみません。。この後は、12月頃かなと思っています。リピーターの方もおられますので、お茶のみ気分でお気兼ねなくどうぞ。

新規事業、もうちょっとお待ちくださいませ

8月末に新規事業の有無のお知らせをしますと告知しましたが、今のところ決定の通知はありません。ただ、東京都から「順調に進んでいます」のお知らせがありました。ということで、新規事業が行えるかどうかはまだ発表できません。「順調に進んでいる」ということは期待してよろしいのではないでしょうか、ね?

この事業は 「モラハラからの避難応援プロジェクト~効率よく安全に別居・離婚するための戦略会議」 という長~い名前がついています。このタイトルにするために紆余曲折がありました。

モラハラ被害者同盟では家庭内のモラハラしか扱いませんが、モラハラはどこのコミュニティでもあります。特に多いのは職場です。私は時々講座に呼んでいただきますが、そこに参加された方にアンケートをとると「職場のモラハラについて知りたかった」というご意見をいただきます。チラシ等には「家庭内のモラハラ」と書いてあるのですが、お読みにならなかったのか、ただ「モラハラ講座がある」とだけ聞いて来られたのか、それははっきりしないのですが、とにかくがっかりされて帰られます。

これをまず避けねばなりません。そこで「離婚の」と入れました。いくらなんでもこれで職場とは思わないでしょう。ただ、「離婚はまだ考えられないが、でも離れたい、別居したい」と仰る方が多くいらっしゃいます。そこで「別居・離婚」となりました。

また、本当は「DVからの応援プロジェクト」としたかったのですが、電話相談を受けていると「母からのDV」「姉からのDV」と仰る方が時々います。日本では言葉で区分けしていて、DVは配偶者や恋人間(DV防止法のからは外れる)などを指しますので、「母からのDV」という言葉自体存在しないのです。では母からのモラハラは何というかと聞かれたら「母からの精神的虐待」でしょうね。これが18歳未満の子どもだったら「児童虐待」になりますが、大人だったらただの「虐待」でしょうか。

よってこのような誤解されそうなDVという言葉は避けてモラハラにしました。「モラハラ」「離婚」です。あまり精神的ケアという部分はサポートできないかと思います。精神的ケアが必要な方はしかるべき所をお訪ねください。ただ、方向性が見えれば精神的に不安は相当無くなると思いますよ。

アドバイザーは行政や民間で実際に被害者支援にあたっている担当者が、離婚後の生活の不安なことなどについてのご相談に応じます。そしてなんといっても今回の目玉は実際に被害に遭われ、離婚調停、裁判を経て避難離婚された方たちがアドバイスすることです。これは被害者が集うモラハラ被害者同盟ならではの布陣だと自負しています。

この事業を電話相談の方にお話ししたところ「これはまさに戦略が必要です」と仰いました。行き当たりばったりではどこかでつっかえます。その不安をこの相談会を利用して取り除いてくださいね。

って、まだ開催決まってないんだけど(笑